物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

脱原発

2012-07-18 12:03:12 | 社会・経済

脱原発とか反原発とかいう。一般の日本人が反原発とか脱原発の立場に立つのは当然であろう。

一番気になるのは当の電力会社がいつまでも脱原発とか反原発後の電力を供給する企業としての今後のあり方を考えていないのではないかと思えるところである。

電力会社はやはり一個の企業体であるから、原発廃棄後にどうやって電力を社会に供給をし、かつ収益をあげていくかをもう密かに模索はしているに違いない。

だが、それを表に出すと現在のおいしい収益構造を壊すことになるので、知らないフリをして現状をつづけるような風をしているのではないだろうか。

いままでの収益構造を変えることは企業としては決死の覚悟がいる。だが、現在の状況ではもう致し方がない。覚悟を決めるときであろう。これは国家の原子力政策も同様である。

一方で、一般の市民に望みたいこともある。もう原発に頼って生きてはいけないということは骨の髄まで沁みてわかった。だから即原発廃止という運動をすることはいい。だが、少しの時間の猶予を電力会社に認めないといけないということである。もっともそれを表に出して運動をせよというつもりはない。

電力企業も実はもう心の底ではこのまま原発を続けられるとは思っていないが、それでもそんな心配をしていないかのごとく振舞っている。だから、反原発とか脱原発の運動をしている方々も心の底ではすぐに原発停止にはできないだろうなと思っていても運動としては即原発停止を掲げるのだ。

これはどっちもどっちだが、それはしかたがない。一方は自分たちの生命の危険を身に感じているし、一方は企業の収益が大きく崩れてしまって、企業として成り立たないのではないかと感じている。

だが、ここは企業家が度量を見せてほしいところである。別に企業家がノブリース・オブリージュ的な概念を有すべきだと説教するつもりはないが、世間の動向や社会の大切さを知っている企業家であってほしいと考えている。

それにしても企業の幹部はやはり脱原発の覚悟をして、今後の方策を考えねばならないときだろう。後ろ向きでは企業家としても尊敬できない。


日本の不思議さ

2012-06-22 12:56:46 | 社会・経済

今の日本は八方塞がりだと私などもこのブログで書いたが、その一方では日本は非常な不思議さをもっている。

私は「演習形式で学ぶリー群・リー環」(サイエンス社)という題の書に触発されて、キーポイントシリーズ「行列と変換群」(岩波書店)を読んでいる。

しかし、このような二つの書が英語ではなく日本語で出されるような日本社会というのは不思議な活性のある、社会であると思える。英語でならいろいろなテーマの本が出てもそれを関心をもって読んでくれる読者は多いと思う。

私なども英語で読むのは嫌いだというが、それでもほどほどには英語を読む。だから、ぺーパーバックでかつての名著の復刻版を出す、Dover社のような出版社が成り立つ理由はわかる。ところが世界では日本語を解する人は多分1億5千万人よりは少ないであろう。

だが、そこで上の2書のようなある種の啓蒙書が出版されるというか、出版できるというのは本当は大きな驚きである。そして、上のような書は広い意味の数学書である。

もちろん専門書ではないであろうが、そのような需要が日本の社会にあるというのは日本という社会の不思議さといってよいであろう。

まことにいろいろな数学書や物理書も出されている。それだけではない、大抵の世界的に有名な本ならば、しばらく待っていれば、その翻訳が手に入ることはほとんど間違いがない。そういう国が世界中を探してそこいらにごろごろ転がっているとは思えない。

日本のマンガやアニメが世界を席巻しているらしいことはときどき耳にするところである。日本に留学する中国の若者まで日本のマンガの影響を受けていると聞く。もちろんこの分野では韓国の追撃を受けて最近は苦戦しているとか聞くが、そのもとはやはり日本であろう。

スミルノフ「高等数学教程」(日本語訳)のシリーズを韓国人の物理学者がもっていたのを知っている。

彼は日本語は話さなかったが、数学を学ぶためだけに日本語の数学書を読むことだけはできるようになったと言っていた。それはドイツの大学で私と同室だったK. J. Kimさんだった。

もちろん、社会の将来の展望が難しく、希望が持てなくなっているのは事実である。だが、これは世界中のことであって、日本だけのことではない。別に日本は自分の国のことを世界に威張り散らす必要はないが、むやみに悲観的になることもない。

