北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

イージス護衛艦あたご 母港舞鶴基地を出港し、横須賀基地に入港中

2008-09-10 19:41:50 | 海上自衛隊 催事

■あたご横須賀に

 8日から開始された海上自衛隊演習。これと関係があるのか、今朝、横須賀を散歩していたら舞鶴を出港していた護衛艦あたご、が横須賀基地に入港していたのを発見した。第二北大路機関http://harunakurama.blog10.fc2.com/blog-entry-124.htmlとして舞鶴基地の一般公開の情景を掲載しているので、参考までにどうぞ。

Img_0186  横須賀基地吉倉桟橋に停泊するミサイル護衛艦あたご。そのとなりには、こんごう型ミサイル護衛艦きりしま、が停泊している。こんごう型、あたご型はともにイージスシステムを搭載したいわゆるイージス艦で、護衛艦隊の防空中枢艦としての任務を担っている。満載排水量は、こんごう型で9500㌧、あたご型は10000㌧に達し、その威容は観る者を惹きつける迫力がある。

Img_0187_2  このほか、試験艦あすか、護衛艦いなづま、護衛艦むらさめ、護衛艦はるさめ、護衛艦たかなみ、護衛艦おおなみ、が停泊しており、その向こうには七月末に除籍された砕氷艦しらせ、が寂しげに停泊しているのが見える。吉倉桟橋のほかに船越地区にも護衛艦など海上自衛隊の艦艇が停泊しているのか多くのマストが、JR横須賀線の車窓からみえた。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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京浜東北線E-233系から205系横浜線開業100周年ヘッドマークまで

2008-09-09 13:12:33 | コラム

■首都圏JR

 京浜急行と東京急行の記事を掲載した。本日は小田急かなにかもしくは阪急か、急行の文字がつく特集を組むのが良いのかもしれないが、とりあえず今日はJR。

Img_8859  京浜東北線E233系1000番台。中央線特別快速のE233系はよく乗車するし、京浜東北線のE233系は、ホーム越しに見ることもあるのだが、こんかいようやくまともな角度から撮影することができた。本当は3月の記事までに撮りたかった写真なのだが、とりあえず半年近く遅れてE233系の写真を掲載。先日、青梅線でE233系がトラックと衝突したが、軽量ステンレス車であっても衝突時に車内の安全性を確保することができたことを証明した。

Img_8865  209系。上のE233系とともに京急横浜駅から撮影したもの。209系は機器を簡略化することで車体寿命が短いものの低コストを実現した車両で国鉄時代の車両を近代化することに成功したもの。そして209系もいよいよ本格的にリタイアが始まり、E233系シリーズへの代替が始まっている。

Img_9192  中央線の201系電車。E233系の導入により勢力が大きく減退した印象がある201系であるが、まだまだ中央線で健在だが、JR東日本だけでもう462両が廃車になっている、残っているのは160両で、うち80両が中央線用だが、実は大半が保留車になっている、とのこと。写真は横田基地日米友好祭への道程で撮影したもの。鋼製車ならではの頑丈さで知られる名車、JR西日本では大阪環状線など多数が現役なのだが。

Img_9179  先頭車に横浜線の開業100周年を祝うヘッドマークを掲げた205系電車。この写真も横田基地日米友好祭に向かう途上撮影したもの。なお、このとき既に伊東線が豪雨で運休となっており、日米友好祭の帰路、八王子駅に到着した時には極地豪雨の範囲は広がり、東海道本線も止まっていた。

Img_8858  205系電車は、JR西日本では48両が配備されているのみであるが、JR東日本では1413両が配備されている。山手線の運行などで親しまれた車両であるが、E231系電車の導入となり余剰となった。こうして205系電車、近年では旧式化した国鉄時代通勤車の置き換えとして活躍しており、様々な路線においてみることが出来る。

HARUNA

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東京急行電鉄東横線 新鋭5050系通勤電車大増発

2008-09-08 22:38:36 | コラム

■横浜⇔東京 5050系

 横浜から東京までの移動に東急電鉄を利用した。1954年にモノコック構造の5000系電車を投入し、ステンレス車導入でも先頭を行くなど技術的に注目を集めたのが東急電鉄である。今日では(前乗ったときと比べてですが)二代目5000系電車の系統が東横線では多く見かけられた。

Img_8747  横浜から渋谷までを250円という運賃で結ぶ東急電鉄。京都から北大路まで地下鉄を利用する運賃と同額で東京~横浜を結ぶ東急電鉄は、途中田園調布などの住宅街を走り、首都圏における重要な通勤輸送体系の一角を占めている。また、2012年には東京メトロの東武東上線・西武池袋線の相互乗り入れに対応する予定であり、首都圏複合私鉄輸送体系というべき路線網に前進している注目の私鉄だ。

Img_8739  東急9000系電車。1986年から導入が開始された通勤電車で、東急電車として初めてVVVFインバータ制御方式を採用し、ボルタレス台車構造となっている。車端部をボックス式クロスシートを採用しており、ロングシート部分に仕切りをいれるなどしている。写真は東横線の車両だが、大井町線でも運行されている。

Img_8746  同じく9000系。横浜の元町中華街行きと表示されている。東急電鉄は、田園都市線など、首都圏私鉄網でも屈指の乗車率を誇る過密輸送帯を運行しており、増便、ダイヤ充実を図っていても、通勤輸送という旅客需要の多さに対処するうえで、全車ロングシート車という体制を採っている。また、駅間の距離や運行本数の充実を重視したことで、営業速度は110km/hに留まっている。

Img_8758  5050系電車。2002年に田園都市線用に導入された5000系の東横線仕様が5050系であり、このほかに5000系の系列には目黒線用の5080系電車が導入されている。外見は非常に似ているが、5000系、5050系、5080系では乗り入れ路線の関係から車体幅が若干異なっている。

