森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

若冲地獄

2016-05-16 00:39:43 | お出掛け日記

5月12日の木曜日、上野の東京都美術館で開催されている「生誕300年記念若冲展」に行ってまいりました。

この記事は、その展覧会の感想ではなく、美術館の中に入るまでの顛末記です。

 

はっきり言って、「えれえこった。」でした。

あなどっちゃあいけませんて、若冲人気。

 

それにくわえてですね。

数日たつと、過去の些細な出来事などお忘れかと思いますが、12日の朝は川崎周辺で変電所で異変が起き、その影響でJRの運行に大きな影響が出ました。数字で言うと24万人の人の足に影響が出たらしいです。普段はその時間には家にいる私たち。よりによってその日はその数字の中に含まれてしまいました。 (そのニュース記事は→こちらです。

なんと言っても若冲さんは人気があるらしいと聞いたので、美術館が開く30分前に上野で待ち合わせをしたのです。家を8時ちょっと前に出ても普段は私の方のバスの遅れ具合が、待ち合わせに少々の影響を与えてしまう事が多いのですが、その日はまあまあの時間にやって来たので、最初の電車に乗った時に

「まあまあ順調です。」とメールを送りました。

姉からすぐに返事が来ません。

おかしいなあと思っていたら、私も次の電車がほんの少し遅れている事に気が付きました。

その時メールが返ってきました。

「川崎手前で電車が止まった。通勤時間帯なので電車の中はぎゅうぎゅうだ。」

 

大変です。ぎゅうぎゅうの電車の中にいるのに、その電車が川崎駅に着く前の途中で止まってしまっている事が分かりました。

私の乗っていた電車の電光掲示板には「川崎の停電の影響で南武線・東海道線・京浜東北は運転見合わせ中」と流れてきました。

しばらくすると

「先に着いたら、チケット買っておいて。」とメールが来ました。

―今日は止めようと言うわけじゃないんだな・・・・・。

 

予測不能のアクシデントが起きてしまっても、ずっと行きたかった若冲鑑賞の予定は決行と言うわけです。

この若冲に絶対に行こうと言っていたのは、姉の方だったのです。ひとたびその魅力に取り込まれたら、落ちていくしかない蟻地獄のような若冲地獄なのかも知れません。

アクシデントでなんだか落ち着かないJRの運行。

だからなのか日暮里に着いた時に、上野で緊急停止ボタンが押されたとかで、私の乗っている電車も8分遅れになってしまいました。でも、もうどんなに遅れても、姉は未だに川崎手前の電車の中にいるのですから焦る必要はないのです。

 

上野駅に着いて駅ナカのチケット売り場の方向に向かうと、そこでいかに私たちの考えが甘かったことに気が付きました。8分遅れと言っても、美術館が開くまでには20分はあるわけです。

ですが既に駅ナカのチケット売り場で長蛇の列をなしているのです。いやな予感がしました。

 

 

でもここでは30分は並ばなかったと思います。この頃ようやく姉の乗っている電車はのろのろ動き出したようです。

 

じゃあ、姉が来るまで上野の動物園前に出来たスタバにでもコーヒーでも飲もうと思ったら、そこも外に人が溢れていてそんな気も失せました。

 

 ちょっと周辺を軽くお散歩をしながら時間を潰します。

ふと美術館の方に目が行くと・・・・・・

なんと傘の花が満開に咲いているではないですか。

そして美術館の人の

「三時間待ちでーす。」という声が耳に入ってきました。

傘と言うのは日傘の事です。

 

気持ちは一気に暗くなりました。

 

たしか昨年のGWにラッタ・ルートで行った鳥獣戯画展もなんだかんだと3時間待ちだったのです。でもそれは5月3日と言う日で11時スタートで、3時間待ちも仕方がないと思いっての行動だったのです。今回は平日の朝からの早いスタートだったのですよ。もしも姉とちゃんと合流で来ていたとしても、3時間待ちの運命から逃れられなかったのです。

 

  

 

空は青く緑キラキラ。

いつもは噴水が出ているシーンしか見たことの無い池だけが静まり返っていて、どこもかしこも人だらけの上野の山でした。

そうこうしているうちに、ようやく姉がやって来ました。待ち合せの9時から1時間半遅れ。だけど思っていたよりも早かったです。

 

「今から三時間待ちだって。すぐに並ぶこと出来る?」と聞くと

「やっぱりちょっと座って水分補給とかしたいかな~。」と姉。

それはそうですよ。

 