それくらい特異な文化なり、学問的な雰囲気をもった日本である。これは世界の中でエリート意識をもつことではなくて、自分たちの文化の特性を見極めるということだと思う。


e-tax

2012-03-07 12:01:08 | 社会・経済

ここ数年e-taxを使って所得税の還付の申請をしている。ところが昨日パスワードを5回間違って入力したので、ICのパスワードにロックがかかってしまった。あわてて、16時過ぎに市役所に出かけてパスワードの変更をしてもらった。

というか、パスワードを忘れてしまったのだから、始末が悪い。それであわてていろいろ試した結果としてロックがかかってしまったというわけである。

還付金が年々少なくなっており、この還付金の額からも、税負担が年々大きくなっていることが実感できる。とはいっても年数百万の所得しかないので、税金の重さといってもしれたことである。勤めをしていた頃には学会にもいくつか入っていたが、いまでは物理学会だけにしている。

定年退職後に学会を退会する人も少なくない。それくらい年金の収入が現役のときと比べて少なくなるということである。だから学会雑誌をとっていたのをやめたりもする。そうしないと生活ができないという具合なのである。

定年後の年金以外の収入のあてはあまりない。数年前に古典力学の本の翻訳を私も含めて3人でしたが、上巻の印税を数年前にもらったが、それにしても多額ということはなく、下巻は上巻の発行からも数年遅れたために売れ行きがよくないのか、印税を支払ってくれるという話はまったくない。

出版社も生活があるのだから、なかなか印税を支払うということにはなかなかならないのだろう。いわば、働いたが、それに対する報酬というか賃金がまったく支払われない場合に相当するかもしれない。

もっとも、どれくらいこれらの書籍によって、出版社が収入を得ているのかわからないので、約束不履行だということもできない。そんなものである。

書籍の出版によって十分の収入を得ている訳ではないという例を聞いて知っているが、作家としての「本の出版では生活ができないが、講演の依頼等で生活が維持されている」とかなり名の知れた作家から直接に妻が聞いたという。そういうものであろうか。

その作家は映画化された小説の原作者であって、結構名前の知られた方であるが、それでも本の印税では生活ができないものらしい。この方の講演を私も一度聞いたことがある。


ある会社の販売戦略

2012-02-04 13:09:20 | 社会・経済

ユニクロが求人を国籍とか中途採用とか新卒採用とかにこだわらないで採用するニュースで言っていた。調味料「味の素」をつくっている会社も同じようにするとか言っている。

日本人は働く場所がだんだん制限されてくることは確かである。最低英語くらいは話さないとという雰囲気が横溢し出している。さて、若者はどうするのか。

これは味の素の販売戦略としてもう何十年か前の私たちの新婚当時かまだ子どもが幼かったころに妻から聞いた話である。その当時味の素の販売促進のためにアイディアを社員から募ったところ、味の素の瓶の蓋にある振り出し口の口径をほんの僅か大きくすることを提案した女子社員がいて、そのアイディアは大アタリで、販売が促進されたとか。一寸したアイディアではあるが、これはまさにすごいアイディアである。

別のことでは大学院生の頃だからおよそ50年くらい前のことであるが、「アジ塩」という名の味の素と食卓塩を混ぜた調味料が売り出されて、私の先生のSさんからその製品を教えてもらった後では研究室のハイキングとかの料理にもっぱらこのアジ塩を調味料として使ったので、教授のOさんに大いにあきれられたこともあった。

しかし、ともかくなんでもないことだが、こういうアイディアには驚かされる。今朝の朝食後にこの話をしたら、妻から今はコショウと塩と味の素の組み合わせで売られているよとその瓶を見せられた。

いつまでも昔のことしか知らない私は浦島太郎のようである。

そういえば、お正月のテレビ番組で日本を活気づける方法を提案した3人の方の意見が紹介されていたが、技術革新で新しいものをつくることはもちろん大切なのだが、実際に利益を生んでいるのは小さな創意工夫による製品の改善から80%の利益が出ているのだとかその一人の方が言われていた。もしそうなら、これから私たちは大いに考え直さなければならないだろうか。

ちなみに一昨日、パソコンの前に座ったら、まったく思い出せなかったブログのタネとは今日の話であった。


TPPへの疑問

2011-11-23 13:26:01 | 社会・経済

TPPへの疑問というとTPPに反対するのかという風に聞こえるかもしれない。私の「TPPへの疑問」とはそれ以前のことである。

どういうことかというと新聞にしろテレビにしろ、はたまた、各省庁の官僚にしろこのTPPがどういう影響を与えるのかについての議論というか、その全貌がまったく報道されないし、明らかにされないことがどうしてなのだろうということである。

