北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

名古屋駅ブルートレイン撮影 寝台特急富士・はやぶさ号撮影

2008-09-20 13:19:40 | コラム

■寝台特急富士はやぶさ号名古屋駅撮影紀行

 寝台特急富士・はやぶさ号の撮影と、名古屋駅に停車している特急車や快速電車の写真を本日は掲載したい。名古屋駅は、京都駅や東京駅、上野駅などと同じく新幹線と在来線、私鉄線が乗り入れる総合駅だ。

Img_0970  寝台特急富士・はやぶさ号、来年にも廃止といわれているブルートレインは、富士号が日本最初の特急列車として1912年に新橋・下関間で運行が開始された名称を受け継ぎ、はやぶさ号は、運航開始から50年の歴史を誇る由緒正しい列車だ。今日こそ、新幹線が九州と京阪神、そして名古屋、東京を結んでいるが、当時はこのブルートレインこそが走るホテルとしての風格と速度を誇っていた。

Img_6710  ホームライナー運行に就く683系特急車。白雪を髣髴とさせる美しい車体が自慢の683系電車、昼間ダイヤでは、特急「しらさぎ」号として、名古屋駅から東海道本線を米原へ、米原から北陸本線に入り、金沢、富山、和倉温泉など北陸方面を結んでいる。683系は、金沢総合車両所の車両で、JR西日本の特急というかたちになっている。

Img_6761  ホームライナー運行に就いているキハ85系気動車。昼間ダイヤの運行では、特急ワイドビューひだ号、特急ワイドビュー南紀として運行されている。ワイドビューひだ号は、名古屋から東海道本線、岐阜から高山線に、非電化区間の高山線を、高山、そして富山まで結ぶ特急。カミンズ社製の強力なディーゼルエンジンと電気指令式ブレーキを搭載した電車特急並の性能を有している。

Img_6769  南紀としては、名古屋駅から紀勢線を通り、新宮駅、紀伊勝浦駅を結んでいる。ワイドビューという名前に恥じない流線型の車体と部分的な前面展望を可能としたデザインは、鉄道友の会よりブルーリボン賞を受賞している。隣のホームの奥に停車しているのは、通勤電車の221系電車。

Img_6788  383系特急電車が回送電車として停車している。昼間ダイヤでは名古屋駅から長野駅までを結ぶ特急として活躍、振子式制御装置を搭載した特急として知られており、振子式制御は、急勾配を規定よりも最大25km/h速く通過することが出来、名古屋駅から中津川駅までの区間では130km/h運転を実施している。なお、前述のワイドビューひだ号と、ワイドビューしなの号は、毎日一往復、大阪まで乗り入れている。

Img_6791  JR東海の新快速電車網を支える313系電車。名古屋を中心に、東は豊橋・浜松まで、西は大垣・米原までを130km/hの新快速・特別快速が結んでいる。LED表示方式の方向幕を搭載しているのが最新の313系5000番台で、並走する名鉄特急の1200形一般車や7000形パノラマカー、5700形急行車のサービスに対抗するべく、全車転換クロスシート方式を採用している。

Img_6803  寝台特急富士・はやぶさ号が2248時、名古屋駅のホームに滑り込む。ブルートレインのブルー塗装客車が名古屋の夜空に溶け込んでいる。名古屋駅時刻表は、最終が2257時発の、のぞみ号新大阪行、博多への最終列車が発車するのは2035時である、新幹線はいよいよその日の運行を終えようとしている中で、ブルートレインの時間が始まろうとしている瞬間だ。

Img_0974  ブルートレインは、名古屋、京都から新幹線の走らない時間帯を走り、新幹線始発前の広島に到着する。また、広島・岡山と名古屋・浜松も同様の利用方法を採る方がいるようだ。場合によっては、新幹線の運行していない時間帯を走るショートカットの列車としても利用する方がいるようだ。この点、終発に近い一部の新幹線指定席券で、寝台を利用できるようにすれば、利用者はそれなりに増えるのではないか、と考えたりする。

Img_6807  寝台特急は、富士・はやぶさ号で1803時東京始発、富士号の終点大分到着は1117時、はやぶさ号の終点熊本着は1149時。はやぶさ号の博多着は1010時なので、東京駅を当日0600時に発車する始発のぞみ号の1045時着よりも僅かに早いものの、12時間遅れで東京を出発した新幹線に追いつかれそうな早さである。従って、山陽本線のダイヤ利便性は別としても、旅行の目的としての需要の比率が比較的高いことが予想される。

Img_6811  寝台特急富士・はやぶさ号は、利用者の減少などで、食堂車の営業終了と編成からの除籍、続いてサロンカーの編成からの除籍により、文字通り寝台車だけの編成となっており、くわえてシャワー設備の有無など、サービスも劣化しているように思う。これが利用客の更なる減少を呼んでいるようにも思う次第。

Img_1012  373系特急車を利用した夜間快速ムーンライトながら号が名古屋駅に到着した。この列車に乗車するのが今回の目的。ムーンライトながら号は、今後、定期運行を改め、季節列車運行となる予定とのことで、将来的には、富士・はやぶさ号が廃止されれば、東海道本線を行く夜行列車は、サンライズ瀬戸・出雲の一本だけになってしまう。夜間要員の確保などの負担が、この一本にかかると大きな負担となってしまうようにも思うのだが、そういう考えを振り払いつつ、首都圏に向かうムーンライトながら号に乗り込んだ。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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横浜ブルートレイン 寝台特急富士はやぶさ号撮影と首都圏JR鉄道網

2008-09-19 20:30:16 | コラム

■寝台特急富士はやぶさ号横浜駅撮影紀行

 先日9月10日、所用あって首都圏に展開したのだが、その際に撮影した首都圏の電車などの写真を掲載したい。今回のメインは、東京駅に乗り入れる最後のブルートレイン、富士・はやぶさ号である。

Img_5607  夜行快速ムーンライトながら号を横浜駅で降りた小生、所用に向かう首都圏とは東京なのだが、0400時台に到着しても早すぎる。そこで、富士はやぶさ号を撮影しようと思い立ったのだが、0936時に横浜駅へ到着する富士はやぶさ号を待って、そのまま五時間ほど立ちっ放しというのも、あまりにもの時間の浪費となってしまう。ブルートレイン横浜駅到着時間を頭に入れて、行動開始だ。

Img_0169  0454時、始発電車なのだろうか、総武快速線横須賀線直通のE217系電車が、早朝の横浜駅に到着する、数時間後のラッシュ時と同じ駅とは思えない日が昇る前の横浜駅から向かう先は横須賀である。朝陽の中の横須賀基地を撮影し、ヴェルニー公園を散策しよう、というのが目的だ。