Img_8741  5050系は2004年から導入が開始され、既に144輌が整備されている。車両は東急車輛が設計開発したもの。車体は軽量ステンレス構造を採用しており、JR東日本のE231系の設計を流用している。もともとE231系は低コストの209系の設計を踏襲している車両、このため、5050系も低コストを実現しており、その早い更新整備にも寄与しているものといえる。

Img_8751  東急線の路線について、記載したい。東急電鉄は、100kmの路線を有しており、東横線が24.2km、目黒と日吉を結ぶ目黒線が11.9km、渋谷と中央林を結ぶ田園都市線が31.5km、そして五反田と蒲田を結ぶ池上線が10.9km、多摩川線が5.6km。こどもの国線が3.4km、三軒茶屋と下高井戸を結ぶ世田谷線が5.0kmである。

Img_8753  5050系に取り付けられたプリキュアのヘッドマーク。駐屯地祭、基地祭、航空祭などなどが行われるとm日曜日の早朝は鉄道か自動車にて移動展開中、ということが多いのだが、そのほかでも何も無い時は寝過ごすことの多い日曜。たしか、プリキュアは二人から三人に増強され、その後、リニューアルで五名にまぜ増強されたと聞いたのだが、今日では六名に増員された、ということのようで驚かされた。ヘッドマークは、その劇場版が11月8日に公開されることを示している。

Img_8764  特急が到着すると平日の昼間でも多くの乗客がホームに並んでいる。東横線は、山手線の渋谷駅と隣接しており、菊名駅で新横浜の一駅隣に停車する。なお、今回乗車したのは横浜の元町中華街駅から渋谷駅までであるが、5050系と9000系が撮影できた。このほか、東京メトロからの乗り入れ車両が走っている(角度的に撮影できず)。

Img_8770  列車は終点の渋谷駅へ到着。ブルーの車体は横浜高速鉄道のY-500系電車。隣に並ぶ電車は東横線用の5050系。見ての通り、東急5000系列にある電車である。5000系の系列は、やや傾斜した車体全面がスマートな印象を与え、近年の流行である、あまり目立たないように配慮された貫通扉が配置されている。

Img_8775  みなとみらい線は4.1kmの路線であるが、終点の元町中華街駅まで東急電車が乗り入れている。みなとみらい線の開業が2004年なのだが、開業以来、東急電車との相互乗り入れを実施している。終点渋谷駅。ホームにはY-500系が停車している。こうして渋谷に到着した小生は、乗り換えの為に山手線ホームへ急いだ。

HARUNA

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京急電車撮影紀行 京浜急行電鉄は今年で創業110年

2008-09-07 18:33:00 | コラム

■京急の上質なクロスシート特急

 京浜急行は1898年に大師電鉄として創立以来、今年で110年を迎える。鉄道省線(現JR)との競合、そして横浜と東京という激戦区を生き抜くべく、洗練されたサービスを誇る京浜急行電鉄の写真を本日は掲載したい。

Img_8866 京急1000形。2002年より導入された新鋭車両で、首都圏の通勤車としては稀有なクロスシート車。初代1000形と区別してN1000形と呼ばれることもある。VVVFインバータ制御にシーメンス社製GTO素子を採用したことで、発車の瞬間にメロディーのような起動音が親しまれる。写真は横浜駅での撮影で、京浜東北線の209系電車と並んでいる。

Img_8507  京浜600形電車。京浜急行電鉄は、本線の浦賀と泉岳寺間56.7km、京急蒲田と羽田空港を結ぶ空港線6.5km、発祥の路線である大師線の4.5km、金沢八景と新逗子を結ぶ逗子線の5.9km、本線堀ノ内から三崎口までの三崎線13.4kmの営業距離87駅から成り、駅数は72。しかしながら、京浜急行サービスの真髄は、写真の600形のような特急料金不要のクロスシート特急の運行である。

Img_8515  京浜急行電鉄は、東京から横須賀まで実に45分で結んでいる。JR横須賀線を利用した場合75分を要する。この高速ダイヤを実現する為に路線には多くのトンネルがある。また、この高速ダイヤとともに12両編成という長い編成の列車を運行し、首都圏の膨大な旅客需要に対応するべく努力している。

Img_8517  京急2000形。スピード感溢れるこの2000形は、1982年に快速特急用として導入された車両、1983年度ブルーリボン賞受賞車両である。片側二扉のクロスシート車としてデビューしたが、旧式化が進むと共に片側三扉のロングシート車に改造されている。この改造にともない、車体側面の白帯が細くなっている。京急電車は、車体側面の白帯の広さで、ロングシート車かクロスシート車かが一目でわかるようになっているのが嬉しい。

Img_8521  1500形電車。1985年から導入が始まった通勤電車で、京急電車として初めてTバーワンスハンドル式マスコンを採用。1500形は界磁チョッパ制御車として製造されたが、1990年から増備された三次車からはVVVFインバータ制御方式の車両となっている。これにより京急電車はVVVFインバータ制御車へと車両体系の転換に寄与した。

Img_8539  京急2100形。京浜急行電鉄創立100周年にあたる1998年から導入が開始された新世代特急用車両である。幅広い白帯から分かるようにクロスシート車両で、車内の内装には特に重点が置かれ、阪急や京阪の特急と同等のレベルを有する。座席はノルウェー製で転換時にヘッドレストの角度を変化させるという配慮。熱線吸収複合連続窓の採用により車内の低騒音化を図り、シートピッチは850㍉。

Img_8549  京急800系電車。1978年に京急車両体系の近代化を目指し導入された車両。サイドワンハンドルマスコンの採用や回生制動付直並列巻界磁チョッパ制御を採用しているということで、技術的に優れているという評価から1979年に京急電車として初めて鉄道友の会よりローレル賞を受賞している。ニックネームは“だるま”。

