Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

ペシャワール博物館

2007-06-04 17:00:53 | 南アジア
まだしつこく続く、博物館シリーズ。

99年のGWに訪れたパキスタンのペシャワール博物館。

ガンダーラ美術の宝庫としてあこがれの場所だった。
確かこの前年に仏舎利容器などが日本で展示されて話題になったと記憶する。
ピンクの外観は立派で、内部も広い。

そしてお目当てのガンダーラ仏は男前ぞろい。
  
 

ガンダーラの仏像を見て良く分かるのが、仏様の頭がもともとは写実的な、カーリーヘアの髷の表現だったこと。仏像が作られた時代、この地域では当たり前のヘアスタイルだったろう。
その仏像が外国に輸出されるにつれて、カーリーヘアなどいない、髷も結わない国で誤解されて、螺髪だ、肉髷だと妙な解説がつけられていったと容易に想像できる。

多くの宗教上の禁忌というやつも同じなのではないかと思う。つまり、もともとその宗教が発生した時代、地域の環境にとってはとても合理的な教えだったものが、時代が変わり、環境が変わって無意味なものになっても形だけ残って、妙な理屈がつけられるということ。こういうことがちゃんと理解されれば宗教的偏見は減るんじゃないかと思いたいが、そう簡単にはいかないんでしょうなあ。

ところでペシャワール博物館、収蔵品は素晴らしいものばかりなのだが、惜しむらくは展示があまりにも原始的。照明など蛍光灯で無造作に照らすだけ、という有様で、ツアーで一緒だった照明デザイナーは泣いていた。
あれから8年経ったが、少しは変わっただろうか。

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上海博物館

2007-06-03 16:01:09 | 東アジア
はじめてギメに行った時、偶然ご一緒した大阪の博物館の学芸員の方に「中国で一番の博物館は上海」と聞いた。そこで次に出張で行った時、空き時間を利用して行ってみるとすごい充実振り。短時間ではとても見きれないので、今度は上海蟹を食べに行くついでに時間をとって行ってみた。

すると博物館の周りは長蛇の列。尻尾がどこにあるかも分からないほどとぐろを巻いている。それというのもちょうど開催中のこの展示↓のおかげ

書画は作品保護のためなかなか公開しないので大人気のようだった。

あまりの列の長さにあきらめようかとも思ったが、他に行きたいところもなかったので覚悟を決めて並んだ。結局、館内に入るまで2~3時間待ったと思うが、回りの中国人を眺めているだけで意外に退屈しなかった。というのも中国人、大体じっとしていないのだ。グループの誰かが必ずどこかへ消えて、食べ物を手にして戻って来る。くしに刺したイカだったり肉まんだったり。へー、こんなもの食べるのね、と思っているうちに入館できた。中国人お得意の割り込みなどなかったのは上海の民度が上がっているのか、書画を見に来るようなインテリだからか。

中に入ると特別展はまた長蛇の列だが、それ以外は普通の入り。こんなことなら入り口を別にしてくれれば、と思うがしょうがない。

1階の彫刻の部屋から観覧開始。
まずこの仏像にやられる。
 
青州の菩薩半跏思惟像。6世紀、北斉の石像彫刻。

そしてこれ、唐のものだったと思う(よく覚えていない)騎馬戦士像。
 
表情が実にリアルだ。

隣は青銅器の部屋。さほど興味がないので飛ばそうかとも思ったが、ここがまた充実していておもしろいものがある。
 
豊穣を祈る祭器なので動物紋がたくさんあるのだ。

 
おなじみ副葬品の伎女たち。
唐三彩ももちろんふんだんにあり、

そして中国といえば磁器。
  
  
あれもほしい、これもほしい、と思わず身もだえしてしまう。

中国磁器のコレクションと言えばもちろん台湾の故宮博物館が最高峰で、皇帝が所有していた名品などはあちらへ行ってしまったわけだが、ここにもすばらしい作品がたくさんある。特に明代、清代初期の白磁、染付けはいいな~。

1996年に改装された上海博物館はゆったりしているし、展示や照明も工夫されてとても見やすく、すばらしい博物館だ。
現在の中国はどうやら博物館に力を入れているらしく、地方に行っても州都には必ず巨大な博物館が新設され、でも中身はスカスカだったりする。古いものはどんどん壊してしまう中国で、美術品だけはせめて残そうということか。

おまけ、というかこれが主目的だった上海蟹づくし。

ゆで蟹はガールよりボーイがおいしいそうです。

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サントリー美術館と北京ダック

2007-06-02 01:49:21 | 食べ歩き
六本木での用事が思ったよりも早く済んだので、東京ミッドタウンのサントリー美術館へ。
 開館記念の「日本を祝う」に滑り込む。

テーマが「祝う」なので屏風、着物などおめでたい意匠のものばかりで華やか。日本美術がわび、さびばかりではないことを再認識。

展示品の中で最も魅かれたのは色鍋島。

このデザインの粋でモダンなこと。

他にも尾形乾山の焼き物とかガラスの酒瓶とか、
 
日本の工芸品は洗練されているとつくづく思う。

サントリー美術館は2フロアにまたがっているが、ゆっくり見て1時間。時間つぶしに調度いい。

夕食は友人と麻布十番へ。海南鶏飯を食べに行こうと思ったのだが場所がうろおぼえで見つけられず、結局北京ダックのお店へ。
胡同三辣居 六本木店
 
北京ダックはリーズナブルだし、前菜の砂肝が辛くておいしかった。

東京は何でもあって素晴らしい。

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パリ ギメ博物館

2007-06-01 00:09:54 | ヨーロッパ
アンコールつながりで大好きなパリのギメ博物館のこと。

 2000年の改装直後に訪れて惚れ込み、翌年また行ってしまった東洋美術の宝庫。

魅惑のアフガニスタン・コレクションについては前に書いたが、ここはアンコールのコレクションも充実している。もちろん植民地時代に分捕ってきたものだ。フランス人の側からすれば自分たちが見つけて研究したのだから当然、と思っているかもしれないが。
 
美しいアプサラや馬頭の神様など、持ってきているものは超一流のものばかり。
しかし最も美しいのはこの頭。
 ジャヤバルマン7世
アンコール・トムを造った王様の顔は仏様のよう。

中国美術も充実している。
 
たおやかな美女たちは大勢いるし、

シルクロードの仏画はとても良い状態に修復されている。

これぞシルクロードという感じのラクダも素敵だ。

この博物館で一番感心したのは展示の仕方。
まるで宝石店のショーウィンドウのように照明されている物があったり、
 
 

この馬たちのように躍動感いっぱいの展示があったり。
 アフガニスタンのガラスの魚たちも楽しそうに空中を泳いでいる。
 日本の菩薩たちも軽やかだ。

また行きたい博物館No.1である。

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