Img_0173  0542時、横須賀駅到着。横須賀までは、JR線で大船、逗子、鎌倉を経由して行くよりも京浜急行電鉄を利用した方が早いのだが、乗り換える不便を考えれば、とそのままJR線を利用した。E217系は1994年に、それまでの113系電車を置き換えるために導入された列車で、編成中間部分にグリーン車を組み込んでいる。また、ロングシート車が基本なのだが、一部には、ボックス式クロスシートを設置している電車だ。

Img_0233  大船駅で撮影したE217系電車と、京浜東北線の209系電車。横須賀から、今度は根岸線根岸駅に向かう。京浜東北線では、この209系と209系500番台が運行されていたが、老朽化が進み、E233系1000番台に順次入れ替わっているところだ。209系は、京浜東北線の主力であった103系の代替として1994年から導入が開始、1998年3月に京浜東北線からは103系が完全に姿を消した。

Img_0237  京浜東北線用E233系1000番台。中央線特別快速などで活躍するE233系の改良型で、昨年9月から導入が開始された。209系が全幅2800㍉であったのに対してE233系1000番台は2950㍉、更に軽量ステンレス車であるが、万一の事故を想定して運転席の容積が広くとられているのが特色である。10輌固定編成が基本で、全車ロングシートの通勤車だ。

Img_0243  E233系1000番台は、2007年度に12編成が導入、2009年までに83編成の830両が導入され、209系電車と同じく京浜東北線209系500番台を完全に置き換える構想とのことだ。首都圏通勤車の標準型として増強されるE233系に対して、209系は、今後、一気に廃車が進むと見られている。

Img_0250  根岸駅に到着した205系電車。横浜線直通の列車。205系は山手線の代名詞的な車両として国鉄時代から活躍していたが新型のデジタルATC山手線導入によって改造か新車導入かという選択肢が出され、結果新型のE231系500番台を導入、205系は2005年4月を以て山手線からは完全退役した。しかし、車体寿命が相応にあったことから、東日本旅客鉄道管区内の通勤車両として重宝されている。205系の横浜線導入は1988年から、相模線が1991年に電化されてからは、相模線にも205系500番台が乗り入れている。

Img_0282  横浜駅に到着した185系特急「踊り子」号。1981年から導入された特急で、153系急行車の置き換えが目的として導入、特急「あまぎ」と急行「伊豆」を併せ、「踊り子」号としてデビューした。485系の系列で統一されていた国鉄電車特急の系統に入った新機軸である。京阪神快速電車用として当時導入されていた117系普通電車と良く似ているが、これは設計の一部を共通化させたためである。

Img_5593  横浜駅に到着したE231系近郊型。編成中間部分には、ダブルデッカー方式のグリーン車を連結している。東京駅から沼津駅まで運行されている列車もあり、グリーン車にて車窓を眺めつつ東海道本線普通列車の旅というのは、かなり快適であったが、今回撮影しようという列車は、間もなくやってくる。

Img_5598  寝台特急富士・はやぶさ号の姿が横浜駅ホームからも微かに見えてきた。横浜駅でブルートレインを撮影するのは今回が初めてなのだが、対向列車と被ってしまわないかというのが毎回新しい撮影ポイントで撮影するたびに考えてしまう、心躍る瞬間だ。隣にはE231系、反対側にE217系電車がみえている。

Img_5606  富士・はやぶさ号がEF66電気機関車に牽引され、滑り込むようにブルートレインの横浜駅到着。はやぶさ号が熊本駅から、富士号が大分駅から出発し、途中で連結、富士・はやぶさ号となる。この列車は、新幹線では到達できないほどの距離を、東京と大分は1262km、東京と熊本は1293kmもの距離を結んでおり、約17時間という長い時間をかけて東京へ至る、文字通りの長距離特急である。

Img_5620  東京と九州を結んでいた九州ブルートレインは、「富士」号、「はやぶさ」号の他に、「あさかぜ」号、「さくら」号、「みずほ」号などが運行されていたのだが、新幹線に活躍の場を奪われ、連結運行などを経て、今日は「富士・はやぶさ」号として一本のこるだけとなってしまったのは寂しいが、他方で、連結などにより時間選択のはばが狭まってしまうことで、利便性を自ら削ってきたのも事実ではある。

Img_5625  行先表示板を撮影。丁度良い機会なので、はやぶさ号の料金を紹介したい。東京と熊本の間の運賃と特急料金は17850円、寝台料金はA個室シングルデラックスが13350円で合計金額は31200円、開放型B寝台とB個室ソロの料金は双方とも6300円で合計金額は24150円となっている。なお、寝台料金は、どれだけの区間乗っても同一である。

Img_5628  寝台特急富士の料金も併せて紹介したい。東京から大分までの運賃と特急料金の合計は17430円、寝台料金は、富士号も、はやぶさ号と同じで、A個室シングルデラックスが13350円で合計金額は30780円、開放型B寝台とB個室ソロの料金は双方とも6300円で合計金額は23730円となっている。

Img_0290  ブルートレインの長大な編成。ブルートレインは、ブルーの塗装を施した夜間運行の客車寝台特急の総称であるのだが、今日、この定義に当て嵌まるブルートレインは、「北斗星」、「あけぼの」、「日本海」、「北陸」と、「富士・はやぶさ」だけになってしまった。カラーリングこそ異なるが「カシオペア」、「トワイライトエクスプレス」が運行されている。しかし、どれも将来は安泰ではないのが現実だ。

Img_0298  EF66形電気機関車のアップ。ブルートレインの客車カラーと調和しており、スピード感溢れる前面デザインが美しい。このEF66が牽引するブルートレインは、かつては、なは・あかつき号の牽引に活躍していたが、同列車が廃止されてしまった今日、もうEF66が牽引するブルートレインといえば、この富士・はやぶさ号だけになっているのではないだろうか。

Img_5632  横浜駅を出発する富士・はやぶさ号。間もなく終点の東京駅、遠い旅路も間もなく終わりだ。この日は平日であったが、なるほど、京都駅と同じようにブルートレインが到着するホームには少人数ではあるが、列車ファンがカメラを並べていた。到着ホームから撮影している人が大半であったが、小生の場合は向かい側からのホームで撮影したほうが、車体の形状がしっかりと写っていいのかな、と考えている。

Img_0307  211系電車。国鉄時代末期に導入された近郊型電車で、軽量ステンレス製の車体を採用している。ボックスシート仕様のものとロングシート仕様のものがあるが、写真はロングシート仕様のもの、東海道本線で運行されているということで、中間にはダブルデッカー方式のグリーン車を連結している。

Img_0308  横浜から東京へ。写真は中央線総武線の209系500番台で、103系、201系などが運行されていた中央線総武線に1998年12月から導入された。2001年には103系、201系を完全に置き換えており、231系0番台とともに通勤輸送網を形成している。209系500番台は、209系の拡幅仕様車で、車体羽場を2800㍉から2950㍉としている。