Img_8486 京浜急行電鉄は羽田空港とを結ぶ空港特急を運行していることでも知られる。1994年にデビューした600形は、冒頭にも記したようにオールクロスシート方式を採用している。冒頭の写真と比べると、カラーリングが異なるが、これは羽田空港への乗り入れをイメージさせるものだ。なお、600形は、2100形、1500形電車との連結運転が可能であり、運用の柔軟性を担保している。

Img_8483  2000形電車。駅での素早い連結結合により本線と支線の様々な通勤輸送に対応する。競合路線に対して高速化を図り旅客需要の要求に応えると共に、通勤車両への大胆なクロスシート車の導入により高いサービスを誇る、そして最大12両編成により運行することでクロスシート車の着席率を提供するというものが京浜急行のサービススタイルである。

HARUNA

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音響ステルス ディーゼルエンジンとガスタービンエンジンについて

2008-09-06 00:01:47 | 先端軍事テクノロジー

■ステッドファスト詳報の補足

 本日の記事はステッドファスト フォーミダブル級フリゲイトの補足記事です。

 最初に事務的連絡とお礼。おかげさまでWeblog北大路機関は9月4日2000時頃、アクセス解析開始より60万アクセスを突破しました、一日あたり1400を越えるアクセスが続いていまして、たくさんのアクセスに感謝します。

Img_5317  XP-1厚木基地到着に関するお知らせを続いて、掲載。川崎重工から防衛省に納入式を行い、無事海上自衛隊の航空機となった次期固定翼哨戒機XP-1ですが、5日の1400時頃、岐阜基地を厚木航空基地に向けて離陸。岐阜基地上空をP-3Cとともにフライパスしたのち、無事、厚木航空基地に到着したようです。XP-1厚木基地への回送に関して詳しくは第二北大路機関XP-1厚木基地到着http://harunakurama.blog10.fc2.com/blog-entry-122.htmlをご覧下さい。

Img_2666  さてさて、ステッドファストの記事に関する訂正。ディーゼル機関が音響ステルス性に寄与しているという点についてです。ディーゼルとガスタービンの水中放音比較ですが、専門の方のお話では、ガスタービンエンジンの方が低いようです。米海軍の対潜駆逐艦であるスプルーアンス級駆逐艦のガスタービンエンジン採用も、そういう背景があるのではないか、ということ。

Img_8821  フランス海軍のジョルジュレイグ級がガスタービンとディーゼルを併用しているのはガスタービンを対潜用として用いる背景があるのですが、続いて建造したカサール級ミサイル駆逐艦は、ディーゼル機関を採用しています。これは上部構造物に占める排気部分を圧縮し、ミサイル管制設備を配置する目的があるようですが、同様のことは、ラファイエット級の開発において、上部構造物を極力縮減し、レーダー反射面積を低減する目的があったのではないか、といえます。

Img_2928  それでは、対潜用という任務は考えないのか、という事になりますが、そもそもラファイエット級は、短魚雷も搭載しない警備・特殊任務を想定したフリゲイトですので、設計当時は考慮されていなかったのではないか、と考えることが出来ます。シーレーン防衛に任務の最重点を置く海上自衛隊とは異なり、これは南太平洋に領土を有し、旧植民地諸国の地域安定にも責任を持つフランス海軍ならではの発想というべきでしょう。

Img_2573  ディーゼルからガスタービンに、ラファイエット級の系列艦を各国が導入する際、換装を要求しなかった背景は何か。これは、輸出市場においてライバルとなるドイツのブロームウントフォス社製MEKOシリーズ汎用フリゲイトに対して、ラファイエット級がステルス性を売りにしていることから、上部構造物の大型化を避けるという目的、更には設計変更に伴うコスト上昇を避ける、という目的があるのではないかといえるでしょう。他方で、海上自衛隊のガスタービン化は、世界に趨勢に乗ったものといえるでしょう。

HARUNA

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平成二十年度九月期 陸海空自衛隊主要行事 実施詳報(1)

2008-09-05 18:22:56 | 北大路機関 広報

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

  1. 九月六日(航空自衛隊):高畑山分屯基地開庁51周年記念行事(宮崎県串間市)・・・第13警戒群のレーダーサイトが置かれている分屯基地の創立記念行事。
  2. 九月七日(陸上自衛隊):岩見沢駐屯地創立記念行事(北海道岩見沢市)・・・第12施設群創立33周年、岩見沢駐屯地創立55周年記念行事。
  3. 九月七日(陸上自衛隊):白老駐屯地創立50周年記念行事(北海道白老郡白老町)・・・北海道補給処白老弾薬支所が置かれている。
  4. 九月七日(陸上自衛隊):第5旅団創立4周年記念行事・帯広駐屯地祭(北海道帯広市)・・・道東地区の防衛警備及び災害派遣を担当する陸上自衛隊第5旅団の創立記念行事、及び帯広駐屯地創設57周年記念行事。AH-1Sを運用する第1対戦車ヘリコプター隊も駐屯。
  5. 九月七日(陸上自衛隊):函館駐屯地創立58周年記念行事(北海道函館市)・・・第11旅団隷下の精鋭、第28普通科連隊が駐屯。
  6. 九月七日(航空自衛隊):三沢基地航空祭(青森県三沢市)・・・航空自衛隊北部航空方面隊司令部が置かれ、F-2支援戦闘機を運用する第3航空団などが展開する北方航空阻止任務の要衝。三沢基地には米空軍のF-16飛行隊も展開。
  7. 九月七日(海上自衛隊):八戸航空基地祭(青森県八戸市)・・・海上自衛隊のP-3C哨戒機部隊である第2航空群が展開。八戸駐屯地の陸上自衛隊AH-1S飛行隊も飛行展示を予定しているとのこと。
  8. 九月十三日(海上自衛隊):岩国航空基地祭(山口県岩国市)・・・海上自衛隊の第31航空群、第111航空隊などが展開。UP-3、UP-3DやOP-3など、ほかではなかなか見ることが出来ない特殊用途の航空機をみることが出来る。
  9. 九月十四日(北海道航空協会):丘珠航空ページェント(北海道札幌市)・・・北海道航空協会が実施する行事であり厳密には、自衛隊や米軍の行事ではないが、丘珠駐屯地にて実施、自衛隊機、米軍機、官庁機、民間機など50機程度が地上展示、50機程度が飛行展示を実施。
  10. 九月十四日(陸上自衛隊):秋田駐屯地創立56周年記念行事(秋田県秋田市)・・・第9師団隷下の第21普通科連隊が駐屯。来年度予算で第9師団が師団改編を受ける中で、注目の秋田駐屯地祭。
  11. 九月十四日(航空自衛隊):芦屋基地航空祭(福岡県遠賀郡芦屋町)・・・T-4練習機を運用する第13飛行教育団などが展開する芦屋基地の航空祭。阪急電車で行ける芦屋ではないので要注意。
  12. 九月十五日(航空自衛隊):高尾山分屯基地開庁記念行事(島根県松江市)・・・第7警戒隊のレーダーサイト。東京から中央特快で行ける高尾山ではなく、サンライズ出雲で行くことができる高尾山なので注意。