誰にもどういうものかよくわかっていないのだろうか。もしそうだとすれば、少なくとも日本の行政に係っている各省庁は展望に欠けていると言わざるをえない。TPPがこれからの大問題であるとするのならば、それについて各省庁を超えた勉強会をすでに開いて詳しく調査していなければならないだろう。

もっとも国民にその実体を知らさないで、ことを自分たちの都合のいいほうに進めて行こうとするのならば、それはまったく怪しからんことである。

もっとも日本の農業の産物の品質はアメリカ産品の質をはるかに凌駕しているので、TPP恐れに足らずという説を最近インターネットのおおくぼさんのサイトで見たが、本当のところはどうなんだろう。

妻によると米には200%(この数字はまったく確かでない)の輸入関税をかけているのに、工業製品は数%の輸出関税しかかけられていないのだとかいう。そうだとするとあまり工業製品についてはTPPはメリットがないように思うが、どうなのだろう。

それと主食である、米とかの食料についての食料安保という考えも理解できるが、それにしても、もし200%も関税をかけないと日本の農業を守れないという体制は、米の生産として本当にいいのかという議論があってもよいはずだ。

もちろん、食料は先ほど述べ食料安保といった観点はある得るが、だから世界的に何倍も高い米を買わなければならない国民になってみてほしいという議論もあるだろう。

ともかく、そういうTPPのすべての全貌が明らかに明らかにならないのならば、それはどうしてかという議論はあっていいはずだし、ただ農業だけの問題ではない。

むしろ、影響を受けるのは農業ではなくて、医療とか他の分野の話だという議論もあるようだが、それもはっきりとして述べられたものはない。


車のCMが少ない?

2011-10-12 11:54:22 | 社会・経済

円高のせいなのかどうか。最近車のCMが少ないような気がする。もっとも私はあまり民放を見るほうではないので、それが事実なのか単に私がテレビで見ることが少ないだけなのか即断はできない。

見るとしてもマツダのdemioとかスズキのwagon Rとかの軽の車のCMが多いような気がする。

また、食品や調味料とかサプリメントの広告が多いような気がする。今朝の新聞によるとスーパーはここ半年増収であるらしい。これは震災効果だと思う。もっとも一時どのスーパーにもあまりなかったミネラル・ウオーターは在庫の山だという。

そういえば、私たちのところでもミネラル・ウオーターを一人当たりワンボトルと決めたスーパーがあったので、電話で妻から呼び出されてそのスーパーに行ったことがあった。これは東京在住の子どもからミネラル・ウオーターを送って欲しいとの要請があったために買いに行ったときのことである。

それが様変わりで売れると思って増産したミネラル・ウオーターの在庫の山だとか。もっとも一時はほくほく顔だったメーカーである。結構このときに儲けたはずである。

震災で国の予算は天井がないのかと思われるような様子らしい。それにつけ込んで大企業が利益をあてこんでいよう。震災からの復興には資材が必要なのでどうしても資材の供給が必要であるから。

経済の対策としては金利を下げるだけ下げているので、もうやりようがない。日銀のやれることは手が尽きたとまで思われる。

それで増税である。税金を上げないともう日本の国家財政としてはパンクしていることは明らかだが、そうはいっても消費税を上げるしか方策を持たないとは情けない。「相続税を上げろ」と言われているが、はたしてどうなるであろうか。

また、宗教法人に課税をするのはどうだろうか。もちろんその収入の高に応じてである。


無料塾の立ち上げ

2011-09-14 13:00:21 | 社会・経済

世の中に塾はたくさんあってそこに自分の子どもを通わせる方も多い。もちろん、塾に通わせる経済的な余裕があることが必要である。

そういう必要性は感じているのだが、その余裕がない保護者の子どもたちの学習の援助をすることが必要なのではないか。

特に現在、教育としては高校までの教育が義務教育的になっている現状と「保護者の現在の経済格差を私たちに直ぐにどうこうすることができないにしても、それを子どもの世代にできるだけ拡大しないようにするための助力をしたい」という観点から松山でもタダゼミとか無料塾といわれるものを作る必要があるのではないかと考えた有志で、「タダ塾北持田」を立ち上げた。