Img_0316  所用を終えて徒歩で駅に、中央線に乗り換えると、向こうから201系がやってきた。2006年12月から大量導入が始まったE233系0番台により勢力を大きく減退させているが、1981年に中央線特別快速用に導入されて以来、本数は激減しつつも頑張っている。2002年までは青梅線、五日市線に103系が頑張っていたが、E233系により置き換えられており、東京直通の列車に限り201系も運行中だ。

Img_0328  中央線東京行き201系の長大な編成。1967年に特別快速が運転を開始して以来103系に次いで二代目の“中央特快”。201系は、最高速度こそ100km/hと新世代電車に比べれば見劣りするものの、回生ブレーキを搭載するなど、省エネ電車として導入され、大阪環状線など全国的に見ればまだまだ現役の車両である。

Img_0339  201系に乗車し、そのまま神田神保町の古書店街で書籍を探し、次いで秋葉原に立ち寄って東京駅に。

 帰路、東海道本線、茅ヶ崎駅(かな?)で撮影した東海道本線塗装のE217系電車。横須賀線でみるE217系電車と、カラーリングが異なるだけで個々まで印象が変わるのか、という典型例。

Img_0344  E231系近郊型。この電車で小田原まで行き、小田原城などを観光した後、帰路についた。ロングシートばかりの路線は、JR西日本の223系やJR東海の313系といった新快速・特別快速で活躍するクロスシート車と比べれば乗り心地では劣るものの、多彩な電車は、観ている分にはなかなか飽きないものである。

HARUNA

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平成二十年度九月期 陸海空自衛隊主要行事 実施詳報(2)

2008-09-18 20:58:35 | 北大路機関 広報

■自衛隊関連行事

 台風13号接近中である。非常に遅い台風ということだが、京阪神地方に接近するのは金曜日から土曜日、行事直撃は避けられるのだろうか、と考えつつ、自衛隊関連行事の紹介だ。

Img_7470  透き通るような蒼穹の大空を白いスモークとともに貫く青い衝撃、ブルーインパルスの飛行展示は航空祭の華というべきで、遠方から1300時に基地へ到着するブルーインパルス見学専用のバスツアーもあるとのことだ。さて、“飛行展示”は、小生のPCではどうしても最初の変換で“非荒天時”と出てしまう。しかしこれも的を射たもので、文字通り非荒天時でなければ飛行展示そのものが行えないわけで、天候と自衛隊行事は切っても切り離せないもの。そして来たのが台風シーズン。

Img_6458_1  台風接近下で行われた行事としては、昨年の豊川駐屯地祭が挙げられる。台風が近くまで接近しているなか、愛知県の豊川駐屯地では晴天プログラムで全ての行事を予定通り実施し、悪天候下ではFH-70榴弾砲の砲焔がいつもよりも映えていた次第。同日、台風からは豊川よりもやや遠い小牧基地の航空祭では、ほぼ飛行展示が中止となった模様、即ち陸上自衛隊行事は、雨に強いと実感した次第だ。

Img_1742 21日の日曜日は、京都から程近い、もしくはやや離れたところで三つの行事が行われる。おそらく京阪神地区に御住まいの方で、行事参加を考えておられる方は似たような悩みを抱えているのではないだろうか。一つは小松基地航空祭。第6航空団のF-15二個飛行隊が展開しており、台風が接近していても、近隣が大雨でも、白山くくり姫の御利益か、何故か晴れるということからコマツマジックと、航空機ファンの間では崇敬が厚い。ところで、F-15、飛行は実施されるのだろうか、航空自衛隊HPによれば特別点検を終えた機体を16日から順次飛行再開させているということだが、航空祭への影響は如何に。16日1700時時点で89機が点検を完了したとのこと。

Img_2588  もう一つは今津駐屯地祭。台風接近下で、強風に非常に弱いことで有名な湖西線(琵琶湖からの強風で日常的に運転を見合わせることで有名)を利用する必要があり、リスクが高いが、第3戦車大隊、第10戦車大隊と中部方面隊最大の戦車部隊が駐屯しており、中部方面直轄の部隊なども駐屯していることで、迫力ある行事が期待できる。

Img_2864  21日に実施される自衛隊行事の中で、京阪神地区から足を運ぶのに、もっとも無難なのは桂駐屯地祭。不発弾処理の訓練展示や防災訓練など、桂駐屯地に駐屯する中部方面後方支援隊ならではの展示をみることができ、なによりも、土砂降りとなった場合は、1942年に建築された、単一建造物としては日本最大規模の倉庫内で、記念行事が行われる。阪急とJRの駅から近いことも特筆したい。

Img_0924  さて、このほか、九月後半の行事でお薦めしたいのは、金沢駐屯地祭。山岳連隊と名高い14連隊は、昨年薦められて足を運んで見ると、市街戦と野戦の要素を巧みに組み込んだ訓練展示模擬戦に驚かされた。付け加えれば、東京からも、寝台特急北陸で一本、数が減少し続けているブルートレインを満喫し、駐屯地祭を満喫、更に加賀百万石の金沢城、兼六園の観光が出来るのも一つのお薦めというべきだろう。

Img_1287  少年工科学校開校記念行事もお薦めだが、忘れてはならないのが東北方面隊創設記念行事。霞目飛行場を使って行われる観閲行進は、観閲行進を実施する海上としては日本最大級といえる。師団改編を控えた第9師団では、今日では貴重となった旧式装備を運用していることもあり、観閲行進に出てくるかは別としても、変わり行く陸上自衛隊のいまを見ることが出来る貴重な行事である。会場が逆光なのが残念ではあるのだが。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