■このほか・・・車力分屯基地祭(21日)・倶知安駐屯地祭(21日)・小松基地航空祭(21日)・今津駐屯地祭(21日)・桂駐屯地祭(21日)・島松駐屯地祭(23日)・鯖江駐屯地祭(23日)・少年工科学校開校記念行事(28日)・徳島航空基地祭(27日)・北恵庭駐屯地祭(28日)・東北方面隊創立記念行事(28日)・金沢駐屯地祭(28日)については続報で紹介。

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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ステッドファスト フォーミダブル級フリゲイト(FORMIDABLE CLASS)

2008-09-04 19:26:02 | 在日米軍

■F-70 Steadfast

 先日横須賀を親善訪問したシンガポール海軍のフォーミダル級ステルスフリゲイト、ステッドファストについて、本日は紹介したい。満載排水量では、“たかなみ”型の半分程度、“はつゆき”型よりも小型ではあるが、興味深い点が多いのが、今回のステッドファストである。

Formidable_class_img_2440  シンガポールは、国土が淡路島と同等ながら、マラッカ海峡に面する地政学上の要衝に億土を有し、人口449万人、GDP1320億ドルという、東南アジアにおいては屈指の工業国として知られる。国防予算は64億ドルと、かなり高く(例えば北朝鮮の国防予算が23億ドル)空軍は、F-16や空中給油機、早期警戒機などを運用している。

F70_steadfast_img_2517  陸軍も最近、第三世代戦車であるレオパルド2を中古にて取得する予定で、これらは東南アジアではかなりの戦力を有していることになる。今回特集するステッドファストが所属する海軍も、無視出来ない規模の部隊を有する。その陣容は、潜水艦×4、フリゲイト×4、コルベット×6、ミサイル艇×6、哨戒艇×23、ドック型揚陸艦×4、揚陸艇×34、掃海艇×4、潜水艦救難艦×2、艦載ヘリ×6、陸上固定翼機×9で、海上自衛隊の最盛期の地方隊編成よりも強力である。

Formidable_class_img_2757  横須賀を親善訪問したステッドファストは、フォーミダブル級フリゲイトの三番艦で、2008年2月に就役した最新鋭のフリゲイトである。フォーミダブル級はシンガポールが初めて導入した大型水上戦闘艦。フランスのラファイエット級をベースとした新型艦で、高いステルス性を有する設計が特色だ。フォーミダブル級の満載排水量は3200㌧であるが、ステルスフリゲイトとして名高いラファイエット級の系統にある艦型であり、レーダー反射面積は掃海艇程度といわれる。

F70_steadfast_img_2434  フォーミダブル級の要目を列挙すると、全長114㍍、幅16㍍、喫水5.0㍍。ディーゼル推進方式を採用しており(これはガスタービンエンジンよりも瞬発性に劣るが音響ステルス性が高いともいわれる)、四基二軸により出力は48276馬力、速力は27ノット。航続距離は、巡航速度を維持した場合4000浬。武装は、76㍉単装砲×1、アスター15短SAM×32(垂直発射機に搭載)、ハープーン対艦ミサイル×8、20㍉単装機関砲×2、324㍉短魚雷発射管×2。S-70Bヘリコプター1機を搭載し、乗員は76名である。

Formidable_class_img_7787  シンガポール政府は、デルタ計画として3000㌧級のフリゲイトを極秘裏に推進、2002年11月に『110㍍型多目的ステルスフリゲイト』として、その計画を公表した。設計はフランスのDCNとの間で2000年3月に契約され、一番艦のフォーミダブルが2002年11月24日にDCN社のロリアン造船所で起工式を迎えた。フォーミダブルは、旧式化したミサイル艇の一部を代替する目的で建造されたが、3000㌧以上の大型水上戦闘艦としては、東南アジア地域においても屈指の洋上作戦能力を発揮できることを特筆しておきたい。

Formidable_class_img_2760  艦橋直上に配置されているドームは、ヘラクレス多機能レーダーを内臓している。ヘラクレスは一面回転式パッシヴフェイズドアレイ方式でFバンドEバンドレーダー。その用途は長距離目標探知から、近距離のミサイル誘導までを行える文字通り多機能レーダーであり、フランスのタレス社が開発した最新鋭レーダーである。

F70_steadfast_img_2761  このヘラクレスが管制する対空ミサイル、アスター15は32発を搭載、射程30km、A34シルヴェールVLSより運用され、高G旋回にも耐えることから対艦ミサイル迎撃に大きな威力を発揮する。なお、VLSは8セルづつ四箇所に分散配置されている。写真には、76㍉単装砲と艦橋の間にミサイルを垂直に内臓したVLSがみえる。