活動はこれからだが、事務局長を勤めることになったTさんと松山市内の3中学校の校長先生を昨日訪ねた。はじめの予想よりも手ごたえがあったというのが、正直な感想である。

中学校の先生は生徒の日常生活と直面している。それで問題が大きい中学校ほどその危機意識が強く私たちの提案を肯定的に受けとめてくれたと思う。

ある中学校の校長先生は外交辞令とは思うが、「自分が定年退職したら、そういう塾の講師陣の一員に入りたい」とまで言ってくれた。

現在の各家庭の経済格差を是正するのは、第一に政治によるだろう。だが、政治でできることは限られている。そうするとその他の手段も必要となろうと、心ある人たちが考えるようになったのは当然であろう。

教師をしている人は子どもが幸せであれば、幸せに感じるが、そうでなければ幸せとは感じられない。ところが現職の教師はとても忙しく十分に子どものケアをできないことが多い。

それはある意味では狭い意味での教師の職分を逸脱しないとできない。それでも自分の時間を割いてそういう面倒を見ておられる先生もおられるらしいことは先生方の言動に感じられた。

さて、「タダ塾北持田」がその要望に応えられるのか。北持田町教育会館の会議室で10月8日(土)13時から無料塾は始まる。それと同時にこういった志に感じた講師を広く募る必要性も感じられる今日である。

この無料塾の参加には紹介者が必要ではないから、直接この日にこの時刻に来られたのでよい。もちろん、自分の通っている中学校の先生の紹介とか、住んで居られる地区の民生委員さんの紹介があれば、もっといいが、紹介が不可欠ということではない。

連絡先は090-8977-3576である。ただし、迷惑電話や冷やかしの電話はご遠慮をお願いしたい。タダ塾北持田の事務局長のTさんにつながる。問い合わせの場合にはこのブログphysicomathを見たことを述べて欲しい。参考のために私は先日の相談会でこの塾の代表に推されている。


高校受験のための無料塾

2011-08-31 13:28:21 | 社会・経済

毎週、土曜日の午後に数時間、松山市持田町(松山東警察署隣)の教育会館で10月から、退職教員の会が中学生のために「高校受験のための無料塾」を開くことを計画している。

退職教員の会ははじめは教える先生の確保を心配していたが、そのうちの数人を私のグループの先生方に頼むということで確保の見込みがついて、今度は肝心の生徒探しの段階へと進む。

退職した教員の会の事務局長のTさんが無料塾の計画をしたらしいのだが、先生の確保が難しいということでその実現ができないという見通しだった。

だが、私の知人、友人、私の妻と私が医療生協の支部活動の一環としてすでに数回行ってきた無料塾のことを責任者Tさんが知って、訪ねて来たので、協力を約束した。8月始めのことである。それで実現へと一歩前進をした。

保護者の収入が十分あって、塾の授業料を払える保護者は子どもをどこかの塾へ行かせているのだろうが、保護者の収入が十分ではない方々は、連絡を頂けると有難い。連絡先をここに挙げたいのだが、まだ責任者から承諾をもらっていないから挙げられないが。

このブログのコメントにその希望を入れて頂いてもいいし、10月8日の土曜日の午後に持田町の教育会館の1階の退職教員の会の部屋に直接来られたのでもいい。

このブログを見ている方々は基本的には生活に困っておられない方々であろうが、口コミとしてそういう試みが松山市でも行われることをPRして頂ければ有難い。

無料塾の目的は「現在の家庭には格差があるとしても、その格差を子ども世代にさらに拡大させるべきではなかろう」という意図に基づいている。

だから、高校進学を目指させたいとは考えながらも、保護者が子どもを塾にやれない家庭の子どもの学習を援助をしたいという考え方で、全国で無料塾が計画されて、また運営されている。

実際にどのように、この無料塾を運営していくかは皆さんとの相談が必要である。


日本はlow techland ?