  1. 九月二十一日(陸上自衛隊):倶知安駐屯地創立53周年記念行事(北海道虻田郡倶知安町)・・・北部方面対舟艇対戦車隊が駐屯。第28普通科連隊第4中隊が駐屯していたのだが、第11師団の旅団改編により廃止された模様。
  2. 九月二十一日(航空自衛隊):車力分屯基地開庁28周年記念行事(青森県つがる市)・・・第21・22高射隊のペトリオットミサイル部隊が展開、米軍部隊の展示も行われるのだろうか。
  3. 九月二十一日(航空自衛隊):小松基地航空祭2008(石川県小松市)・・・第六航空団の展開する小松基地、F-15J二個飛行隊が鋭い飛行展示を毎年実施、小松救難隊の展示などと併せて、ブルーインパルスも飛行展示を実施予定。
  4. 九月二十一日(陸上自衛隊):今津駐屯地創設56周年記念行事(滋賀県高島市)・・・第3戦車大隊、第10戦車大隊の戦車部隊が駐屯。戦車部隊による観閲行進は、なかなかの迫力。
  5. 九月二十一日(陸上自衛隊):桂駐屯地創立54周年記念行事(京都府京都市)・・・中部方面後方支援隊が駐屯、不発弾処理部隊なども駐屯。
  6. 九月二十三日(陸上自衛隊):島松駐屯地創立56周年記念行事(北海道恵庭市)・・・北海道補給処本処、第1高射特科群一部部隊、北部方面後方支援隊が駐屯。
  7. 九月二十三日(陸上自衛隊):鯖江駐屯地創立45周年記念行事(福井県鯖江市)・・・福井県唯一の駐屯地、第372施設中隊が駐屯。
  8. 九月二十七日(陸上自衛隊):小平駐屯地創立記念行事(東京都小平市)・・・調査学校と業務学校などを統合した小平学校が置かれている。
  9. 九月二十七日(海上自衛隊):徳島航空基地スカイフェスタ(徳島県板野郡松茂町)・・・徳島教育航空群が展開。TC-90練習機が配備されている。
  10. 九月二十八日(陸上自衛隊):北恵庭駐屯地創立58周年記念行事(北海道恵庭市)・・・第1戦車群、第72戦車連隊が駐屯。
  11. 九月二十八日(陸上自衛隊):東北方面隊創立48周年記念行事(宮城県仙台市)・・・第6師団、第9師団と方面隊直轄部隊からなり、東北六県の防衛警備及び災害派遣を担う方面隊、霞目飛行場の広大な敷地を利用し、式典や観閲行進が行われる。
  12. 九月二十八日(陸上自衛隊):少年工科学校創立記念行事(神奈川県横須賀市)・・・少年工科学校、第1教育団、第31普通科連隊が駐屯。
  13. 九月二十八日(陸上自衛隊):金沢駐屯地創立58周年記念行事(石川県金沢市)・・・福井・石川・富山三県を防衛警備区、山岳連隊として名高い第14普通科連隊が駐屯。

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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海上自衛隊 平成20年度遠洋練習航海部隊 明日東京帰港

2008-09-17 22:33:26 | 北大路機関 広報

■遠洋練習航海部隊帰国行事

 明日9月18日、平成20年度遠洋練習航海部隊が日本に帰港、東京港で帰国行事が行われる旨、海上自衛隊ニュースリリース(http://www.mod.go.jp/msdf/)に発表されていたので紹介したい。

Img_9846  遠洋練習航海部隊の帰国行事は、東京港晴海埠頭HKバースにて行われる。行事予定は、0940時練習艦隊晴海入港、1030時から1100時まで帰国行事が行われる。帰国行事の内容は、栄誉礼、訓示、花束贈呈が予定されており、式典には赤星海上幕僚長らが出席する。遠洋練習航海部隊は、練習艦「かしま」、練習艦「あさぎり」、護衛艦「うみぎり」で総員760名の部隊。練習航海部隊は4月15日に東京晴海埠頭を出航、最初の寄港地パールハーバーに4月27日入港同30日出航、続いて米本土サンディエゴに5月8日入港、11日出航。

Img_9868  パナマシティ5月21日入港、23日出航。パナマ運河を通りブラジルのレシフェへ6月6日から8日まで寄港、リデオジャネイロに6月12日から17日まで寄港。大西洋を渡りセネガルのダカールに7月1日から3日まで、フランスのルーアンに7月11日から15日まで、オランダアムステルダムに7月17日から20日まで、そしてイギリスポーツマスに7月23日入港し28日出航、地中海をエジプトのポート再度に8月9日寄港し11日に出航。

Img_9863  海上自衛隊の対テロ支援部隊が活躍するアラビア海をインドのムンバイに入港したのが8月22日、26日に出航すると最後の寄港地であるシンガポールに9月4日入港、7日出航、そして明日日本に帰ってくる。三隻の自衛艦は4月15技から9月18日までの159日間、そのうち航海116日、停泊43日、十ヶ国13寄港地を回り、文字通り世界を一周し、帰国するのである。お時間のある方は、足を運ばれてみてはどうだろうか。

HARUNA

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アメリカ海軍 キングストン型高速哨戒艇(KINGSTON CLASS)

2008-09-16 22:57:47 | 在日米軍

■基地警備用の小型哨戒艇

 アメリカ海軍横須賀施設を対岸に、ヴェルニー公園を散策していると、イージス巡洋艦やイージス駆逐艦、潜水艦の威容に目を取られがちであるが、しばらくすると、加速性に優れた小型艇に目が移ることとなろう。

Img_3403  キングストン級高速哨戒艇は、アメリカ海軍が2001年から基地警備用に就役を開始させた小型哨戒艇である。米海軍では、キングストン型が就役する以前まで、基地警備にヴェトナム戦争期に大量建造されたPBR系統の河川用哨戒艇や内水用PB哨戒艇などを充ててきたが、自爆ボートなどによる停泊艦船への不意急襲に対応するには、加速力や速力、機動性などで満足とは言い難い部分があった。

Img_3401  キングストン型高速哨戒艇は、満載排水量5㌧、船体と上部構造物は軽合金製である。全長9.8㍍で全幅2.7㍍。喫水は0.6㍍。乗員五名で、主機はディーゼルエンジン二基、ウォータージェット二基で、出力710馬力。これにより速力は30ノット以上に達する。武装は、取り外し可能な7.62㍉機銃を最大3丁搭載でき、操舵室の前に一箇所、操舵室後ろの左右に各一箇所、銃架を設置可能だ。

Img_2507 もともとは、ウイラードマリーン社製の市販ボートに武装を施したもので、操舵室前の形状をみると、横須賀基地に配備されているものは、初期型のものであることがわかる。本型は、高い加速性を有し、自爆ボートを機銃により無力化するとともに、発動機を取り付けるトランサム部分にダイビングプラットホームを取り付け、水中破壊工作に対処する特殊部隊員の運搬も可能だ。

Img_6837  横須賀基地に入港するタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦チャンセラーズヴィル。搭載するイージスシステムは、洋上において鉄壁の防空能力を発揮するが、港湾におけるテロ攻撃やコマンドー部隊の襲撃に対しては、搭載する機関銃と小銃で防御するのが限界である。いわば艦艇基地は艦船の脆弱性が最も高まる場所ともいえる。

Img_2922  さて、この種の哨戒艇は、現在海上自衛隊にも最も必要な艦船の一つではないかと考える。いちおう、地方隊には警備隊が置かれており、ゲリラコマンドー対処により基地機能を維持する任務を負っているが、基地警備用に導入されていた19号型哨戒艇も現在、全て除籍されている。舞鶴、佐世保、大湊基地にはミサイル艇が配備されているが、基地の限られた海域では、まさか76㍉砲を使うわけにも行かず、大型過ぎるといえる。