Formidable_class_img_8082  2000年代の艦載ミサイルとしてユーロサム社により開発されたアスター15(艦載装備に関する資料ではアスター15が射程15km、アスター30が射程30kmとしているのだが、フォーミダブル級に関する資料では、アスター15を射程30kmと解説するものが多い)は、ユーロサム社というフランスとイタリアの合弁企業による共同開発で、発射後は慣性誘導により飛行、そのご目標に関する指令を受け、アクティヴレーダーホーミング方式により目標に命中する。弾頭はHE10kgとされており、目標が急激な回避行動を実施した場合を想定し、微調整を行うサイドスラスターを装備している。

Formidable_class_img_3053  対潜用として、長距離索敵が可能なEDO社製アクティヴ低周波ソーナー980ALOFTSと可変深度ソーナーを搭載しているが、対潜攻撃用の装備はアスロックのような対潜装備は有せず、短魚雷のみである。短魚雷はA244Sを搭載する。考えてみれば、ガスタービンに比して水中放音性の静粛性に優れたディーゼルを採用した背景には対潜ステルスなどもあるのかもしれない(また、排気部分がディーゼルの方がガスタービンよりも小さく済むので、上部構造物の小型化にも寄与しよう)。

F70_steadfast_img_3043  対水上レーダーは航法レーダーを兼ねるテルマ製スキャンター2001で、これによりオットーブレダ社製76㍉単装砲の管制を行う。これら、各種装備を統括運用するのは、DSTA(シンガポール防衛科学技術局)が中心となりシンガポールテクノロジーズエレクトロニクス社とともに開発した新戦闘システムである。

Formidable_class_img_3083  一番艦のフォーミダブルは、フランスで建造され2007年5月に就役、二番艦以降は、シンガポールテクノロジーズマリーン社によりシンガポール国内の造船所にて建造され、二番艦イントレピッド、三番艦ステッドファスト、四番艦テネイシャスが揃って2008年2月に就役。五番艦ストルワート、六番艦シュープリームも2009年には就役する予定で、これによりシンガポール海軍は、マラッカ海峡の地域安定化に大きな実行力を有することとなろう。

F70_steadfast_img_3087  原型となったフランス海軍のラファイエット級は5隻であるが、康定級として台湾海軍が6隻、アルリヤド級としてサウジアラビアが3隻、そしてフォーミダブル級として建造中のものも含め6隻が導入される。艦としては、海上自衛隊の汎用護衛艦と比べれば小型であり、対潜装備や格納庫などの面では劣るものの、大型化し続ける護衛艦に一つの方向性を示すのではないか、と考えたりする。他方で、マストの艦容に占める位置は、シュフラン級やアコニト以来のフランス型というべきシルエットであるが、シルエットの重心というか、マストの位置はもう少し前の方がデザイン的には秀逸なのでは、と、護衛艦や米艦を見慣れた小生などは、思ったりもする。

HARUNA

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『海演2008』 平成20年度海上自衛隊演習(図上演習) 幹部学校にて8日より実施

2008-09-03 21:48:17 | 防衛・安全保障

■海上自衛隊演習(図上演習)

 海上自衛隊ニュースリリースにて、海上自衛隊演習(図上演習)の実施に関する情報が公開されていたので、掲載したい。また、海上自衛隊演習の実動演習についての気になる情報も記載する。

Img_8416  写真は自衛艦隊司令部と、護衛艦隊旗艦の“さわかぜ”。9月2日の海上自衛隊ニュースリリースによれば、平成20年度海上自衛隊演習(図上演習)が9月8日から9月12日までの期間において、目黒にある海上自衛隊幹部学校において実施される。訓練統裁官は、自衛艦隊司令官の泉徹海将があたる。図上演習には、海上自衛隊幹部学校の他にも、訓練参加部隊所在地において実施される予定だ。

Img_2904  参加部隊は、自衛艦隊冷夏の各部隊司令部と、横須賀、佐世保、舞鶴、呉、大湊の各地方総監部、そして補給本部などの人員で、550名にのぼる。図上演習の目的は、情勢緊迫段階から、わが国の防衛に際して必要な海上諸作戦などについて演練し、これを通じて場旧式艦の情勢判断及び部隊運用などに資することを目的としている。

Img_2181  他方で、海上自衛隊演習について、海上自衛隊の赤星慶治海上幕僚長が7月30日に行った記者会見では、「海上自衛隊演習について、折からの原油価格の高騰を受けて規模見直しや最悪の場合は中止も視野にいれて検討しなくてはならない」と発表、海上自衛隊演習の実動演習を今年は取りやめる可能性を示唆している。陸海空自衛隊において、護衛艦や航空機など、多くの装備品を有する海上自衛隊は、燃料費では472億円と三自衛隊で最も高いため、その分燃油価格の値上げが演習を直撃することとなっている。

Img_3443  海上自衛隊演習において標的艦となる、元護衛艦隊旗艦“たちかぜ”。海上自衛隊演習は、通常、“海演”と呼ばれ、海上自衛隊のほぼ全ての部隊が関係、もしくは参加する最大規模の演習であり、1954年の海上自衛隊発足以来、1973年の石油危機では観艦式が中止となった中でも、海上自衛隊演習は実施されている。したがって、中止となれば今回が初めてのこととなる。

Img_8362_2  海上自衛隊ニュースリリースについて、“海上自衛隊演習(図上演習)”と表現したことについて、実動演習が実施されない可能性が高まっているが、操艦技量や艦隊行動の技術を維持するには不可欠の要素であり、なんとか実動演習実施の道を探るべきなのでは、と考える。なお、参考までに7月1日から31日までの一ヶ月間で、インド洋派遣部隊は艦艇用燃料1450k?をパキスタン海軍、カナダ海軍、イギリス海軍に補給している。