2011-05-31 10:58:07 | 社会・経済

日本はhigh techlandだと思っていたが、その認識は改めねばならないかもしれない。

こういうことを思ったのは東日本大震災のときに漁業や農業がかなり壊滅的に破壊されて東北の漁業なり、農業が大打撃を受けたということをテレビでこれでもか、これでもかと見せつけられたからである。

もっとも物理学者の武谷三男は農業が一番太陽を利用したハイテクだとかつて言ったことがあるように、ある意味では農業はハイテクだと言ってもいいのではあるが、それでもテレビの報道を見ていると日本の一次産業は衰退どころか結構頑張っていることを認識させられた。

漁業も森が肥沃でなければ、漁業も豊富にはならないとは最近の知見である。

東日本震災でもう一つわかったことは、世界は一つにつながっているということであった。これはルネサステクノロジーの半導体製造が止まって、そのために世界の自動車の生産が完全に止まらなかったというものの、大打撃を受けたことであって、これによってほんとうに僅かの数社の半導体の製品に自動車工業が深く依存しているかということがわかったことであった。

それとこれはこの東日本震災の前に聞いた湯浅誠の話だが、彼が愛媛大学で講演したときに聴衆の中から質問があって、それはほとんどの日本の産業が法人税が高いと海外に出てしまうのではないかと心配をした質問だったが、湯浅は約1億人の人が日本に住んでいる現状から考えてすべての工業的な会社が海外に出てしまうという危惧は企業の言い草であって、そういうことはないと言い切ったのはやはり卓見だと思った。

もちろん、人件費が安いという理由で出て行く企業が多いとは思うが、こういう人件費の差でようやく成り立つ企業とはなんと頼りない企業だろと思うのは私だけなのであろうか。

しかし、日本では教育が普及してはいるが、それにしてももっと高等教育を多くの人が受けるようになり、そして人件費の差で勝負をするような企業を駆逐してしまわねばならないと考えていた、私の理想は全く絵に描いた餅なのであった。

だが、やはりそういう現状が望ましいはずがないと思う。知的財産を蓄積できて、技術的にも他の国の追従を許さないくらいにならなければ、日本の将来はないと思っている。それで、さしたる資源のない日本には科学や技術の振興が大切なはずである。そのための基礎的な学問が必要とされると思ってe-Learningの作成にいそしんでいるのに、現実との落差は大きい。


福島原発事故

2011-03-17 13:39:13 | 社会・経済

福島原発事故は日本では最高の技術をもっていると思われていた、東京電力の原発が最低の安全保障をしていなかったことが明らかになった。確かに原発の停止に対してECCSが働くようになっていたが、これが電源の燃料が津波でなくなったとかで作動しなかったという。

ECCS用の電源を原発構内で用意することは最低限として必要だが、それだけで十分なはずがない。その他にその構内に事故が起こったときを想定して、直ちに外部からひき込める、独立な電源を用意していなければならない。そんなことは当然ではないか。その独立に使える電源の用意は一つで不安なら、二つ以上あればもっといい。

安全装置が何重にも装備されていてもそれが同時に機能しないから、事故が起こるのであり、その安全装置は同時に機能しないことが往々にしてあるということは武谷三男が常に言っていたことである。

なんでもできるだけ別系統というか、無関係というか、独立な装置なり、設備なり、安全装置を用意しておかなければならない。企業にはそのような対策を講ずることが会社の経済的な負担になるとしても、今回のような事故が起こり、取り返しがつかなくなるよりははるかにコストが安く上がる。

想像だが、今回の事故で福島第一原発は壊滅であろう。そうすると新たにここで原発を立ち上げることは、断言はできないが、不可能に近いのではあるまいか。不可能ではなくても再建には長期間がかかるであろう。だから、そういう事故が起こるよりはそれを独立に防ぐ装置なり、電源の手当てをしておいた方が経済的であったはずである。

ところが、最悪の事故を多分日本でも一番強力で技術的にも最高と見られていた東京電力が引き起こした。そうすると他の電力会社の状態は想像してもあまり安心できる状態にはないことが推測される。

昨夜のテレビで愛媛県知事の中村氏が伊方の原発を訪ねたというニュースが出ていたが、これは県民を安心させるためのパーフォマンスではあっても、上に挙げたような別系統の炉冷却の電源の確保やそういった設備の設置を確認したことではないと思うので、もっと四国電力にそういった対応を迫るべきであろう。

というようなことを友人がメールをしてきた。彼は原子炉から発生する中性子を使って磁性体を研究する研究者であって、必ずしも原発反対論者ではない。その彼が不安を感じて私に連絡してきたということに、ことの本質が集約されているようである。

伊方原発は瀬戸内海に面しているので、福島原発のような大きな津波は受けないだろうと推測されてはいるが、伊方原発の沖数キロメートルのところに断層があることは知られており、地質の研究者によれば、この断層でマグニチュード8規模の地震が起きても不思議ではないとも言う。

