京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

春立つ日に

2009年02月04日 | 日々の暮らしの中で
“花の盛り”などという時期を待つ事もなく、冷たい空気の中で早々に、密かに花を開かせている梅。

立春、暦が春、という日を迎えるだけで、頑張って咲かずにはおられず、そのための雨を期待する梅に早変わりでもするのだろうか。暖かな空気の中、まだまだ固い桜のつぼみまでが、もぞもぞし出したように見えるのは、気のせいだろう。自然が暦に支配されることは、あるまい。

本堂裏手、畑に面して一本の桃の木がある。枝には、競い合うような芽があふれ、付近では一足早く、おしゃべりの花が咲いている。
たくましい生命力を娘にと、健やかな成長を願って毎年飾り続けた雛段飾りの脇に活けられて、今年もそのほころびを待つことになる桃の花。

例年、隋臣の烏帽子の紐が、顎の下にうまく結べない。手が凍えるほどに冷めたい。それがこの時期なのだ。
冷え切った部屋での作業にはつらいものがあるが、飾り付けが進むにつれ華やぐ空間、美しい親王の顔が浮かび上がる不思議な緊張感を楽しめるのは私の役得になる。
それに、なんといってもJessieの反応を想像するだけで今年は心温い。

姫は公園に、私は立春とともに花便りを追いかけて植物園に……。やはり暦に洗脳されているのだろうか。
季節の節目を通し、季節の面白さに気づかせてくれるのなら、それも日本に生きる楽しさの一つと言えるだろう。
コメント (4)
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