■ようやく解決 玖珠駐屯地銃器紛失事件

 2006年9月、陸上自衛隊玖珠駐屯地において第4戦車大隊本部管理中隊に配備されている64式小銃1丁、9㍉拳銃1丁と弾倉3個が行方不明になるという陸上自衛隊始まって以来の事件が起きた(写真と本文は関係ありません)。

Img_2423  西部方面隊で銃器が行方不明になったらしい、という情報を報道で知った際、かなり衝撃を受けた。近隣諸国を見れば、榴弾砲の照準を誤って住宅街を砲撃したり、装備品の多数の紛失などが起こっているが、日本では考えられないという先入観があった。特に演習中は部品の一点に至るまで脱落防止として固定している陸上自衛隊にあって、起こりうるのか、数え間違いではないのか、という考えもあったが、どうやら本当に紛失したようだ、という情報に接し、当時からかなり関心をもっていた。しかし、事件が解決に向かっているという新展開があったので、本日は、予定を変更してお伝えしたい。

Img_0956  この事件に関連して、大分県警・宮崎県警合同捜査本部は、元2等陸曹の高山敏信容疑者を、2日、窃盗と建造物不法侵入の疑いで逮捕した。調べによれば、高山容疑者は、2006年9月上旬に玖珠駐屯地に侵入し、武器庫から拳銃や小銃などを盗んだという。容疑者は1982年に入隊、2001年3月から玖珠駐屯地の第4戦車大隊本部管理中隊に勤務し、2006年3月に依願退職している。高山容疑者は容疑を大筋で認めているとの事で、取調べにおいて上司を困らせようとしてやった、という供述をしている。

Img_4346  高山容疑者は、8月6日に、高鍋町のパチンコ店に不法侵入しようとして窓ガラスを割ったところ、警報装置が作動し、器物損壊と建造物侵入の疑いで逮捕されている。銃器紛失という2006年の事件発生後、陸上自衛隊では、玖珠駐屯地内や演習場、近隣の道路や住居などを捜索、発見に努めたが発見には至らなかった。しかし、今年6月17日に宮崎県高鍋川で64式小銃の部品“引き金室”が発見されており、紛失した小銃の部品ではないかということで大分県警、宮崎県警が捜査本部を立ち上げていた。

HARUNA

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グルジア紛争の影響が日本海へ 海上自衛隊・ロシア海軍合同救難演習実施を延期へ

2008-09-02 18:26:43 | 国際・政治

■舞鶴にて実施予定が延期に

 福田総理大臣が辞任したが、同じ頃、防衛省より行われた発表で、9月9日から実施される予定であった、海上自衛隊とロシア海軍による合同捜索救難演習が、グルジア紛争を契機とする米ロ対立により、実施が延期となる見通しとなった。

Img_9671  当初、佐世保基地において実施する計画であったが、米ロ対立の関係に配慮し、アメリカ海軍の施設が置かれた佐世保基地ではなく、海上自衛隊の舞鶴基地に艦船を受入、訓練海域を日本海に変更した上で実施する予定であった。今回は、ロシア海軍よりミサイル駆逐艦(ソブネメンヌイ級?)と航空機が参加する予定であったが、延期し、ロシア海軍に訓練日程の再調整などを申し入れる方針とのことだ。

Img_9678  捜索救難演習であるが、現在、日本とロシアにおいて定期的に実施されている軍事演習にあたり、1998年の開始以来、今回で10回目となる。この種の軍事演習(規模的には合同訓練と呼称するべきか)は、特に信頼醸成の観点から重要であり、特に拡大NATOと、グルジア紛争を結果的に支持する姿勢を見せている上海協力機構の、新しい対立の構図に対して、国際関係のトライアングル構造に依拠して緊張緩和を図るという意味でも重要であり、舞鶴にて実施されると聞いていた中で、残念であった。ただし、延期であり、中止ではないので、極力早い時期に実施を期待したい。舞鶴基地において実施された場合は、舞鶴基地においてロシア海軍艦艇の一般公開が行われるのでは、ということで期待していたりもする。

Img_9600  8月8日に、グルジア軍が緊張の高まっていた南オセチア自治州に対して攻撃を行い、平和維持の目的で駐留していたロシア軍との間で戦闘に発展し、グルジア軍は敗走、結果的にオセチア自治州はアブハジア自治州とともに分離独立するに至り、ロシアとの外交関係の断絶に至った。これに対して、人道物資援助の輸送を目的として、アメリカ海軍や沿岸警備隊、NATO海軍の艦船がボスポラス・ダータネルス海峡を越えて黒海に展開、ロシア黒海艦隊との間で睨みあいが続く。同時にアメリカの弾道弾防衛網により対立が続いていた背景もあり、ロシア軍はNATOとの軍事演習が全面的に凍結、加えて、ロシアはイランへの武器輸出再開を発表し、アメリカを牽制する結果に至っている。

Img_3907  国際関係においては、出来る限り多くの外交関係、これは民間外交や自治体国際関係も含めて、維持しておくことが信頼醸成に繋がっており、米ロ関係の停滞、NATOと上海協力機構という新しい対立構造の可能性が生じてきた中において、特に日中関係の改善に重点を置いてきた福田内閣は、いわば、太平洋の架け橋として、中国経由での米ロ関係の緩和に役割があったのだが、その可能性は閉じられようとしている。こうした中で、日ロ合同演習の位置づけは信頼醸成という観点から低くないのだが、今後の展開を見守りたい。

HARUNA

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防衛省 防衛予算平成21年度概算要求の概要 を発表

2008-09-01 22:05:34 | 防衛・安全保障

■防衛予算概算要求

 福田内閣が辞職する意向のようだ。衆院選に向けての対応だろうか。グルジア情勢が、ロシアと上海協力機構の関係性に波及している中、日米中のトライアングル構造を背景に、親中政策を進めた福田政権に終止符が打たれるのは、時期的に考えさせられるものもあるようにも思う。さて、閑話休題、本日は防衛予算概算要求について掲載したい。