ここでは一般の方の不安を煽るのが、目的ではない。そういう想定外のことを想定して、地震とかその他の災害に備えるべきだということである。そしてそれらの備えや設備が働くような災害とか機会がなければもっけの幸いであると考えるべきであろう。


東北関東大地震3

2011-03-15 12:03:09 | 社会・経済

私の大学の後輩のY氏はいまは東京大学に勤めているが、彼の家族は仙台に住んでいるのではなかったかしらと思い出した。それは彼は東京大学に勤める前には東北大学に勤めていたからである。

彼の勤務先は多分いまでは千葉県柏市にあったように思うが、家族がまだ仙台に住んでいた可能性はある。だから、彼の家族が今回の地震とそれから引き起こされた津波に被災した可能性は0ではない。

NHKのテレビのヘリからの実況中継を見た者にはあの津波のすごさは言語を絶する。道路を普通のように車で走っていたら、急に津波に襲われてどうしようもなく亡くなった方も居られよう。

また、車で遠くへと避難しようとして居られた方も居られよう。ヘッドライトをつけた車が波にさらわれたところをこの実況中継では写さなかったが、その直前までを実況中継した。

ヘリで撮影していた取材者も自分の無力を感じられたにちがいない。これは地震直後にこの実況を見ていた私たちも同じである。

あまりテレビを見ることの少ない私であるが、こういうところを見てしまった。そういう方々がたくさん居られたのであろう。また、テレビでは津波に巻き込まれながら、奇跡的に生還されたかたのインタビューもあった。運のいい方も居られるのは間違いない。


東北関東大地震2

2011-03-15 11:32:12 | 社会・経済

東北関東大地震による被災者について有名なA名誉教授以外に私の知る人などいるはずがないなどとたかをくくっていたら、そうでもないことがわかった。これは先日発行したばかりの数学・物理通信第6号とその一つ前の第5号の寄稿者であった、高木富士夫さんが被災した可能性が高いことが彼の門下生の一人からのメールでわかった。

この門下生の方とは一、二度お会いしたことがあるきりだが、同じ物理の専攻だったということで近しく感じていた。この方も青森在住だから、被災した可能性はあるが、それほど大きな被害はなかったのだと思う。

私宛のメールを下さったKさんは高木さんの研究室の出身の方であり、現在は情報工学関係の大学の教員をなさっている方である。こういう形でこのKさんとつながってくるとは思わなかった。

私のように世の中で密かに過ごしているものでも、世の中とはまったく関係がないのではないことを思い知らされたことである。

そういえば、私の遠い親戚の方が弘前に住んでいるはずである。この方は私とほとんど同年であったはずだから、71~72歳くらいである。無事で居られるかしら。


リコール

2011-02-22 12:26:36 | 社会・経済

アメリカでのトヨタ車の電子制御装置の不具合があるというので、トヨタ車は広範なリコールがなされた。それがごく最近ではこの電子制御装置には不具合がなかったということをアメリカの運輸省交通局にあたるところが公表した。

それでもトヨタ車の欠陥で損害を受けたという多くの訴訟があり、トヨタはその名誉回復に苦労している。これは本当は業績不振だったGMやフォードの救済策の一環だった感もあるが、それはともかくリコールは会社の信用問題である。だからいくら費用がかかっても信用と名誉の回復に努力をする。

三菱自動車が車のいろいろの欠陥を隠していたためにリコールが遅れて、業績が落ち込んでしまったのはまだ私たちの記憶に新しい。製品がいいという名声を得ることは長時間がかかるが、その信用を失墜するのは本当に一瞬である。

私の家などにリコールなど関係がないと思っていたら、先日パナソニックから電話がかかってきた。それによると以前に松下電工が発売したホットカーペットに欠陥があり、リコールをしているという。

以前に電話がかかってきたときどうも妻が取り合わなかったらしいが、それでもまた電話をかけてきた。今度は私が対応したので製品をチェックしたが、問題のない製品だった。ところがそれよりもはるか以前に発売した製品を我が家では購入しており、それに欠陥が見つかったのだという。

そのときには心当たりがなかったのだが、電話の後で気がついた。そうだ。じゅうたんの下にある、ホットカーペットがそうではないか。

それから1週間ほどしてまた電話がかかってきた。それで話をしたら、製品番号を見てくれといわれた。それで、調べて電話で告げるとそれはリコール商品だという。それで数日したら、取替えの製品が送られてきた。

