本音を言うと、三谷幸喜さん、この前の映画の評判がイマイチだったので、心の奥底では大丈夫なのかなと思っていた部分もあったのでした。
だけど今日、やっぱり三谷作品は面白いなとしみじみと思いました。
最後のこよりのくじによって北条につくか上杉につくか決めようと言うシーン。
凄かったですね。
「そんな大事な事をくじで決めるなんていいのですか。」
と言いつつ、そのくじを引こうとする信幸。だけれど、その引こうとしたくじを父、昌幸は離そうとしない。
「こんな大事な事をくじで決めても良いものか。」と自分でやっておいて言う父。
この昌幸は考えてから行動するのではなく、考えながら行動する、または行動しながら考えるタイプの人なんですね。だから傍から見ると、その考えが二転三転しているように見えてしまうのだけれど、そしてかなり大真面目なんだけれど、なんだかそこがユーモラスでそして愛おしく感じてしまうのです。
このキャラが凄すぎて今のところ彼が主役のような気さえしてしまいます。
「決めた ! 決めたぞ ! 息子たち !」
彼が決めた決断は、
「真田は織田につく !」
ぶったんだ決断に、目をマン丸くする二人の息子たち。
次回も凄く楽しみです!
その他のシーンで心に残った所。
手ひどい裏切りをしてしまった小田山の最後のシーン。
勝頼にあんな裏切り方をしたわけだけど、とてもざまあみろみたいな気持ちにはなれませんでした。
この時代はみんな家を守るために必死だったわけで、裏切る事によって家を守ろうとしたのに、不忠の者として処刑されてしまったのですよね。リサーチしたら、この時処刑されたのは、嫡男、妻、祖母、女たちと一族郎党。結局逆に家を滅ぼしてしまったのです。(のちの子孫はいるらしい)
気になったのは、「ねっ」などと言い合って、すこぶる夫婦仲が良い事をアピールしていた松の夫の小田山茂誠。気になったのでウィキで調べてしまいました。って、もちろん今はここには書きませんが。
それから、勝頼の切腹のシーン。
目の前に現れた信玄は果たして何を言おうとしていたのか。
「お怒りですか ?」
「今そちらに参ります。四朗を叱ってください。」
信玄の亡霊は黙して語らず。だけれどその目は優しかったと思います。
勝頼が去った頃、昌幸も信玄の亡霊を見ます。
はっとして駆け寄るとその亡霊は消えて、馬のいななき。
「佐助か。・・・・悪い知らせか?」
佐助が頷くと、
「ご苦労であった。」と皆まで聞かない。
素晴らしくない?
素晴らしいよ。
もう本当にこの一年期待しちゃいます、私。