田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

「太宰治 創作の舞台裏」展

2021-04-22 18:25:15 | 作品展・展覧会等

 太宰の肉筆は意外に私にも読める優しい字体だった。また、彼は高校時代から本格的な同人誌を発行するなど早熟の徒であったようだ。北海道立文学館で開催されている展覧会に足を運んでみた。

                 

 振れ幅の大きい拙ブログであるが、純文学の世界など私とは対極にある世界である。なのになぜ足を運んだの?と疑問を抱かれる方もいらっしゃるだろう。理由は単純である。一つは昨秋、私は太宰治の生家である五所川原市の「斜陽館」を訪れたことで少しだけ彼を身近に感じていたこと。そして今日、道立文学館では展覧会の「見どころ解説」があると知って、私のような門外漢でも興味をもって観覧できるのでは?と考えたからである。

   

   ※ 北海道立文学館のエントランスに掲示された大きな展覧会のポスターです。

 「見どころ解説」は同文学館の学芸員の方が解説されたのだが、太宰が青森中学校時代に同人誌「蜃気楼」を発行し、弘前高校時代には「細胞文芸」なる同人誌を主宰していたということだった。彼がいかに早熟であったか、そして文学への志を幼少のころから抱いていたことを物語るエピソードである。

   

 解説の後、展覧会で実際の同人誌が展示してあったが、それはガリ版刷りなどの手刷りのものではなく、印刷所において製本された本格的なものであり、発行人として津島修治(太宰治の本名)本人の名が記されていた。学生時代にこうしたことができたのも、太宰の実家が県下有数の大富豪であったことから可能となったのではと推測した。

 また、解説では彼の作品「お伽草子」の原稿が一昨年完全な形で発見されたものが、今回東京に続いて2番目の公開にあたることが強調された。

 さて、肝心の展覧会の方であるが、太宰ファンにとっては展示されている一つ一つが垂涎の的であろう。門外漢の私にとっては猫に小判であるが…。そうした中、私にもちょっと興味のある展示が2・3あった。その一つは、彼の高校時代のノートが展示されていた。「東洋史」、「物理」、「西洋史」等々…。ところがそこには授業の内容よりは、同人誌の構想などに関する書き込みが多数落書きのように記されているものが多かったのだ。太宰が学生時代から相当に文学の世界に傾倒していたことを伺わせる資料であった。

 また、展覧会には太宰の直筆の原稿が数多く展示されていたのだが、そこに書かれている肉筆は達筆とは言い難く、かといって難筆でもなく、私でも十分に読み取れる優しい字体だった。これらを写真で紹介したいのだが、展覧会は当然のように写真撮影はNGなのが残念である。

 展覧会は6月6日までの開催である。太宰にファンでなくとも、文学に関心のある方なら一見の価値ありである、足を運んでみてはいかがだろうか?

 

 弥彦神社の桜

 今日、地下鉄「幌平橋」駅から北海道立文学館に向かっていた時だ。中島公園内にある「弥彦神社」の境内にある一本のヤマザクラが満開とはいえないが、開花しているところを目撃した。札幌の開化も目前という感じである。