先日の夜に新しい製品と取替え、送り返す箱に梱包をした。後は宅配業者に電話すればいいようになっている。

これはパナソニックには費用がかかったことだろうが、誠実に会社が対応したということでパナソニックの信用は保たれたことであろう。評判を保つことにもそれなりのコストがかかるものである。


政治は経済を導けるか

2011-01-12 14:49:11 | 社会・経済

社会の閉塞感は厳しい。それを政治が打破できるかというとどうもそうは行かないのではないか。私たちは成治にすぐ幻滅を感じるが、政治に期待するのはそもそも間違っているのではないか。

政治がどうであれ、経済は経済として動いているようだ。そうだとすると政治が経済を導けるというのは幻想なのではないか。1929年の世界大恐慌の後にアメリカで試みられたニューディール政策が有名であるが、こういうことで過去はいざ知らず現在では成果を上げることはできないのではないか。

子ども頃にTVAというダムはこのニューディール政策の結果としてできたと図書館の本で読んだ覚えがある。また、数学者を雇用するために数表の作成が行われたともこれは大学に勤めるようになって何かで読んだ。もっとも数表は対数表にしても三角関数表にしてもその他の数表にしても関数電卓やコンピューターの普及で必要がなくなってしまった。

アメリカのオバマ大統領も懸命に働いているが、アメリカで雇用が改善したとは言われていない。これは日本でも同様であろう。非正規労働者とか非正規雇用者という言葉が一般的になっている。

このところ、新聞等で無料塾(タダゼミ)とかが家庭があまり裕福でない高校受験生の中学生のために開かれていると報じられている。私もそのことを直接的に意図したわけではないが、医療生協活動の一環として無料塾を松山でも企画して2度ほど行った。が、まだほとんど知られていない。

こういうものが必要でない社会であればいいが、残念ながら本当は必要とされているのだろう。だが、世間的に周知されていないので、松山での広がりはいまのところない。

無料塾とは別にフリースクールという活動が考えられるが、これもインターネットで検索したところでは全国では結構活動がされている。しかし、これも松山ではインターネットに載っているような情報はない。フリースクールの場合には何かを教えるということよりも学校への登校ができなくなった生徒や児童をどういう風に一日そこで過ごさせるかということが重点があるようである。

だから、フリースクールで何かを教えるというよりは社会にどうなじんで行けるようにするかということに重点がある。だから、世話好きでなにか行事を計画するのが好な数人の世話役がいないとフリースクールは成り立たない。

また、教育の内容がまだ教科書や指導要領、また校長や教育委員会等の統制によって、必ずしも合理的でなかったりするが、この点については私なりの意見があるが、いまのところその意見を実現したりする環境にはない。


100円ショップ1

2010-11-23 12:57:25 | 社会・経済

妻がときどき気の利いた小物を買って来ることがあり、どこで買ったのかと聞くと近くの100円ショップで買ったという。100円ショップはデフレの産物みたいなところがある。

いま、私の旧著「数学散歩」のミスプリを訂正しているのだが、その校正刷りが来たので、その訂正箇所を示すためにpost itを買いに100円ショップに行った。なんとか目的のものを買ってきたのだが、どうも思っていたものとはちょっと違ったらしい。

ほとんどの商品が100円ということで他のものを5品目ほど買った。これが結局100円ショップの目的なのだろう。別に衝動買いというほどではないが、それでもpost itだけ買うつもりが余分に500円分買い込んだ。

もっとも100円分の買い物のつもりが余分にあと500円分買ったといってもどれほど日本の経済に寄与するかというとまったくゼロに等しいだろう。だが、これは私だけではなくてこの100円ショップに来る人が同じようだとすると少しは日本の消費経済に寄与することになる。

もっとも100円ショップでも100円ではなくて300円とかのものもあるが、やはり基本は100円である。それで、書類のフォルダーでハードな表紙のものがあるかなと見て回ったがそういうものはなかった。これはいろいろな書類のコピーをファイルして保存するために探したのである。

もちろん、どこの文房具店でも売っているものであるが、500円くらいの値段がしてそんなに安いものではない。だから、それを100円ショップで見つけようとするのが本当は無理なのである。すでにいくつかのフォルダーを買ったのだが、それでもまだ十分に論文や本のコピー等の整理ができないでいる。