私は途中で思わず時計を見て
「あらッ、うちの時計、壊れちゃったのかしら。」と思ってしまいました。
進んでいるのかと思ったのです。でも違いました。それは、あっという間に終わってしまっただけだったのです。
戦国を舞台にした大河でも、今までも松永久秀または松永弾正は出てきたと思うのに、歴女ではない私にとっては、今まではまったく影の無い人だったのでした。
そういう歴史上の人物はたくさん居て、大河ドラマで多くを知り勉強しています。
「軍師官兵衛」では、ミッキー・カーチスさんがこの役だったのですね。毎週楽しみに見ていた割に、あまり記憶に残っていなかったのです。自分のブログ記事を読んでみたら、毎週感想を書いていなかったがゆえに、記憶から消えてしまったのかも知れません。(皆様にはどうでも良い事ですみません。しばし想い出に浸ってしまいました。村重、懐かしいな・・・とか。)
ただ驚いたことに、過去記事を読むと「功名が辻」には、なんと一豊さんがこの久秀を説得しに行くシーンがあって撃沈したと言う話が有ったのですね。その時の久秀は品川徹さん。その時秀吉が信長に「弾正も殿と同じく極悪人ですので・・」
と言うセリフがあったり、記事内にも久秀をミニ信長と称していたりしていました。だけどいずれもドラマの真ん中には存在せず、このようにずっと出続けたのは、今まではあまりない事だったのではないでしょうか。
ところでなぜ、「」の部分が青字なのかと言うと、昔の記事をコピーしたからです。そして恥ずかしくて、その記事のリンクも出来ません。14年前、ブログを始めたばかりの私は、こんなに軽い文章を書いていたのかと、驚くと同時に、「もうこんな風には書けないや」と寂しい様な不思議な気持ちにもなるのでした。
いつも過去を思う時、煌めくような想いを感じるのはなぜなのでしょう。
三淵藤英の時も同じように感じました。
そして・・・・・。
伊呂波太夫の家での、久秀と光秀の会話を聞いているだけで、私の中にも彼らの煌めいた過去からの繋がりが見えて来て、「戦いたくない。平蜘蛛なんかいらない。」と席を立つ光秀に胸が熱くなりました。
鉄砲を買い求めに京へやって来た時に出会った二人。三好長慶襲撃計画を知った時には、共に戦った二人。
だけど本願寺側に着くと言うのなら、これから先は敵同士。
やっぱり戦国時代は辛いです。
人物本位であると思っていた信長も実は家柄重視かと、久秀は信長に失望して離れていったのです。その失望は、彼にとっては裏切りのようなものだったと思います。裏切ったのは久秀ばかりではなかったのです。
「今日は松永の見せ場なんだね。」と夫。
「そうね、このドラマは、短いけれど皆それぞれに見せ場があって良いよね。」と言う我が家の会話がありまして、
鋼太郎氏の独擅場、久秀の最後でしたね。
「一炊の夢よ。」と言って腹を切りますが、その時、思わず
「着物の上からなんて、痛いって!!」と下らない事を思ってしまいました。
ドラマですので、痛いか痛くないかの問題ではなくて、美しい構図になっているかの問題にすぎないわけですが、どうもこうのように変な所に目が行ってしまうのは、私の悪い癖のようです(^_^;)
城が炎上しているのを見ながら、男たちが勝鬨をあげていました。光秀も小さな声であげていましたが、それはただ形だけ。どんなにか虚しかったことでしょうね。
そして、信長。
泣いていました。
帰蝶にも、そんな殿の気持ちが分からないと言います。
信長だって、松永久秀の死や多くの茶道具の消失は本意ではなかったはず。自分の願望と現実とのギャップを涙で埋めているのでしょうか。
ところで帰蝶と光秀の対面の間の襖のあまりの美しさに、「ここ、どこ?」と我が家で話題になってしまいました。
セットなのか ?
それにしては広すぎないか ?
だいたい少人数で会うのに、この部屋は広すぎるし、ディスタンスか?
それはともかく、帰蝶は、この信長自慢の城は石段が多いと去っていこうとしていました。もちろんそんな事は口実です。
中級程度の、いや上級のそこそこの山の頂には共に登ってみたいと、アドバイスしたり励ましたり、裏でも動いたりとしていた帰蝶でしたが、まさかその夫が富士のように一番高い山を登り詰めるとは、思っていなかった帰蝶だったのですね。彼女が語った富士の例えは分かりやすかったですね。
「疲れた。」と彼女は言いました。
きっとそれが本音だと思います。
だけど共に戦ってきたと思った帰蝶が離れていく事を知って、ますます信長の孤独は深まるばかりですね。
そしてそこで、輪を掛けるように光秀が嘘をつくのです。
秀吉が放っている間者の報告により、ぐるっとまるっとオミトオシ。
光秀が伊呂波大夫を訪ねて、松永久秀と会った事がばれていた段階で、なぜ内容までバレていると思わないのかと、思ってしまいましたが、たとえバレているかも知れないと思っていても、やはり光秀は嘘をつき平蜘蛛のありかを言わず、信長にそれを差し出す事は出来なかったのだと思います。
なぜなら、松永久秀は「これは私だ。」と言ったじゃないですか。「差し出したら、私は楽になれたのに、どうしても出来なかった。」と光秀も言いました。平蜘蛛を信長に渡したら、それは光秀の松永に対しての裏切りでしか無いように感じたたのかもしれません。
伊呂波大夫が光秀の館に平蜘蛛を持ってきて、それをじっと見た光秀が、「これは松永殿の罠だ !!」と言いました。
死してもなお、久秀の罠にはまって動かされてしまった光秀。
そして伊呂波は久秀の言葉を光秀に伝えるのです。
「『それを持つ者は誇りを失わぬ者、志高き者、心美しき者』で、それを持つ覚悟が必要だった」と。「私には(久秀)にはその覚悟が足りなかった。」とも。
松永久秀は、光秀にその覚悟を持てと伝えたのだと思いました。
その覚悟とは何か。
光秀は伊呂波に帝に会おうと思うと伝えるのでした。
密かな亀裂がピシピシと入っていく、信長と光秀 !!
「本能寺の変まであと5年 !!」と、その数字を確認しようと、HPに行ったら、なんと脚本家の池端さんのインタビューが載っていてですね、いろいろと深く、というかそこまで全部言っていいのかというくらい全部書いてありました。
なんだかこんなに、長々と書くこともなく、そこのページをリンクしておけばよかったとか、そんな気持ちにもなってしまいましたが (^_^;)
まっ、良いか。書いていて楽しかったから。
だから最後に、小さなことを書きます。
熙子の爪を切って、それを美しい小箱に入れて、それを振ると可愛らしい音がするのだとたまに語る光秀。それはたまの口から語られて、綺麗な箱に納まる爪を見せても、実際に光秀が語っているシーンはありません。
だけど爪がカサカサと鳴る音を聞いて「可愛らしい音」と言う光秀から、妻を想い続ける気持ちが伝わって来て、胸がキューンといたしました。