3月30日(水) 薄曇り 春霞が広がる暖かな一日
3月も終わりになると朝日の昇る時刻は早くなり、朝飯を摂るころには日差しが高くなっている。少し前は障子を開けると部屋の奥まで陽光が差し込んでいた。
サラとアルゴはベッドを窓辺に移されるが、サラが睡魔に取り憑かれるなか、アルゴはいつも外を眺めるのが好きなようだ。“何を見てる?"って聞くとニッと照れ笑いをして俺の方を振り向く、いたずら坊主そのものだ。
月末の水曜日は病院通いの日となっている。水曜日に拘るわけではないが、病は気から ・ ・ ・ 水で流そうっていうこと。
出かけるときにふっとガレージの脇眼が向く、コンクリートの隙間で花が咲いている。パンジーを植えた鉢から弾き飛んだ種がこの隙間で根付いたのだ。ひとしきり流行になった“ドコンジョウ"の仲間入りになれるのだろうか?
ドコンジョウスミレの花に背中を押され、病院に着くと混雑している駐車場も直ぐ脇の車が出て行くところ ・ ・ ・ ラッキー
血液採取と注射を処置室で済ませ部屋をでると、目の前に友人T君が奥さんと共にいた。彼は今日退院だと云い、息子さんが手続きをしているとのこと。彼の見舞いにと町のグループから預かってきた物をタイミング良く渡せた。手続きを待つ間、闘病生活のことを聞いているとやがて、大きな荷物を持ちながら帰ろうと息子さんが姿を見せた。車まで見送り内科の待合室に向かった。
待合室ではいつものように、予約時間を大幅に過ぎた頃名前を呼ばれ診察室の前で待つ。血圧も低すぎずに具合が良い。壁の張り紙に目をやると、東北震災で製薬会社が被害に遭い、俺の服用している薬が品薄になっているという。診察の際も医師からこのことを告げられたが、俺は薬をきっちり飲んでいないのでだいぶ余っている。それを打ち明けると ラッキー と声がかかった。
同じ壁にはフットケア外来と聞き慣れない診療科があるようだ。ポスターを貼って患者を募集している風にも思えるが、この混雑している病院にも患者を待ている部門があるようだ。
今日は何となく元気印の俺だが、それには朝飯に理由がある。昨日完成したハムを一晩冷蔵庫で寝かせ、朝の食卓に昇った。味わい深い香草の香りと豚肉本来の風味が口の中で爆発したのだ。
勿論、食卓に並ぶ前ナイフを入れるとキッチンにハムの香が充満した。懐かしい香 ・ ・ ・ 正しいハムの威厳さえ感じさせたが、それにも増して、始めの一切れが俺を呼んで、口に入れろと云った。
元気の源はもう一つある。年度末にこの世に生を受けた者が我が家にいる。Mの誕生日に、花屋のスタッフが精一杯詰め込んでくれたバラだけの花束、年の数は花瓶に入りきれないようだった。身内の花屋とはいえ、スタッフのありがたさなのだろう。
そんな一日だが、夜にはボランティア集団「町民活動センター」の年度末の会議があった。16年前に始まったボランティアセンターを2年前に名称を変えて新しいスタッフで始めた、任期が切れる時期に新たな発信をしていこうと云う。
元気の一日だったがさすがに遅い晩飯を済ませたら睡魔に襲われた。今日の始末と云うか備忘録はこんな時間になってしまった。