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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

雲上の十勝岳連峰を往く 3 (十勝岳 39)

2013-08-03 09:55:57 | 北海道低山紀行 & Other
 十勝岳連峰の三つのピークには達したが縦走は終わってはいなかった。十勝岳からの下山コースがけっこうな距離なのだ。時間的にも距離的にもまだ1/3以上が残っていた。 

※ 本日は午後から深夜まで私事で外出するため、外出前に投稿することにしました。

 十勝岳温泉登山口から5時間をかけて到達した十勝岳だったが、眺望がきかない頂上に長居する理由はない。登頂の感激もそこそこに15分ほどの滞在で下山することになった。

          

 下山道も火山特有のガレ場、というよりは大きな岩場が連続する難しい下りだった。そこでアクシデントが起こった。
 かなり急な岩場のところで私の二人前を歩いていた婦人が足場を踏み外して転がり落ちたのだ。身体が2回転くらいして止まった。「スワッ、事故か?」とリーダーたちが駆け寄った。本人は緊張のあまり「大丈夫、大丈夫」と言っているが、落ち方が落ち方である。どこか怪我をしてなければいいがと見守ったが、幸いどこにも怪我がなく、足の捻挫もないようだった。
 その後も高齢の婦人たちの何人かがやはり岩場で転んだり、足を踏み外して腰を落とすことがあった。やはり鍛えているとはいえ、足腰にかなり疲労が蓄積しているようだった。私もより緊張して足を進めた。

          
          ※ 赤のレインウェアで座っている方が転落した人です。

          
          
 十勝岳山頂からは上りは一切なく、ひたすら下るだけだった。その点はとても楽なのだが、やはり長い時間行動しているためか疲れはかなり貯まっていた。私たちと行動を共にしたリーダーの一人、北海道山岳連盟理事長の神山という方がチーフリーダーに適切なアドバイスを送り、適宜休憩を入れてくれることが有り難かった。
 今回、私たちをサポートしてくれたのは北海道山岳連盟所属で日本体育協会公認の登山指導員の方ばかりだそうである。私たちのパーティには4人がリーダーとして付き添ってくれたが、皆さん適切なサポートとリードで安心して登山を楽しむことができた。

          

                   
 十勝岳山頂からおよそ90分、大きな火口が私たちを迎えてくれた。「グランド火口」と「スリバチ火口」と称するそうだ。グランド火口は紀元前に噴火した火口であるのに対して、スリバチ火口の方は1926(大正15)年の噴火ということだからかなり新しい火口である。この時には死者・行方不明者144名を数えたということだから相当に大きな噴火だったことが想像される。二つの大きな火口を見て、火山噴火のエネルギーの凄さを実感させられた。

          
          ※ こちらが「グランド火口」です。

          
          ※ こちらが「スリバチ火口」で、二つの火口は隣り合っています。

 その後も淡々と下りは続く。時間も経過し、疲労もマックス状態となったのか、参加者から休憩のリクエストが出るようになった。リーダーが予定していなかった(と思われる)ところで2回の大休憩を取った。
 すりばち火口から下ること80分、「十勝岳避難小屋」に着いた。かなり新しい建物だった。ここまで来ると、迎えのバスが待っている「望岳台登山口」まであと一息である。

          

 とは言いながら、斜度の緩くなった道をそれからも60分歩き続けた。ここは私がまだ若かった頃2~3度スキーに訪れたことのある十勝岳スキー場があったところだ。現在は当時のリフトも外され、その面影はなかったが、やはりそこでのスキー経験があったリーダーとひと時思い出話に浸りながら山を下った。
 そして15時35分、雨も風も止んだ「白金温泉望岳台登山口」に辿り着いた。

          

          
          ※ 望岳台から見た十勝岳山頂は雲の中に隠れていた…。

 朝6時35分、「十勝岳温泉登山口」から行動を開始して、ちょうど9時間後に「白金温泉望岳台登山口」に帰着した十勝岳連峰縦走だった。
 昨年の大雪山縦走や今年の富士山登山のような苦しみを覚悟していた私だったが、今回は意外に辛さがMAXに達することなく登山を終えることができた。
 その要因の一つは、今年の場合はこの日のことを意識して準備を周到に進めていたため体力がそれなりに付いていたということが言えるかもしれない。

          
 
※ 「面白い!」と思った写真を2枚提示します。この2枚はほぼ同じ位置で登山道の左右を撮ったものです。1枚目は黒々とした岩石が転がり緑はまったく見えません。対してもう1枚は同じくらいの高さなのに緑が見えています。ちょっとした傾き、風の向きなどで植物が生育したり、できなかったりするということのようです。

          
          
 それともう一つ、参加者の層がかなり高く中高年というよりは、老年登山隊の様相を呈していてペースがゆっくりだったことも要因の一つである。
 登山の途中で年齢の話になったので、それとなく聞いているとなんと最高齢75歳の婦人が参加していた。その他にも70歳を超えているであろうと思われる参加者が散見され、それも多くは女性である。彼女らがチーフリーダーの直ぐ後に付いてリーダーをけん制しながら歩を進めるのだから当然その歩みは緩やかとなる。それでも標準時間内に行動してしまうのだから素晴らしい!
 自分が70歳を超えて彼女らのように行動ができるかと問われると自信はない。女性パワー恐るべしである。素直に脱帽したい思いになった。

          
  ※ 下山中、雲の切れ目からゴールの望岳台の建物が見えてきました。近くには見えても、この地点から1時間半以上かかりました。


(今シリーズは次回に今回であった高山植物の写真を紹介しながら、今回の山行全体を振り返ってみたい)