【夏休みの宿題には何のお役にも立たない感想を書きます。】
「精霊の守り人」の原作は、ドラマを見てから読もうと決めていました。先に原作を知っていて自分なりのイメージで世界観を作ってしまうと、ドラマとその自分との世界観とのギャップは必ず生まれ、その比較と言うのが私の場合はですがドラマポイントになってしまう事もあるからです。その比較と言うのが楽しい場合もあるのですが。
今回はドラマを見る事をメインで楽しみたいと思っていたので、後から読むと言う選択をしました。
ではドラマ後に読んで比較をしないのかと言うと、それでもやはり普通はしますよね。
でも大概の場合は、物語の世界が自分の想像力も手伝って広がる場合も多いし、心情的に理解できなかった部分も補完してくれるので後から読むのは楽な事だなと思いました。なんたってイメージを最初から自分で作っていないわけですから。
原作をこよなく愛していた人には少々の不満があったのは、ドラマがその作り上げていた自分世界のワクワクするような冒険譚に満たなかったと言う事なのかも知れません。
だけどキャストのドラマイメージで読み進めている私には、何の遜色もなく、「ドラマは良く出来ていたな。」と思うばかりです。
〈あなたは浅いのよと言われれば、そうなのかも知れませんが。〉
なのでドラマ感想が=本の感想に近いです。
それでも少々、本を読んだ後の補足もしくは比較感想を付け足しておきます。
優しくてだけど本当は強いダンダ。
孤独に戦い続けるバルサをどれだけ助け支えているのかが強く伝わってきました。彼女の気持ちに寄り添って、じっと共に同じ時間を共有できる日を待っているのです。
ドラマ的な見せ場の為に、ダンダの活躍がバルサに行ってしまっていたんだなと言うシーンもありました。ダンダは重要なシーンでドラマより活躍するのです。
この男らしいダンダがいるから、誰よりも強いバルサだけれど女性である魅力が引き立っていると思いました。
ドラマでは「復讐」の気持ちが強く滲み出ていましたが、この「精霊の守り人」だけだと、復讐よりも父親代わりだったジグロの為に8人の人を助けると言う難しい誓いの方が前面に出ていて、バルサの魅力が増していました。
さてやっぱり気になる帝ですが、私はこの役に藤原竜也をキャスティングしたのは、どうだったのだろうかと思ってしまいました。(悪い意味ではありません。)
本の中では5ぐらいの登場人物をその倍ぐらいの重要人物に押し上げてしまったように感じました。とてもじゃないけれど、本の感想を帝視点で書けと言われても書けるものではありません。
確かに王宮の存続を守るために子殺しを命じる非情な帝ですが、ほとんどが聖道師が背後で糸を引いてるわけですし、建国神話で神のように崇められている帝は民にとっては絶対なる者なのでした。
誰がそのシステムの礎を作ったかなども本来は関係なく、そう言う政治システムは「カリスマ性政治」と言って、帝に本当に神の力があるのか否かなんて事は関係がない事なんですよね。
ドラマの中で戻って来たチャグムに「良く戻って来た。」と嬉しそうに優しく声を掛けたのは、怪しい音楽に惑わされたけれど、あれはやっぱり本心だったのだと思いました。
面白かったのでこのシリーズは、来年の次作を待たずに読み進めようと思います。
先に読み進めて、来年、ドラマの感想をブーブーいう可能性があるかもしれませんが、ドラマも好きだったので、それはどうかなと言う所です。
あっ、そうそう。
実は本を読んで、イメージ修正がありました。それはチャグム。彼はもうちょっとドラマよりは年上の少年のような気がしました。
あっという間に読めるので、夏休みの読書感想文などにどうぞ。
↓
精霊の守り人 (偕成社ワンダーランド) | |
二木 真希子 | |
偕成社 |
精霊の守り人 (新潮文庫) | |
上橋 菜穂子 | |
新潮社 |
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