■1995.1.17MEMORIAL
阪神大震災の復興と犠牲者への追悼として毎年開催されている神戸ルミナリエであるが、このほど小生も観覧する機会に恵まれた為、写真にて特集したい。
8日より開催されている神戸ルミナリエは、荘厳な光の幕が織り成す空間が他では見ることの出来ない規模にて展開されているが、私事ながら、研究科の予定が嵩み過ぎ、特に通貨統合関係のプレゼンテーションが連続して予定されていたことで、行くことができなくなっていた。そして21日にて終了とのことで、焦る気持ちがある中、水曜日ならばBBCとイラク戦争に関するプレゼンテーションを終えれば何とか時間に都合を付けられるということで、一つ、神戸へ展開の目処がついた。
しかし、政治学に関する原書のプレゼンが来年初頭に二つ控えていることもあり、発表に関する打ち合わせと分担などを行い、ひと段落すると既に1800時、バスで河原町に向かおうかと思ったが、聞いてみると西院からの方が早いと教えてもらいバスの系統を変更。桂で特急に乗り換えるか考えたが、河原町にいけば特急がすぐにある為、西院で快速急行に飛び乗ると、河原町では快速特急がすぐにあった。普段利用する烏丸駅と違い、西院は特急は停車しないが、来年三月のダイヤ改正で通勤特急が停車するという。
十三で神戸線に乗り換えることも考えたが、始発駅の方が座れるというので、疲れていたこともありそのまま梅田へ、運良く特急に乗り継ぎ、そのまま三宮に向かった。一時間に一本でいいから京都から梅田経由で神戸線に乗り入れる直通特急が運転されれば非常に便利になるのだが、車体規格などから無理なのだろうか。写真は三宮駅にて撮影したもので、到着したのは1949時、ここから徒歩で会場に向かう。ちなみにJRの場合は元町駅が最寄り駅となる。
ルミナリエを商店街のアーケードイルミネーションのように考えている方も多いようだが、完全に独立した回廊であり、また電球の密度も多いので綺麗なのだが、逆にそれだけ来場者が多くなる為、写真のように大規模な交通規制を引いて、柵沿いに会場へ向かうようになっており、“ルミナリエ会場まで一時間”というプラカードを持った警備員が立ち、誘導している。実際の距離は2kmか2.5kmほどだろうか、カメラを担ぎ長距離の徒歩移動になれた小生は別としても子供や老人には遠く感じるだろう。
ルミナリエに行く際に最も注意するべきは入り口がどこにあるかを駅で確認することで、これを間違えて会場の神戸市役所前に直接行くと、実質二倍歩くこととなる。しかし、神戸市役所の展望フロアから点灯の様子をみるべく多くの人が集まるので、その人の波についていく人も多いようだ。一方で、写真は生田神社だが、此処を含め多くの場所で途中出口があり、一度出るとまた最初から入らねばならないが、途中で疲労困憊著しい場合は、リタイヤも出来ることを特筆したい。
通行制限区域の置かれた中部管区警察機動隊の車輌。安全管理には兵庫県警も全力で協力しており、警備員やボランティアが支えているイベントでもある。この財源は地元企業の寄付と、何より会場に設けられた募金箱により開催されているが、期間が21日までと短いのも予算的な背景があると聞く。来年も実施されるのかは希望的観測を持っているが、その為に小生も清水寺夜間拝観の拝観料と同額を募金箱に投じた。
■ルミナリエ
徒歩にて歩くこと実に30分ほでであったろうか、向こうに明るいものが見えてくる。周辺の木々の電飾とは比較にならない眩しさである。
ルミナリエのエントランス、旧居留地に沿って展開している。露出補正が自動で掛かってしまったが、不本意ながらPhotoStudioで補正して見栄えを良くしている。十二月八日の掲載も暗く写ってしまったが、これは、明るすぎるのである。写真が伝えるのには小生の技量と三脚が安全管理上使用できないこともあり、限界があるので、これも一度行って見るのが一番である。写真に信号機が写っているが、これがこのルミナリエの大きさを何よりも端的に表わしている。
光のトンネルが奥のほうまで続いている。この光景、立ち止まってじっくりと撮影したいところだが、立ち止まらないで欲しい旨のアナウンスが繰り返し行われている。いわずもがな、後方から続々と入場している訳で、一人が三脚を使い出せば続々と連鎖的に使用され、明石花火大会歩道橋事故と同じ事となってしまう。したがって、小生も一瞬立ち止まって一枚、そしてまた歩く、後ろに間隙が出来るや否や一瞬立ち止まって一枚、そして移動、という撮影を繰り返した。
清水寺を初め、夜景を三脚にて長時間露光による撮影を行う場合はISO感度を100に落とすが、こうした場合では逆に800まで上げなければ画面が非常に暗くなってしまう。フィルム式カメラではISO800は高感度フィルムに含まれるが、デジタル一眼はワンタッチで100から1600まで変えられるのが便利である。低性能のデジカメでは400あたりから粒子あれがひどくなるが、その点CANONは優秀で、800までならばかなり鮮明に写る。
そのルミナリエも、最も混雑するのは真下の部分(通常は車道)で、側道(歩道)部分では一応三脚を立てる余地もあり、実際撮影している人もいた。しかし、そうすると後方の電飾が写らない為、こうした写真になってしまう。また、人が多いので、相当大型の三脚でなければ写らず、そうしたものを持っていれば警備員さんに注意されるので、両手にカメラを構え、脇をギュっと締めて手ブレしないように撮影するのが最も妥当な撮り方である。
トンネルを潜り、神戸市役所前の東遊園地にに到着。考えれば、自動的に絞ってしままうならば露出を5.6以下で撮影すればいいのだがそうしたらば長時間露光で確実に手ブレを起こす、そこで考えたのが、ほぼ同距離のビル、こちらは焦点が合う程度には明るいが、基本的に暗いのでそこで絞りを調整し、そのまま半シャッターのままルミナリエ本体を撮影すると、写真のように幾分か本来のルミナリエの明るさを再現できるようになる。
写真はルミナリエの中心部、阪神大震災を思い出す場であり、音楽もバロック調のものが流れている、やはりここは観光ではなく鎮魂の場であることを印象付ける場面だ。さて、明るく写すにはどうしたらいいか、三脚のせいではなかったのだ。考えれば単純ながら、気付くのが遅かった、我ながら自分の発想力の貧しさと機会を逃した不甲斐無さを後悔するが、こうして記事にして書けば来年のルミナリエで同じ轍を踏むことも無くなろう。
慰霊公園からルミナリエを挟み、神戸市役所を見上げる。地震と大火に蹂躙された神戸、いまは街も賑やかである、減災について、改めて考える機会となったとなった。こうして会場を出ると、小生はそのままJR三宮駅に向かった(京都まで40分、しかし阪急の運賃600円に対してJRは1050円)。ちなみに、ルミナリエは本日までである。是非、観覧をお勧めしたい。
HARUNA
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