京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

母の思いを宿し

2009年02月22日 | 日々の暮らしの中で
ふすま・障子を開け放し廊下の向こう、境内側からの光を目いっぱい取り入れた昼間の華やかさとは趣を異にして、静寂さに包まれた深夜、ぼんぼりの明かりに浮かびあがる雛の顔顔顔。決して闇夜の異様さなどはない。

じっと向き合う。
切れ長の目、やさしく上品な微笑みをたたえ、白くふっくらとした顔がまことに美しい。
私の日常すべてを見つめている。なにもかも、静かに、ただただ黙ってみている「目」。私に語りかけてくるようなまなざしに、母親の顔が浮かぶ。

苦労させたくない……、そんなごく当たり前の母親としての奥底の気持ちも知っていた。
孫の初節句を共に祝い、何度か一緒に過ごした桃の節句。
「keiちゃん」「元気にやってるね」、そんな明るい声が今年も聞こえてくるのだ。
元気だよ……
話したいことはいっぱいあるよ~
今年はJessieがここにいるよ~

いつか娘がこの段飾りを飾る日があるとすれば、私と同様、母親の娘の幸せを願う思いが雛の表情に宿るのを感じてくれることだろう。

赤・緑・白の三色の菱餅は、桃の花・花の芽・残雪の春景色を表しているとか。
赤は魔除け、緑は健康、白は清浄。「縁起を尽くし幸せを招く」桃の節句。
テーマカラーは赤緑白。待ち遠しい春の訪れだ。

コメント (6)
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