flow Trip -archive-

「漂い紀行 振り返り版」…私の過去の踏査ノートから… 言い伝えに秘められた歴史を訪ねて

白川出口橋から宝飯郡衙跡を望む

2016-07-11 00:00:00 | 城郭・城下町

(愛知県豊川市市田町 1992年4月8日)
 出口橋から伊知多神社方面を望む。伊知多神社は郡明神(こおりみょうじん)とされ、付近に郡衙(ぐんが:奈良・平安時代の郡役所)があったと推定する。昭和58年、私は豊川市市田町の伊知多神社南側の崖面下から布目瓦片と瓦質の線刻仏画片を採集した。この地に郡明神が存在していたことが分かっている点や三河国府に近いこと、奈良平安時代の遺物が散見できることなどから、宝飯郡衙が存在しただろうと想定していた。その後、昭和61年、同じ場所が崖面災害防止工事を行うことになり、その際瓦堆積層が見つかって発掘調査が行われた。そのとき採集した布目瓦片は厚みが薄いもので、寺院のような大規模な建物で使用されるものではないと推察する。また、線刻瓦片は、非常に薄手で、裏面に線刻を施し、串状のもので簡単になぞった単純な仏画であるが、天蓋や光背などが線刻されており、貴重な瓦片といえるであろう。或いは仏教末法思想が広まった平安後期頃に多量につくられた、瓦経の一種である可能性もある。然し、線刻仏画胴体付近が不鮮明、欠損をしているためはっきりしたことはわからない。

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