■防衛省改革

 防衛大臣を初めとする政治任用者、防衛省文官、自衛官の三者が審議し、防衛大臣による政策決定を補佐する防衛会議の新設。

Img_1034  一方で制度上形骸化している防衛参事官制度を廃止し、三名以内の防衛大臣補佐官制度を開始する。防衛装備品の透明性と競争性を確保するライフサイクルコスト管理室、一般輸入調達の専門部署である輸入調達課を防衛省装備施設本部に新設する。

 自衛隊情報保全隊として陸海空自衛隊の情報保全隊を統合。更に防衛省カウンターインテリジェンス委員会を新設し、情報の集約と共有化を図る。

 これらの防衛省改革を実施する為に、防衛省改革総括官、防衛省改革推進室を設置する。

■防衛力の質的向上

 F-15戦闘機の近代化改修に重点を置いている。予算措置として947億円を投じて22機の近代化改修を実施、38機のレーダー部品などを取得。

Img_198_7  4個飛行隊分のF-15改修型の装備化を急ぐ。加えて、集中して近代化改修を行うことで、60機分を年度毎に分割して調達した場合に比べ、部品費を1736億円から827億円に、改修費を902億円から882億円に圧縮し、結果929億円の圧縮に繋がると説明している。F-15は、近代化改修によりレーダー探知能力の向上、データリンクによる共同交戦能力の向上、新型ミサイルへの対応など、防衛力の質的向上に寄与する。

Img_6245  更にE-767早期警戒管制機のレーダー機能向上に71億円が投じられる。これはF-15近代化改修機とのデータリンク能力を向上刺せる、と説明されている。加えて、高運動ステルス機、いわゆる先進技術実証機「心神」の研究に104億円が計上されている。一方で、F-4戦闘機の後継となる新戦闘機F-Xは中期防衛力整備計画に7機の導入が計画されていたが、選定に時間を要している為21年度には着手しない。次期輸送機C-Xの開発も遅れているため、21年度には整備に着手しない、としている。

■国際貢献任務への対応

 国際平和協力活動のための装備品調達に178億円を要求。傷病者のヘリ機内での応急措置用の装備、野外での高度な医療活動を実施するための移動式医療システム、固定翼哨戒機の広域的な運用を実現する可搬式海上航空作戦指揮統制システム(MACCS)の整備が盛り込まれる。

Img_9291_1  加えて、(これは本文には明記されていないが、アフガニスタンへの派遣を多分に意図しているように思える)ヘリコプターエンジンの能力向上、輸送ヘリコプターの防弾板整備、IED(足跡爆発物)対処システムへの研究が盛り込まれている。また、アフリカのPKOセンターへの教官派遣協力準備への情報収集、コブラゴールド多国間演習への参加、国際平和協力演習の実施などが盛り込まれた。

Img_7346  加えて、NATO主催会議への参加、中国との実務レベルの交流などの防衛協力の推進や広報体制の充実なども明記されている。

 オスロプロセスのダブリン会議において採択されたクラスター弾規制への対応も盛り込まれた。まず、クラスター弾の処理方法の調査を実施し、さらにクラスター弾の後継として精密誘導能力を有する装備品の整備を予算概算要求に盛り込んだ。

■BMDに1279億円、インフルエンザ対策に44億円

 弾道弾防衛としてBMD対応イージス艦の改修継続、ペトリオットミサイルPAC-3の整備などなど。

Img_38_35  更にFPS-5レーダーの整備、ペトリオットミサイルPAC-3の維持整備隊製構築、効果的な部隊展開の保持とともに、システム能力の検証制度導入。イージスBMDシステムの訓練用ソフトウェアの導入などが要求。

 インフルエンザの大規模感染に対応するべく、まず、輸送機や輸送艦人員の感染防止装備、医療支援に際して必要な器材の導入、加えて、自衛隊の組織機能維持のための薬品やマスクの調達が盛り込まれている。

■第15旅団発足、第9師団の改編

 沖縄の第1混成団が第15旅団に改編される。人員は1800名から2100名に増強され、混成群が普通科連隊に改編され、偵察隊、施設中隊、通信隊、化学防護隊が新設される。

Img_0805  青森の第9師団は、装備を大幅に近代化するとともに戦車と火砲を大幅に削減し、普通科部隊を強化した編成に改編される。また、四国善通寺の第14旅団に第14飛行隊が新設される。徳島にヘリ部隊が配置されるという構想だ。この改編により、陸上自衛隊の機甲装備体系が新防衛大綱の水準に近付くこととなる。他方で、第14飛行隊の新設により、中部方面隊全体のヘリコプター数は若干増加することとなるのだろう。

■ゲリラコマンド対処・災害対処

 無人偵察機の導入などに1120億円、NBC攻撃に対処する予算として95億円が要求される。

Img_3454  新規に固定翼指揮の偵察用小型無人機(UAV)の導入が新規に要求される。また、ゲリラ対処用に車両搭載用リモートウェポンステーションの研究が新規も盛り込まれる(これは軽装甲機動車や96式装輪装甲車用の遠隔操作式銃塔などを意識しているのだろうか)。加えて、機動妨害システムの研究に着手することが求められている(恐らく、現行の管制地雷システムの有効運用を期したもの)。

 NBC対策に、天然痘ワクチンの導入、化学剤監視装置や化学防護車、遠隔地医療支援システムの装備、訓練などに95億円が要求される。

 大規模災害に備え883億円が要求される。救難捜索機としてUS-2救難飛行艇、人員輸送用にCH-47輸送ヘリコプターを整備し、災害対処能力として自衛隊統合防災演習の実施などを盛り込んだ。