Img_1045  また、交通船などを哨戒艇に使うには、速力や加速力などの面で能力が不足している。従って、基地警備用には、キングストン級のような小型哨戒艇が必要になるわけだ。特に、この種の装備が配置されており、定期的に巡回しているというだけでも、ゲリラコマンドー対策としては、大きな抑止力となるだろう。

HARUNA

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海上自衛隊横須賀基地を海から探訪 横須賀軍港めぐり 定期運行へ

2008-09-15 22:32:08 | 海上自衛隊 催事

■YOKOSUKA軍港めぐり

 横須賀軍港巡りは、これまで季節限定の不定期運行であったが、この9月から定期運行となった。せっかく横須賀サマーフェスタに行ったのだから軍港巡りに行こう!と思いきや、満員御礼で乗船できず、という方も多かったのではないか、私がそうだったので、皆そうに違いない(ヲイヲイ)。

Img_3220  横須賀基地を出航する「はるな」。

 横須賀軍港めぐり定期運行化の記念に本日は、20日に乗船した際の写真を紹介したい(当時とは乗船場が違うので若干、様子は違うかも)。現在は、汐入駅から程近い、ダイエー・ショッパーズプラザ横須賀前のヴェルニー公園から乗船する。運賃は大人1200円、子供600円で、出航時刻は1100・1200・1300・1400時の一日四本、航行時間は45分。運行しているのはチャータークルーズなどでも知られるトライアングルで、他に猿島、観音崎航路も運行している会社だ。

Img_3359  横須賀港外に停泊する護衛艦「おおなみ」と、舞鶴基地に向かうヘリコプター護衛艦はるな。はるな、には第3護衛隊群司令が乗艦しているのだが、桟橋の外側に停泊していた。指揮官座場の場合は、桟橋に近いところに停泊するので、出航するということは、考えれば当然だったのだ。

Img_3381  12号バースに停泊する強襲揚陸艦エセックス。エセックスは佐世保基地から横須賀に寄港しているところ。ここには25日に原子力空母ジョージワシントンが入港する予定。強襲揚陸艦エセックス(LHD-2 Essex)は、ワスプ級強襲揚陸艦の二番艦として1992年に就役した世界最大の揚陸艦で、満載排水量は40650㌧、全長257㍍。ヘリコプター42機とVTOL攻撃機6~8機を搭載することが可能、ドック型揚陸艦としての機能も有し、LCACならば3隻、従来型のLCMであれば12隻が収容できる。乗員は1123名、揚陸部隊2000名を収容できる。

Img_3390  アメリカ海軍横須賀施設に停泊している二隻のイージス艦。ヴェルニー公園の対岸にみえる埠頭である。左側がミサイル駆逐艦ラッセン(DDG82 Lassen)、右側がミサイル駆逐艦ジョンポールジョーンズ(DDG53 Jhon Paul Jones)。ラッセンはアーレイバーク級の22番艦で、ヘリコプターを搭載するフライト2Aに属し満載排水量は9200㌧、ジョンポールジョーンズは三番艦、満載排水量は8315㌧である。

Img_3402  キングストン級高速哨戒艇が近付いてくる。横須賀軍港めぐりは、米海軍と海上自衛隊の特別な許可のもとに行われており、撮影も制約はない、ただし、飛び込み禁止(やった奴いるのか?)とアナウンスがあった。キングストン(Kingston)級は基地哨戒用に2001年から米海軍が導入したもので、満載排水量5.5㌧、最高速力30ノット以上で加速が凄く早い。乗員5名で7.62㍉機銃3門を搭載可能、海上自衛隊にも欲しい装備だ。

Img_8329  アーレイバーク級のマストと共に海上自衛隊の潜水艦三隻が停泊している。中央に停泊しているのが「はるしお」型潜水艦で、左右に停泊しているのが「おやしお」型であるということまでは分かるのだが、艦名は不明。多数の潜水艦が停泊していることからも分かるように、横須賀基地には第2潜水隊群司令部が置かれている。写真の反対側がヴェルニー公園なのだが、潜水艦に気をとられていてウェルニー公園を海側から撮るのを忘れていたのは内緒。

Img_8347  海上自衛隊の誇るイージス艦きりしま。軍港めぐりは、吉倉桟橋へと進む。きりしま、は満載排水量9500㌧、全長161㍍。海上自衛隊が導入した二隻目のイージス艦で、イージスシステムを搭載した電子の要塞は、90発のミサイルを垂直発射装置(VLS)に搭載、加えて弾道ミサイル防衛任務に対応するシステム改修を受けている。

Img_3415 イージス艦きりしま、の隣に停泊しているのは護衛艦はるさめ。9隻が建造された、むらさめ型護衛艦の二番艦で、満載排水量は6200㌧。本型は護衛艦として始めて本格的にステルス性に考慮した設計を採用し、対潜用、対空用ミサイルをVLSから運用する方式を採用したことで知られる。なお、大型化とともに自動化を進めたことでも知られ、科員居住区は二段ベットを採用するなど、居住性を高めている。

Img_8366  吉倉桟橋の情景。左から順番に、護衛艦「おおなみ」、護衛艦「しらゆき」、旧砕氷艦「しらせ」、海洋観測艦「ふたみ」、海洋観測艦「わかさ」。「おおなみ」は、「むらさめ」型の拡大改良型である「たかなみ」型の二番艦、海洋観測艦は潜水艦を探知識別する音響観測能力に特化した艦で、音響を感知するケーブルなどの敷設も行う。なお、長期の航海が多く、その分、居住性には相当の配慮が為されている。「しらせ」は南極観測支援など多くの任務を果たした後、7月30日に除籍となった。

Img_8383  軍港めぐりは、これまで回った横須賀本港から荒井掘割水路を通り艦船補給所のある長浦港、自衛艦隊司令部の置かれた船越地区に向かう。横須賀本港には、大型艦が停泊しており、横須賀地方総監部が置かれており、長浦港と船越地区には横須賀地方隊の艦船が停泊している。写真の左側は海上自衛隊の箱崎ターミナルで、右側が米軍施設が置かれている吾妻島だ。

Img_3462  掃海艦「やえやま」と掃海艦「つしま」。掃海隊群第51掃海隊に所属する掃海艦。海上自衛隊はこれまで多くの掃海艇を建造してきたが、対潜用に海峡や港湾入り口へ敷設される深深度敷設機雷に対抗するべく導入された。満載排水量は1200㌧、機雷対策に木造船体を採用しているが、木造艦としては、世界最大の艦である。

Img_8416  自衛艦隊司令部と、護衛艦隊33隻の護衛艦を指揮する護衛艦隊旗艦「さわかぜ」。「さわかぜ」は「たかつき」型護衛艦を原型としてスタンダードSAMシステムを搭載した「たちかぜ」型ミサイル護衛艦の三番艦として建造され、満載排水量は5200㌧。護衛艦隊旗艦として、先代の「たちかぜ」は後部の5インチ砲を撤去し、そこに司令部施設を新設したが、「さわかぜ」は旗艦となっても、改造は施されていないようだ。どうせならば、「はるな」あたりをヘリコプター格納庫を改修し司令部施設を配置するかたちで、護衛艦隊旗艦にすれば、とも思うのだが。

