私はこれまで何度同じ図を見てきたことだろう。各種の講座の度に日本を取り巻くプレートの図を何度も見てきたが、今回の講師の小野名誉教授も提示しながら日本の地盤の脆弱さを指摘した。
北大の公開講座「東日本東北沖地震と北海道」の第2回講座は「福島第一原発事故とこれから ~泊原発を考える~」と題して小野有五名誉教授が講義を担当した。
小野名誉教授は冒頭次のように私たちに語った。
「私は泊原発の廃炉を目ざして活動しています。本講座ではなぜ廃炉を目ざすのかを科学的な側面から説明します。私の主張を押し付けるつもりはありませんが、皆さんがこのことについて考える材料にしていただければと思います」
何度も見せられた地球上のプレート分布図であるが、世界広しといえども4つものプレートが交錯しているのは日本だけである。そしてそのプレートの境目で地震が多発していることがよく分かる。図の中で赤い点は地震の発生回数を表すのだが、日本周辺は点ではなく線というか、帯状になっていて世界でも最も地震の多発地帯であることがよく分かる。
こんな地震多発地帯に日本は50数基もの原発を有しているのである。
※ この図はよく目にされたと思います。これがSPEEDIが予測した放射性物質の飛散状況の図です。
そして小野氏は日本の政府・企業の隠ぺい体質を非難した。
勉強不足の私は初耳だったが、震災前から文科省にはSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)という放射能物質の拡散状況を予測するシステムが存在し、実際に予測していたという。ところが政府はその予測を公表しなかったために、多くの住民が放射能物質の飛散方向に避難してしまったという事態が起こったという。
また、現在においても収束の見通しさえ立たない福島原発事故についても、東京電力は都合の悪い情報を次々と隠し、隠しきれなくなると渋々公表に踏み切るということを繰り返していると小野氏は指摘します。
そして泊原発についてだが、泊原発が位置する日本海東縁は北アメリカプレートとユーラシアプレートがぶつかり合う境界である。この南北に延びる一帯は地質学的な歪みが集中している地帯だという。この線上では、新潟県沖から北海道西方沖までマグニチュード7規模の地震が線上に発生していて、泊原発のある日本海でいつマグニチュード7規模の地震が起きてもおかしくないという。だから小野氏はそんな危険なところにある泊原発は廃炉にすべきだと主張します。
私はこの問題について、当初は未知なこともあって態度を鮮明にできないでいたが、いろいろな方のお話を聴いたり、報道を耳にし、深くは理解できないながらも「再稼働や新規増設は有り得ない」とブログ上でも表明した。また、それが日本の全体的な空気だとも思っていた。
ところがここにきて、泊原発をはじめ各地の原発の再稼働が話題となり、国内の空気もそれを容認するような雰囲気になってきているようだ。その根底にあるのは経済大国日本の再生のためということのようなのだが…。
私たちは今回の福島原発事故から学んだのではなかったろうか? 私たち人間にとって制御不可能な原子力からは遠ざかるべきではないか、と…。
今日聴いたジャーナリストの大谷昭宏氏言葉が耳に残る。「ヒトから水と空気を奪う災害は他にはない」…。
※ 話題の振れ幅が大きくて申し訳ありません。しかし、これが田舎おじさんの現実です。