京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 課外授業

2009年06月27日 | 日々の暮らしの中で
“京都のど真ん中”、佛教大学四条センターにて、当日申し込み制で受講できる講座がある。それは現代社会、仏教、京都学、歴史・民俗・伝統、文学・芸術、等々にわたって多彩に開講されている。

今日は土曜日。幼稚園も休みだし、どこかへ遊びに行こうか?と考えていたところ、もうちゃんと計画済みの母子。ふられて、時間ができた。と、言うことでこのセンターに出向くことにした。

『「文学」の課外授業  文学と音楽 ①野口雨情の生涯と作品』
受講料を払う。待っているうちに、眠くなってきた。個人参加ばかりなのか、私語がない。静けさが、かえって始まりもしないうちからの眠気を誘う。
講義の途中には、ピアノの伴奏つきで雨情の童謡の独唱がはさまる。その先生が別に二人。幸いお若い教授だったことと、童謡を口ずさめたことが眠け防止につながったみたいだ。

雨情は、いかなる場合でも人と争わない。「たとえ形の上で負けても、良心で勝て!」という父の言葉を思い出し、良心に恥じないことを日々の信条にしていたという。
かつての、童心のままの優しさから、労働者・農民・貧しい人々の苦しみへの共感。資本家への激しい怒りの表現。そして戦争批判を―「○○○(愛国者、かと)たるよりは、寧ろ人道(ひと)に忠たれよ」と、思いを露わにしていく。

彼の伯父や近代文学に影響大だった内村鑑三、児玉花外等、社会派の人々との交わりから、社会の弱者にあたたかな目を向けていく過程の話は、資料と共に興味深かった。

「黄金虫」「俵はごろごろ」「十五やお月さん」「赤い靴」「青い目の人形」「七つの子」「証城寺の狸囃子」「雨降りお月さん」「しゃぼんだま」「船頭小唄」……童謡だけでも作品を挙げればきりがない。

雨や月が好きだった雨情。「詩とはことばの音楽です」と。

           ( 原田泰治さん描く 童謡「赤い靴」)
コメント (2)
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