3月29日(火) 快晴 午後からは雲が多くなる 夕方には雪だと云うが 温かい
昨日につづき今日も燻製つくり、と云うよりも燻製たる所以の『燻す』作業となった。俺的には目をシパシパさせ、着ているもの全て体中がイブリ臭くなるほどの作業だと覚悟していた。
Iさんのお宅へ9時につくと既にピックル液からだされたハムの素はデッキの屋根のしたにつるされていた。あの肉片が塩に揉まれ、たっぷりの香草の風呂に浸けられて一週間、更に流水で塩分を落とし晒しにくるまれている。
水気を切るために冷たい風に曝されて一時間、乾いたところで燻製釜に吊される。ドラム缶を加工した燻製釜には山桜の細い枝を短く切ったチップから立ち上る煙、なんとなく懐かしさを覚える香りは“粗目砂糖”が焦げる臭いだ。このザラメを入れることで風味と艶がよくなるという。煙が出始めてから6時間燻しっぱなしにするという。
6時間経過すると見事純白の晒しはこのように桜色に変色し、ここでも日本の故郷の香、茅葺きの家の屋根裏に登ったときの思いが微かによみがえった。個々までの経過、煙に目が滲みる思いをして過ごしたかと云うと ・ ・ ・
Iさんの云う“ここから先の作業はチップを足したりするだけなので、用事があれば済ませてください”とお言葉通りに、役場へ行き補助金申請の修正をしたり、社協で年度末の確認をしてから家にもどり、明日の会議のレジュメ作りなど有意義に過ごした。
3時を過ぎて熱源の電熱器を止め、次の75℃の風呂に入れる準備をする。大釜を借りてきたと言うとおり、確かにでかい釜、バケツに数杯の水を入れて火をつけた。
湯が沸いたところで温度計で適温を確認して燻し上がったハムの素を湯に入れる。気持ちよさそうに大釜のそこに横たわるのを見て今までの行程を思い直した。一時間温度調節をしながら、こまめに点検するIさんの手慣れた作業は熟練ならではの段取りが素晴らしと感じた。
釜からあげたまま、水気を切るために再び吊されるのだが、冷たい風に当てて最低3時間の風乾が必要だと云う。
ここで直ぐに味見と舌鼓を打ちたいところだが、いただいたハムを家に持ち帰り軒下に吊した。