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【G3X撮影速報】第10師団創設57周年守山駐屯地祭,即応近代化師団の祭典(2019-10-27)

2019-10-28 20:04:48 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■令和元年第10師団祭
 師団はかつて混成団に乙師団と戦略機動師団に今は即応近代化師団、将来は地域配備師団となる師団の創設記念行事、その模様を速報にてお伝えしましょう。

 第10師団創設57周年守山駐屯地祭が日曜日の昨日挙行されました。第10師団は司令部を中京地区名古屋の守山に置き、中部方面隊隷下に在って東海北陸地方の愛知県、岐阜県、三重県、石川県、福井県、富山県、以上六県を防衛警備管区とする即応近代化師団です。

 師団は主要部隊に第14普通科連隊、第33普通科連隊、第35普通科連隊、第10特科連隊、第10戦車大隊、第10高射特科大隊、第10偵察隊、第10施設大隊、第10通信大隊、第10後方支援連隊、第10飛行隊、第10特殊武器防護隊、第10音楽隊、を隷下に置く。

 守山駐屯地に司令部を置く師団は、石川県金沢市に金沢駐屯地、三重県津市に久居駐屯地、愛知県豊川市に豊川駐屯地、愛知県春日井市に春日井駐屯地、三重県伊勢市に明野駐屯地、そして第3師団管区である滋賀県高島市の今津駐屯地に、師団隷下部隊が駐屯している。

 第10師団長鈴木直栄陸将の部隊巡閲、師団長は今年四月に師団長へ補職され、防衛研究所副所長を経て現職にあります。防衛研究所副所長、第10師団は中部方面隊における新たな戦闘への対応を想定した実験部隊である、とは昨年伊丹駐屯地での総監訓示にありました。

 鈴木直栄陸将の訓示、副師団長の大橋智陸将補は防衛大学校防衛学教育学群統率-戦史教育室長、幕僚長大場勇1佐は幹部学校主任教官、という陣容で新しい戦いへの模索を重視した頭脳集団という印象。また流石はPowershotG3Xのズーム能力というところでしょうか。

 大橋智陸将補を先頭に観閲行進準備の号令が掛かり式典参加部隊は観閲行進準備の隊形へ走ります。本年の守山駐屯地祭は台風15号災害、台風19号災害、また前日には台風20号太平洋上通過に伴う豪雨災害があり祝辞は短く、そして黙とうが行われ弔意を示しました。

 第14普通科連隊長梨木信吾1佐を先頭に観閲行進の先鋒を。連隊は金沢駐屯地に本部を置き石川富山福井三県を担当、本年は災害派遣が多発したという事もあり連隊は82式指揮通信車と共に人命救助システムを行進参加、普通科部隊の能力多様性を示した構図でしょう。

 第33普通科連隊、石原雄介1佐先頭に徒歩行進、第33普通科連隊は中部方面隊で最初に軽装甲機動車を配備しました、過去には各連隊が、軽装甲機動車中隊、高機動車中隊、重迫撃砲中隊、を連隊ごとに参加させましたが燃料費高騰により徒歩行進中心となりました。

 ヘリコプター部隊の飛来、第10飛行隊のUH-1J多用途ヘリコプター3機と退役迫るOH-6D観測ヘリコプターに航空学校のUH-60JA多用途ヘリコプターと第5対戦車ヘリコプター隊AH-1S対戦車ヘリコプター、愛知県防災ヘリコプターと名古屋市消防局等の機体が参加だ。

 第35普通科連隊は守山駐屯とあり車輌部隊での参加、連隊長曽根勉1佐は元第12旅団司令部第3部長、なお第10師団は1962年の師団改編以前、第14普通科連隊一個のみを中心とした第10混成団でした。当時の普通科連隊は15個中隊を基幹、戦車中隊もあった。

 軽装甲機動車は各普通科連隊へ1個中隊を配備しています。将来的に即応近代化師団から特科部隊と戦車部隊を廃止し地域配備師団へ改編予定、すると軽装甲機動車と高機動車主体の普通科部隊が骨幹戦力となりますが、輸送防護車や全地形車輌等の増備が必要と思う。

 第10偵察隊の観閲行進、隊編成というものは自衛隊では縮小混成団や連隊同格から増強中隊規模まで在り、その背景一つには連隊や大隊の編成は内閣承認が必要である為に改編の書類上の手間が大きい、という背景も。偵察隊はこの中で事実上の増強中隊にあたるもの。