これが私と姉が逆の立場だったら、もう止めたいと思ってしまったかもしれません。

私は、高い所も尖がってる物も苦手ですが、狭い所もダメ。電車などは狭い所ではありませんが、ぎゅうぎゅうの状態ででいきなり動かなくなってしまったら、それは閉じ込められてしまったのと同じような感覚になってしまって、息苦しくなったり動悸が激しくなってしまうかもしれません。その状態で1時間なんて恐ろしい事です。

それにトイレに行きたくなってしまうのではないかと言う恐れもあるじゃないですか。

姉は頑張ったなあと私は思いました。

 

気持ちを切り替える意味もあるし、今から三時間後の入場でその後にランチではいつになるのか分からないので、先に食事をしてしまう事にしましたが、ランチ時間には早すぎてデザートプレートでカロリー補給をする事にしました。

 

 糖分もばっちり投入された体は気力も取り戻し、いざ出陣です。

 

係の人は同じく「三時間待ちでーす。」と言っていましたが、列はさらに伸びていました。美術館の外で折り返しの列になっていました。

この外の列が一体どこまで伸びているんだと言うくらい長かったです。

確かに「鳥獣戯画展」でも3時間は並びましたが、敷地内で90分館の中で90分、給水サービスなどもちゃんとしていてあまり辛くはなかったのでしたが、こちらは敷地外はただひたすら並ぶだけです。

だけど、女二人の待ち時間はずっとおしゃべりで退屈知らずと言うものですよ。

 

姉と二人でドラマの話などお気楽な話を延々としていました。

そして並んでいるうちに前後左右にいる方々が同志にさえ見えてきました。

ちょっとおしゃべりなどの交流もあったりしました。

それこそほんのわずかな触れ合いと言えるかもしれませんね、

 

でも近くで並んでいた人の中には具合の悪くなってしまった方もいらしたみたいです。

 

会期が後わずかな「若冲展」です。

平日であっても同じような混雑は予想されます。これから行かれる方は、お天気にもよりますが、5月の日差しは意外ときついものがあります。日傘や濡れタオル、それに水分を補給できるものは必ずお持ちになった方が良いですよ。着いた早々並ぶなら立ちながら食べる事が出来る軽食もあった方が良いかもしれません。

 

あともう少しと言う時に写真を撮りました。

 

 

けっきょく11時から並び始めて、入場は2時でした。

出てきたのは確か3時半ごろだったか。

その時は、すでに外には折り返しの列は無く、係の人も

「2時間待ちでーす。」と言っていました。

でも入場できるのは5時までで閉室は5時半です。

「良くお考えになってからお並びくださーい。」という声も聞こえてきました。

 

 帰りに写した外の行列。

 

中はかなりの見応えがありますよ。少し人が引くかなと午後からというのはかなりの危険じゃないかと思いました。

 

あんなにおしゃべりしたのに、翌日も姉と電話しました。

「いろいろと大変だったけれど、かえって楽しさが増したような気がした一日だったね。」と姉は言いました。

 

そうですよ、あれです。

「逆に、楽しい。」と言うアレです。

 

 

ところで中でのささやかな触れ合いのお話を一つだけさせてくださいね。

外がこんな状態なので、中に入っても人は溢れ、時には人の陰の前後を体を右左に振って絵を観なければなりません。それで

「右と左に分かれてしまった絵のパーツを、頭の中で接続しなくちゃいけないなあ。」と思わず呟いてしまいました。

すると前にいた人が(簡単には退けない状態。)、体を斜めにして

「この角度から一気見して。」と言ってくれたのです。

普通に立っているだけで、どれだけの人とぶつかったかというような会場の中で、そんな譲り合いって素敵な事と思いませんか。

 

この記事を書くのに、ちょっとだけ時間確認で検索しました。

それで知ったのですが、同じ12日の日の夜、皇太子夫婦が鑑賞に訪れたみたいです。

まあ、同じ日に行かれて光栄だわ…なんて気持ちにはもちろんまったくなりませんが(意外にも皇室好きなんだけれど、私)、人の頭越しに絵を見るなんて事は絶対にないんだろうなって、その時のニュース画像を見て思いました。

つまりこの方々には「逆に楽しい。」と言う言葉って、きっと理解できないに違いないと思ったのでした。

 

まあ、とにかく「若冲展」は5月24日までです。

あっ、そうそう。18日の水曜日は65歳以上の方は無料ですよ。

つまり64歳以下の方は行かない方が無難と言うことかもしれませんね。

 

 

 

 

 

 

 

コメント (10)
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