Img_3448  元ミサイル護衛艦/護衛艦隊旗艦「たちかぜ」。標的艦として改装が行われている。今年の海上自衛隊演習で標的となる予定とされるが、燃料費高騰により海上自衛隊演習が図上演習となったため、もう少し、船越地区に留まるのだろうか。隣は、試験艦「くりはま」、満載排水量1100㌧で対潜装備、機雷戦装備の海上試験を行う艦である。

Img_3469  ミサイル護衛艦「はたかぜ」と護衛艦「はつゆき」。「はたかぜ」はガスタービン推進方式のミサイル護衛艦で満載排水量は5900㌧、イージス艦導入までの過渡的な防空艦という位置づけで、一時、同時多目標処理能力を付与させる近代化改装が計画されたが、実現には至らなかった。「はつゆき」は12隻が建造された「はつゆき」型のネームシップで、満載排水量4000㌧という限られた艦内に、対空・対潜・対水上各種ミサイルを搭載、哨戒ヘリコプターの運用能力を有しガスタービン推進方式を採用するという野心的な設計で知られ、今日の護衛艦隊編成の基礎を創った。

Img_3488  試験艦「あすか」の隣を通り、軍港めぐりは発着場に向かう。以上が、横須賀軍港めぐり、船上からの情景だ。短い時間であるが、思いのほか横須賀基地の今を知ることができ、解説アナウンスにより理解を深めることが出来る。なお、停泊している艦船は、実際に見るまで知ることはできず、気象条件などにより運行が中止される可能性があるとのことだ。一日四本運行ということもあり、お薦めのひと時を過ごすことができよう。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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ハーパーズ・フェリー(LSD-49 Harpers Ferry) 横須賀入港

2008-09-14 23:19:44 | 在日米軍

■ホイッドビーアイランド級ドック型揚陸艦

 まず最初に、本日14日0656時頃、国籍不明潜水艦が四国沖の領海内に潜航しているのを、航行中のミサイル護衛艦あたご、が発見、これを追尾した。これについては、情報収集中につき、第一報を第二北大路機関に掲載したので、そちらをご覧いただければ幸い、http://harunakurama.blog10.fc2.com/blog-entry-129.html

Img_0175  本日の記事は、10日に横須賀基地散策の際に入港しているのを撮影した、ホイッドビーアイランド級揚陸艦の9番艦、ハーパーズ・フェリーについて掲載。同艦は2002年9月に佐世保基地に前方展開という形で配備されたドック型揚陸艦である。ホイッドビーアイランド級揚陸艦は、1985年から1998年まで12隻が就役した揚陸艦で、艦内に上陸用舟艇を搭載するドックを有する為、こういう形式の揚陸艦をドック型揚陸艦と称している(海上自衛隊の、おおすみ型輸送艦も、定義ではドック型揚陸艦に含まれる)。

Img_0174  ホイッドビーアイランド級揚陸艦は、満載排水量15726㌧、全長185㍍、全幅25.6㍍、喫水は6.3㍍で、ディーゼルエンジン四基の二軸推進、馬力は37440hp。速力は22ノットで、操舵性を考慮し可変ピッチプロペラを採用した。武装は、自衛用にRAM対空ミサイル21連発射機を1~2基、20㍉CIWS2基、25㍉単装機銃2基、12.7㍉機銃8基を搭載、固有の乗員は340名で、500名の揚陸部隊を輸送可能だ。おおすみ型輸送艦は満載排水量14000㌧であるので、ホイッドビーアイランド級揚陸艦の方が一割ほど大きい。

Img_0189  この、ハーパーズフェリーは、9番艦であるが、9番艦から貨物搭載量を増加させるため、満載排水量が16740㌧に大型化している。これをもって、ハーパーズフェリー以降に建造された4隻をハーパーズフェリー級と呼称することもあるようだ。ホイッドビーアイランド級揚陸艦は、エアクッション式揚陸艇(LCAC)の運用を前提として建造された最初の揚陸艦である。

Img_0206  ホイッドビーアイランド級揚陸艦のLCAC運用能力は4隻であり、ドックは全長134㍍、全幅15.2㍍と大きい。なお、ハーパーズフェリー以降の建造艦は、貨物搭載量を増加させた分、ドックの容積が減少し、LCACは2隻しか搭載することが出来ない。後部の広大な飛行甲板は、CH-53大型輸送ヘリコプターを2機、運用することが可能となっており、隣にみえるクレーンは左右に二基あり、60㌧の起重能力がある。

Img_0208  現在、米海軍では、ドック型揚陸輸送艦として新型のサンアントニオ級を建造している。新型艦は満載排水量25300㌧、全長208㍍と、各国が建造する戦力投射艦や強襲揚陸艦に匹敵するものであるが、その分コストも大きい。大して、ホイッドビーアイランド級はドック型揚陸艦ながら、揚陸輸送艦並みの輸送能力も併せ持っている為、今世紀においても当分は重要な役割を担うこととなろう。

HARUNA

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護衛艦ひゅうが 護衛艦しらね 磯子海釣り施設への撮影移動ガイド

2008-09-13 15:35:36 | 北大路機関 広報

■護衛艦ひゅうが、を観に横浜磯子海釣り施設へ

 路線バスの利用というのは、電車のように線路も無いし、バス停を探すにも駅のように道路標識に出ていない、能率手帳も首都圏鉄道路線図は載せてくれても、首都圏路線バス情報までは載せてくれない、それで先日苦労した小生、備忘録として、ひゅうが撮影までの道程を掲載、今日も役に立たないお役立ちガイドだ。

Img_2609  ヘリコプター護衛艦ひゅうが、公試に向かうべく横須賀沖を航行している様子。8月19日に撮影した写真で横須賀基地に入港するべく沖に停泊中のヘリコプター護衛艦はるな、その隣を進んでいる様子だ。ひゅうが公試はかなりの頻度で行われているのか、10日、朝0830時に磯子に足を運んだとき、“ひゅうが”は公試に出港した後であったのは既報の通り。

Img_5547  ヘリコプター護衛艦ひゅうが、が建造され、ヘリコプター護衛艦しらね、が修理されているIHI MU横浜工場を一望できるのは、横浜磯子の海釣り施設で、対岸に広大な造船所が広がっている。護衛艦“ひゅうが”を一度見てみたい、護衛艦“しらね”の修理を御見舞いしたい、という方に磯子海釣り公園まで、どうやっていくのかをお伝えするのが今回の主旨。ワタクシのように根岸駅から徒歩でいく無謀を他の方がやらないように