■宇宙へ、海洋へ

 防衛政策局に宇宙政策検討体制の充実を盛り込み、加えて技術研究本部に宇宙技術計画室を設置。

 衛星を活用した統合防空システムに関するシュミュレーションの実施、宇宙開発利用に関する調査研究などを実施する。

 海洋基本計画への取り組みとして、防衛大学校に海洋法担当教授の増員、護衛艦、特別機動船(複合高速艇)、回転翼哨戒機の整備などを行い、海上保安庁との連携を強化する。

■RMAへの取り組み

 自衛隊のRMA分野への取り組みとして1274億円の予算が要求されている。

Img_3014  陸上自衛隊の新しい職種として、情報科を新設する。これは、普通科、特科、機甲科のような部隊職種に情報科を加えることであり、情報部門の人材を確保し、機能強化を行うことが狙いである。また、情報本部におけるアフリカ地域への情報能力の強化を行う。

 戦闘機搭載用の自衛隊デジタル通信システムの開発や、前述したIED対処システム構成要素の研究を新規研究として盛り込む。

 加えて、より高度な情報通信体制の構築として2013億円が要求され、特に中央指揮システムの換装が行われる。

■米軍再編関係

 米軍再編関係では、グアム移転事業、国内での再編関連措置が盛り込まれている。

Img_2475  海兵隊のグアム移転事業室の新設。普天間飛行場のキャンプシュワブへの移設、嘉手納飛行場以南の土地の返還、厚木航空基地より、米空母艦載機の岩国航空基地への移転、相模原総合補給処の一部返還、嘉手納飛行場所在の米軍機訓練の一部本土移転、地域振興策。また、キャンプ座間への中央即応集団司令部の移転、横田基地への航空自衛隊航空総隊司令部の移設、航空自衛隊車力分屯基地への米軍ミサイル防衛用レーダーの配置などが盛り込まれる。日米安全保障協議委員会の関係経費も予定通り盛り込まれる。

■環境対策・教育

 基地周辺対策経費として、環境整備に846億円、住宅防音に350億円。在日米軍駐留経費負担に1947億円が計上。防衛施設用の借料、訓練などの補償経費として1291億円が計上。

 人材強化として自衛官補制度の導入、障害を受けた隊員の社会復帰を支援する職業能力対策センターの設置などが行われる。また、託児所などの設備整備の強化など。

 防衛研究所の研究部第7研究室の設置を行い、加えて欧州安全保障研究機関との交流やNATO国防大学国防関係学校長会議への参加などを行う。防衛大学校の米国士官学校への長期留学の各銃を行う。防衛医科大学校の22年度の独立行政法人化の準備も行う。

■装備調達の合理化

 短期集中調達による装備調達コストの低減を実施する。

Img_1862  F-15の近代化改修を22機分行うことで929億円の節減、護衛艦二隻分の装備品を一括発注することで119億円の節減、護衛艦用垂直発射アスロックの三ヵ年分を短期集中調達することで60億円の節減が可能、としている。敷設艦を商船規格にて建造することで106億円の節減。加えて、各種救急車などの車両の共通化や装備品のライフサイクルコスト抑制を考慮した部品の採用などが挙げられた。これらの努力により平成23年度までに18年度と比較して15%のコスト低減の達成を期する。また、可能な限りの業務の民間委託、自衛隊生徒体制の見直しや自衛官定数を計画に沿って767名削減し、人件費などを縮減する。

■主要装備品

 陸海空自衛隊の主要な装備品調達について、数量を列挙する。

Img_7324  まず航空機関連。陸上自衛隊は、OH-1観測ヘリ×3(68億円)、UH-60JA多用途ヘリ×2(70億円)、AH-64D戦闘ヘリコプター×0、CH-47JA輸送ヘリ×4(269億円)、新練習ヘリ×1(4億円)。海上自衛隊は、P-1哨戒機×0、SH-60K哨戒ヘリ×5(281億円)、US-2飛行艇×1(120億円)、T-5練習機×5(13億円)、回転翼練習機×3(29億円)。航空自衛隊はF-15近代化改修(947億円)、F-2戦闘機のJDAM運用能力付与×12(16億円)、E-2C早期警戒機の改善×1(4億円)、E-767早期警戒管制機のレーダー機能向上×1(71億円)。

Img_7664  艦船について。護衛艦(新汎用護衛艦)×2(1515億円)、潜水艦×0、掃海艇×1(154億円)、敷設艦×1(290億円)、むらさめ型護衛艦のSAM改修×1(8億円)。誘導弾関係。03式中SAM×2中隊(390億円)、91式携SAMB×41(20億円)、96式多目的誘導弾システム×1(20億円)、中距離多目的誘導弾×20(74億円)、01式軽MAT×67(38億円)。空自は、ペトリオット維持(170億円)、JDAM整備(2億円)。

Img_67_82  陸上自衛隊の主要装備。89式小銃×0(一括取得による)。対人狙撃銃×159(2億円)、5.56㍉機銃MINIMI×405(9億円)、12.7㍉重機関銃×80(5億円)、81㍉迫撃砲×12(2億円)、120㍉重迫撃砲×4(2億円)、99式自走榴弾砲×8(76億円)、90式戦車×8(66億円)、軽装甲機動車×180(55億円)、96式装輪装甲車×16(23億円)、87式偵察警戒車×4(10億円)、化学防護車×4(8億円)、車両や通信及び施設器材等に952億円。加えて、航空自衛隊が基地警備用に軽装甲機動車を23(8億円)。

■技術研究本部研究開発

 注目すべきは、近接防空用のレーザーシステムの研究、車両用リモートウェポンステーションの開発、そして続く先進技術実証機の開発に関するものであろうか。

 自衛隊デジタル通信システムに35億円、03式中距離地対空誘導弾改の開発に26億円、先進技術実証機の研究に104億円、高出力レーザーシステム構成要素の研究に19億円、車両搭載用リモートウェポンシステムステーションの開発への研究に12億円、機動妨害システムの研究に8億円、IED対処システム構成要素の研究に4億円が要求されている。

北大路機関

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