“葬送” などについて考えることなどほとんどなかったし、積極的に考えようともしなかった。しかし、人生の終焉が視野に入って来た一人として無関心ではいられない。ふだんは聴くことができない貴重なお話を伺うことができた。
拙ブログで何度か触れているが、私が所属する「めだかの学校」では、現在二つのテーマで学習を進めているが、その一つが終活学習「人生のフィナーレを悔いなく」である。その第3回講座が6月12日(月)午後開講された。今回の講座は札幌市の「出前講座」の一環として開講されたものである。
今回のテーマは「葬送について考えてみませんか?」と題して、札幌市保健所の係の方からお話を伺った。
お話は、◇地域ごとの葬送の風習と札幌市の背景、◇札幌市の墓地の歴史、◇墓地に関する課題と取組、◇札幌市の火葬場の歴史、◇火葬場に関する課題と取組、◇昨今の葬儀事情、◇終活について、と多岐にわたったがどのお話もとても興味深いお話だった。ここではその全てをレポートすることは困難なので、「火葬場に関する課題と取組」と「昨今の葬儀事情」の二つに絞ってレポートしてみたい。
まず、札幌市の「火葬場に関する課題と取組」であるが、現在札幌市には「山口斎場」と「里塚斎場」の二か所があるが、心配されることとして施設の老朽化があるという。高齢社会を迎え火葬件数が増加傾向のある今、もしどちらかの火葬場が施設更新などで休まねばならない状態となるとたちまちパンク状態になるという。そうした状態を回避するために担当部局ではパンク状態とならないようにするためにはどのような方法があるか対策を練っているという。
その他の課題として、「友引明け」の午前中に火葬が集中する傾向にあるとか、葬儀の小規模化などにより火葬場収入が減少傾向にあることも課題となっているとのことだった。
現在、札幌市の担当部局として数ある課題の中から、課題解決に取り組んでいる例として、一つは「火葬場予約システムの導入」が挙げられるという。札幌市の場合、現在は火葬場に到着順で火葬が行われているが、順番待ちのバスが車列を作って待つ状況があるという。予約システムを導入することでそうした状態を解消したいということだった。
二つ目としては現在「友引」の日は休場としているが、「友引」の日に対する抵抗感が薄れてきた現状から、「友引」の日も開場することによって火葬場の混雑を解消することを検討しているとのことだった。
東京の町田市に住んでいた私の学生時代の友人が退職後まもなく急逝したが、そのときに火葬場が空くのに1週間も待たされたことがあった。札幌市においてそうした状態だけは是非とも避けていただきたいと念願している。
続いて、「昨今の葬儀事情」であるが、このことについてこのシリーズの他の講義でも伺ったが、葬儀の小型化、簡素化が急激に進んでいるとのことだった。いわゆる家族葬、一日葬、直葬、などである。それに伴い葬儀の参列者の減少傾向も顕著であるという。時代の変化、人々の考え方の変化が著しいということだろう。こうした現状に対して、札幌市では「火葬場・墓地のあり方推進協議会」を設置して、時代の変化を視野に入れながらより良い火葬場のあり方、墓地のあり方について検討協議を続けているとのことだった。
前述したように、葬儀や葬送に関して多岐にわたるお話はとても興味深く拝聴することができた。一緒に受講した他の「めだかの学校」の会員の方々も一様に「ためになるお話を聴けた」と感想を述べていた。
「初めての出前講座です」と話された保健所の係長さんだったが、どうしてどうしてベテランの講師のお話をお聴きするようにお話の内容がすーっと入ってくるような素晴らしい講義だった。