Img_0236  京浜東北線根岸線を利用する。こういう時に限って中々撮れなかったE233系京浜東北線塗装がやってきた。一番近い駅は何処か、電源開発のジェイパワー磯子事業所、そこに海釣り施設があり、対岸にIHI MU横浜工場。地図上では、徒歩でいくならば磯子駅から行くよりも根岸駅の方が近いのだけど、ものすごく時間が掛かるのでお薦めできない。磯子駅からタクシーを使うと、昨年8月の時点で往復運賃は3300円程度。やや高いようにも。

Img_0269  85系統バス磯子駅東口行き。護衛艦を撮影するべく磯子海釣り施設に向かうには、一番理想的な交通手段は自動車。次善の策は路線バスであると考える。ノンステップバスもあるし、均一区間なので片道210円。横浜市バスは、1000円札を入れると自動的に運賃が差し引かれお釣りが来るという、京都市バスよりも近代的な、という。

Img_0263  85系統バスは、磯子車庫もしくは磯子車庫前を基点にしているが、駅からは磯子駅東口(跨線橋を渡ってすぐ)が便利。活動ホーム前→水道局磯子営業所前→青物市場前→東京ガス前→東電前→ジェイパワー前→磯子海釣り施設→下水処理場前(終点)、という路線。根岸駅は掠らない路線だ。これまではジェイパワー前降車が一番、と記したが、ジェイパワー前の次、磯子海釣り施設で降車すると、その途中に造船所が見える海浜道路を走るので、こちらの方が良い。

Img_0266  85系統バスは、昼間には一時間一本の運行だ。気をつけなければならない。終点が下水処理場なので、終点から磯子車庫行きの85系統バスが磯子海釣り施設バス停まで折り返してくるまで、おおよそ6分。撮影対象物が造船所に居なくても、すぐに撤収することが可能だ。バス停から撮影位置までは駆け足全速力で1分強、車内からの撮影と併せて、短時間展開、短時間撤収も可能かもしれない。

Img_0267  バスの本数に気をつけたい。磯子駅からの本数は、始発の着が0655時。0700時台に6本(土日2本)、0800時台6本(土曜4本、休日2本)、0900時2本(休日1本)、0900~1800時1本(土曜1300時、休日1600時台は0本)、ただ、平日は1600時1800時台に2本運行があり、1700時台に4本、終バスは2100時着。磯子車庫行きは磯子海釣り施設を始発0720時、0800時台に3本、0900時台に2本、1000~1600時台まで1本(1400時台のみ2本)、1700時に7本、1800時台に5本運行、1900時台2000時台に2本運行で終バスは2107時。

Img_0275  磯子駅東口からの所要時間は8~9分(バスを乗車前に撮影してから、磯子駅のE233系を撮影するまで9分)。バスの時刻表さえ確認すれば意外と近かったりするのだ。海釣りをする人がかなり居るのに、補給は難しい、自販機は、ジェイパワー前あたりから極端に少なくなる。ただ、磯子海釣り施設に入場(釣り入場500円、見学入場100円)すれば自販機がある。ちなみに、海釣り施設の駐輪場は、万一の雨宿りに使える。

HARUNA

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ヘリコプター護衛艦しらね IHI-MU横浜工場にて火災事故からの修理すすむ

2008-09-12 20:10:22 | 先端軍事テクノロジー

■DDH-143 SHIRANE

 ヘリコプター搭載護衛艦しらね、本艦は、しらね型護衛艦のネームシップとして1980年に就役した護衛艦で、満載排水量は7200㌧、全長159㍍の船体は、前部に二門の5インチ単装砲、中央部に艦橋と航空機格納庫を有し、後部は長大な飛行甲板、艦底には大出力低周波ソーナーOQS-101を搭載、という構造。

Img_5550  しらね型護衛艦は、はるな型護衛艦とともに3機のヘリコプターを運用するヘリコプター搭載護衛艦として整備され、特にシーレーン防衛を第一任務として装備体系を整備してきた海上自衛隊にとって、対潜哨戒に大きな威力を発揮するヘリコプターを運用する母艦は、“はるな”“ひえい”“しらね”“くらま”という四隻のヘリコプター搭載護衛艦全てが四個ある護衛隊群の旗艦という位置づけを担っている。

Img_0259  そして、横須賀基地に配属された、しらね、は隣接するアメリカ海軍横須賀施設に前方展開している第七艦隊旗艦ブルーリッジとの姉妹艦関係にあり、ヘリコプター護衛艦しらね、は、横須賀第1護衛隊群旗艦であると同時に、いわば海上自衛隊の旗艦的な存在という位置づけを有する。

Img_5577  この護衛艦しらね受難となったのは火災事故であった。2007年12月14日2220時頃、横須賀基地の吉倉桟橋に停泊していた護衛艦しらね艦内で火災が発生、夜間は施錠されるCIC(戦闘指揮所)内部の民生品保温庫から出火し、火災は八時間に渡り延焼、ハロンガス消火では対処出来ない火勢であったことから放水による消火を決断、結果、火災と放水によりCIC区画の電子機器が全損し、修繕費は一時は最大200億円と見積もられ、除籍も検討された。

Img_5564  しかしながら、除籍護衛艦からCIC区画の電子装備移植を受けることで50億円程度にて現役復帰が可能であるとされ、今年三月に修理の為、横須賀基地を出港、横浜磯子のIHIマリンユナイテッド横浜工場に入渠した。写真は、磯子海釣公園から撮影。しらね艦橋周辺を中心に上部構造物全体に足場が組まれている。

Img_5557  上部構造物は、見た限り大きな変更や損傷は無い。戦闘効率性を高めるべくCICとセントラルコンピュータに集中させたシステム艦として建造された本艦であるが、この部分が損傷を受けると艦全体の機能が麻痺してしまうという可能性が指摘されていた。なお、本艦は損傷区画の修理を行うと共にある程度の艦齢延長工事も併せて実施する予定である。

Img_5552  IHIマリンユナイテッド横浜工場では、新ヘリコプター護衛艦ひゅうが、が建造されている造船所として知られるが、撮影に展開した0830時の時点では、ヘリコプター護衛艦ひゅうが、は公試を行うべく出港していたようだ。さて、高額の税金を必要とする“しらね”修理には、賛否両論があるが、費用対効果だけでは是非を問えない命題が多くあることもまた事実であり、本艦の修理は、その典型的な事例と考える次第だ。

HARUNA

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アメリカ本土9.11同時多発テロから七年 長引く非対称の戦い

2008-09-11 20:44:22 | 国際・政治

■国際の平和と安全

 9.11同時多発テロを契機として始まった対テロ戦争と称される一連の武力紛争は、現在のところ勝利もしくは収束の見通しが全く立っていない。理由は単純で、何を以てテロとの戦いに勝利するのかという明確な定義が明らかにされていないからだ。

