京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 天空の通路では…

2009年06月30日 | 日々の暮らしの中で
          

旧暦六月三十日は夏の終わりの日。空の上には、夏から秋へと一本の通路があるのかもしれない。暦の上では明日から秋。向こう側ではきっと涼しい風が吹いているのだろう。現実の暑さはこれからだというのに。

      みなづきのつごもりの日よめる     凡河内躬恒
   夏と秋と行きかふ空のかよひぢは
     片方(かたへ)すずしきかぜやふくらむ

そして、「あきたつ日よめる」と藤原敏行が歌っている。
― 秋が来たと目にはっきりと見えるわけではないが、風の音に秋の訪れを気づかされることだ…と。私たちも、春夏秋冬、その運行を察することはできよう。だが、時間の流れの微妙な変化を、いち早く聴覚で感じとることの鋭さよ…。

六月の晦日の祓いをすれば「千歳の命が延ぶる」と、千年も前のどなたかの声が聞こえてくる。茅の輪をくぐりけがれをはらい、残る半年間の無病息災のご利益に授かりたい。庶民の願いは変わらない。人並みに、私も上賀茂神社に詣でることにした。
   

輪の前にたち、まず左回りに1回、中央からくぐり入り輪を半周して戻る。2回目はそのまま逆に右回りで。3回目は再び左回りでくぐり抜け、中央に戻ったところをそのまままっすぐに、もう一度輪をくぐり抜けて前へと進むことで終わる。

今夜八時から、境内を流れる「ならの小川」に形代を流す大祓式が営まれる。かがり火の薪を組む準備が進んでいた。
神々しい境内、「みそぎぞ夏のしるし」となる光景なのであろう。雨が降らなければ良いが。
コメント (10)
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