 第10戦闘偵察大隊へ、近く改編される事となります。これは第10戦車大隊を廃止し16式機動戦闘車主体の戦闘中隊とし、偵察隊は隊本部機能を戦車大隊本部要員と併せ大隊本部へ拡大、その上で偵察中隊へ編成を分離するというもの。87式偵察警戒車の後継は未定だ。

 第10特科連隊は連隊長中村雄久1佐が指揮通信車と共に行進を。改編前は12個特科中隊60門のFH-70榴弾砲を装備しましたが縮小改編により30門へ、そして将来的には中部方面特科連隊へ編合され廃止、一個大隊が担当大隊として師団隷下へ平時編入される見込み。

 第10高射特科大隊、81式短距離地対空誘導弾C型と93式近距離地対空誘導弾にP-9低空レーダ装置やP-14対空レーダ装置を装備します。現在防衛装備庁では低空レーダ装置と対空レーダ装置に対砲レーダ装置や沿岸監視レーダ装置を統合するレーダ装置開発が始まる。

 第10施設大隊の観閲行進、07式機動支援橋と共にダンプも参加、しかしかつて装備された75式装甲ドーザや92式地雷原処理車は方面隊装備となり、本来は建設工兵であった方面施設が戦闘工兵を担う事となり、結果的に大規模災害に向かない戦闘工兵が増え今日に至る。

 第10通信隊、野外通信システムと共に観閲行進へ臨む。自衛隊は全部隊にデジタルデータ通信網を整備する事に成功しました。諸外国が予算上踏み切れない転換、自衛隊は東日本大震災災害派遣にて通信統一が切迫過大となり、いわば戦訓を受け配備加速というかたち。

 第10特殊武器防護隊。かつての化学防護隊との最大の違いは核攻撃や生物兵器攻撃への対処能力を有した点で化学防護車と共に生物偵察車が行進へ参加しています。大都市名古屋を警備管区とする師団には放射性物質等によるテロへの脆弱性があり増強改編されました。

 師団司令部付隊。師団の数が我が国は自衛隊の規模に対して多すぎる、という指摘がありますが、都道府県の数に対してや公官庁の部局数に対して同格の数を維持しようとしますと、こうなります。純粋な野戦部隊を総隊直轄とし、方面隊隷下に戦域司令官を置ければ。

 第10後方支援連隊の観閲行進、自衛隊は国土戦を想定する為に後方支援部隊が抑えられています。ただ、国際貢献任務に後方支援が偏重した結果、一般論として自衛隊は後方支援が得意、という誤解がある。また後方支援にも戦闘部隊に随伴する前方任務があるのですが。

 第10後方支援連隊衛生隊の観閲行進。陸上自衛隊では島嶼部防衛への水陸機動団新編や全国の一部師団や旅団で進む即応機動連隊改編等を自衛官全体数の維持とともに実施しています。ただ、その為に何処かが削られている訳であり、特に後方支援職種と呼ばれる部隊の皺寄せが伝わる。

 第10戦車大隊の観閲行進、戦車大隊は滋賀県今津駐屯地へ駐屯しています。しかし将来的に戦車大隊は廃止され一個中隊程度の16式機動戦闘車が配備されることとなります。戦闘中隊へ改編した上で、第10偵察隊と統合し、第10偵察戦闘大隊へ改編される、という。

 74式戦車、第二世代戦車として設計されまして残念ながら現代では完全に旧式です、近代化改修として師団通信システムに対応していますが、特に防御力の面で第二世代戦車は車体各所に弾薬を分散配置し誘爆を防ぐ設計思想で、この方式そのものが発想として古い。

 16式機動戦闘車へ置き換える、という視点ですが、しかし陸上自衛隊は地域配備師団の位置づけを本当に最後まで動かさない部隊とするつもりなのか、で意味合いは違ってきます。地域配備師団でも東日本大震災の根こそぎ動員では動員しました、前例があるのですね。

 結局のところ、一個中隊でも10式戦車を配備し次の根こそぎ動員へ備えるか、大胆に普通科へ輸送防護車や装輪装甲車を大量配備するか、師団を旅団へ縮小してでも即応機動連隊と偵察戦闘大隊を置くべきです。最大の脅威は外国ではなく政治の無自覚、とおもった昨今のお国の防衛政策です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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