Img_2352  最初に犠牲者の冥福を祈りたい。正義論を著したジョン・ロールズを引き合いに出すまでも無く、人々はひとえにより良く生きるべく自由を享受する意味で平等である。9.11同時多発テロを行った実行犯と、計画したテロ組織は、無関係の市民の前途ある未来を強奪し、家族肉親から永遠に引離した比類なき大量殺人犯として、いかなる法体系からも許されるものではない。しかしながら、同時多発テロ以降の一連のアメリカの国内政治は、ハンナ・アーレントが指摘するような、逃避という方法を採ることで、より破滅的な政治決定を支持させる世論を創り上げたのではないか、その後の外交的展開が今日的にみて妥当であるか否かをみれば、少なくとも他に選択肢があったようにも思う。例えば大量破壊兵器拡散阻止を目指したイラクへの軍事行動、例えばイランからの弾道弾の米国への着弾阻止を目指し東欧への早期警戒施設配置に伴う米ロ対立。

Img_1114  日本とアメリカは、国際金融や国際通貨秩序、工業生産から知財政策など安全保障以外の分野でも極めて密接に結びついており、この関係は今後も見渡せる将来まで不変であろう。そこで、極めて友好的且つ深い関係にある日本としては、上記の問題に関して、解決するべき政策を提言するべきではないかと考える。第一に国際公序の元でのテロ対策を行う為のハーグ国際刑事裁判所設置、第二に弾道弾脅威の拡散に対して米ロ間での弾道弾防衛情報の共有による米ロ対立の解消、この二つの政策を、助言する必要があるのではないか、ということが本旨。少なくとも、国際の平和と安全を確立するべく展開しているテロとの戦いに正当性を付与する為には国際刑事裁判所ローマ規定へのアメリカの参加、弾道弾防衛とABM制限条約とで対立する米ロ関係を平和裏に解決する為の信頼醸成策、この二つがアメリカが今後展開する国際関係を良好に展開させる上で必要なのではないか。

Img_1042_1  同時多発テロは、米本土において三機の航空機による国防総省、世界貿易センタービルへの自爆突入という事件により勃発し、これを契機として、アメリカは自衛権の発動を掲げ、事件を計画したテロ組織アルカイダに対して攻撃を実施した。主戦場は、アルカイダの拠点を置いていたアフガニスタンであり、二週間後、米軍は本格的な攻撃を開始、これによりアフガニスタンのタリバン政権は崩壊した。その後、テロ組織への核兵器など大量破壊兵器の拡散を阻止するという目的、いわゆる先制的自衛権の行使というかたちで2003年には米軍が有志連合を募りイラクに侵攻、二週間たらずでイラクのフセイン政権は崩壊したものの、その後の治安作戦は抜本的な解決の見通しを持たない状況となっており、膨大な戦費はアメリカ財政に大きな負担を与えている。

Img_0026  そもそも、テロとの戦いの勝利という定義が曖昧模糊としており、何を以て武力紛争に終止符が打たれるかが不明確である。明確な勝利の目的が提示できない戦いというものは、長引きやすい。日本が1941年より開戦した太平洋戦争は、相手に不退転の決意がある限り最終的にはワシントンDCを占領しなければ勝利の定義が掴み得ない状況であったし、アメリカが1965年に本格的な地上部隊を派遣したことで拡大したヴェトナム戦争は、南ヴェトナム政権を維持させるという曖昧な戦略目標を背景に持っていたことから長期化し、講和会議を待たねばならなかった。しかし、勝利の定義が曖昧であっても、実際に武力紛争を始めており、始まった以上上記二つの事例と同じように犠牲者と戦費という政策決定は責任が伴い、加えて生じた被害についても説明が必要となる。

Img_9932  ここまで長い武力紛争を継続させる背景はなにか。アメリカが最も恐れているのは、イラクへの攻撃の際に提示された、大量破壊兵器がいわゆるテロ組織に渡り、その核兵器がアメリカ国内で使用されるという事態ではないか。軍産複合体の陰謀(?)とも言われるが、これは説得性に欠ける、軍産複合体(これも定義の範疇を何処まで広げるかにより意味が変わってくるが)との関係は、現在のような治安作戦での必要物資と連環させることが難しく、やはり大量破壊兵器、という点に辿り着く。すると、大量破壊兵器の非国家主体への拡散を防ぐということは、非国家主体の中に大量破壊兵器を必要とする需要がある限り難しい。また、現在進めている武力紛争の収束も難しい。イラクやアフガニスタンから一方的に撤退すれば、権力関係の空白が生じ、結果、地方軍閥が跳梁跋扈しる状態を醸成してしまうし、最悪の場合は統治機構を欠いた例外状態、いわゆる破綻国家となってしまい、国家に属さない武装集団の拠点や国際法上若しくは国際慣習上認められていない物資の製造拠点や流通拠点となってしまう可能性がある。

Img_9470_1  そもそも、対象が拡大しすぎている。主たる戦場はアフガニスタンとイラクであるが、共通点が少ない。アルカイダは、世界をムハンマドの時代まで戻すというイスラム原理主義を掲げているが、イラクのフセイン大統領は社会主義革命により政権を掌握した。イスラム原理主義と社会主義は、教条主義にその特性を比較すると、相容れないということが、1979年のアフガニスタン侵攻の事例から見て取ることが出来る(アフガン侵攻は、親ソ社会主義政権をアフガニスタンに樹立させることが目的)。したがって、イラクがアルカイダを支援する、もしくはフセイン政権下のイラクにアルカイダが拠点を設けるということは考えにくかったわけで、広義のテロとの戦いで、厳密には別の武力紛争を始めてしまった、というべきなのだろう。

Img_3388  そして近年は、大量破壊兵器と、イランの弾道ミサイルを掛け合わせ、長距離弾道弾によるアメリカ本土へのミサイル攻撃を警戒し、イランからアメリカ本土を狙う弾道弾を阻止するべく、中東欧諸国に弾道弾を警戒する早期警戒レーダーの設置を実施、これがロシアとの核均衡を担保するための弾道弾迎撃技術を制限したABM制限条約に抵触するとして、米ロ関係が飛躍的に悪化しており、自国の自衛権を担保するためとはいえ、ここまで国際関係に不安定要素を拡散させるというのは、どういうものか、という印象が無いでもない。1861年の南北戦争以来、北米を戦場とした戦争が生起していないとはいえ、大袈裟なのではないか。例えば、諸国家との協調と集団安全保障体制による国際的な平和の確立、その恩恵としての米本土の安全を確保、という選択肢も検討されてしかるべきではないかと考える訳だ。そのための助言を行うのが、同盟国の一つの責務ではないか、と考える次第。

HARUNA

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