楽しいトークイベントだと思った。既存の講演会や講座とは一味違うスタイルはいかにも若者たちが企画したイベントらしいと思った。次から次へと、北海道内で活躍している人たちが登壇し、自らの現在を、そして未来を語った。
6月21日(水)夜、エルプラザホールにおいて「北海道の楽しい100人 Vol.2」というイベントがあり参加した。
このイベントに私は以前に1度だけ参加したことがあったが、北海道において様々な立場でユニークな活動や挑戦を続けている人を一晩に4人招き、一人わずか15分間で自らの活動についてお話していただくというイベントである。トークの後には10分程度の質疑応答の時間が設けられていた。
なお、Vol.2と謳っているのは以前に同じ企画すでに100人の人たちを招請していて、2度目の企画ということらしい。そして今、その2度目もすでに84名の方を招請していたのだが、コロナ禍によって2年の間開催できずにいて、今回2年ぶりの開催ということだった。
この日招かれた4人のスピーカーは、登場順に
① 高野沙月さん/株式会社Fant代表取締役
② 田中雅世さん/株式会社クローバー代表取締役、株式会社ソレイユ代表取締役、一般社団法人みなば代表理事
③ 国井美佐さん/株式会社ゲート代表取締役社長、フリーアナウンサー事務所・VOICE代表
④ 塚原敏夫さん/上川大雪酒造(株)初代蔵元 代表取締役社長
高野さん、田中さん、国井さんは30代、塚原さんは40代後半といったところだろうか?いずれも若い経営者である。
簡単にそれぞれの方のお話をレポートすると…、
まずトップバッターの高野沙月さんであるが、十勝の音更町出身で東京の美術大学でデザインを勉強していてデザイナーとしてデザイン制作会社に勤務していた方である。それがある日ジビエ料理に出会い、すっかり感動してしまい自らジビエ料理の材料を獲る猟師になろうと決心したそうだ。ここらあたりが非常にユニークである。彼女は直ぐに猟師免許を取得し、“猟をするなら北海道” と思い定め、縁あって上士幌町にJターンをしたという。そこで彼女は単に猟をするだけではなく、猟師と消費者(料理店)を繋ぐ会社を設立して狩猟文化、ジビエ料理の普及に邁進しているとのことだった。
続いて、田中雅世さんである。この方もとてもエネルギッシュな方だった。肩書だけ見てもその片鱗が伺える。彼女は保育士をしていて、自らの理想の保育所を設立、運営したいと26歳の時に決心したという。2年間の準備期間を経て28歳の時に念願の自ら運営する保育所を麻生に設立したそうだ。それからは保育所の増設だけではなく、児童ディサービス、レンタルスペース、学童保育、ベビーシッター事業、グルーブホーム設立、マッサージ事業の運営と、文字どおり八面六臂の活躍を続けているそうだ。彼女の理念は「保護者や職員が笑顔で過ごすことができないと、子どもたちも笑顔になれない」をモットーに事業展開しているとのことだった。
3番目に登場した国井美佐さんについて、あるいはその名前を記憶している方もいるのではないだろうか?彼女は長い間、北海道テレビ放送(HTB)のアナウンサーとして活躍してきた方である。国井さんは2020年にHTBを退社し、札幌、名古屋などでフリーアナとして活躍するとともに、2020年に名古屋市で父親が経営していた広告会社ゲートの社長を父親から引き継いで、札幌と名古屋を往復しながらメディア視点のPR制作会社を運営し、体験を活かして企業や自治体のPR事業に注力しているとのことだった。
最後に登板した塚原敏夫さんは、もともと証券マンだったそうだが、フレンチシェフの三國清三氏との出会いから上川町と東京でレストランを経営することになったという。そこから上川町レストランの冬対策として上川大雪酒造を創設することになり、それが縁となり帯広畜産大学構内、あるいは函館市の小学校跡地などに次々と酒蔵を開設、さらには上川町にチーズ・パン工場、ホテルの運営と次々と事業を拡大、展開中であるという。
4人の方々のいずれもが自らの理想に向かって活き活きと活動されていることをうかがわせ、お話を聴いている私たちの気持ちを明るくさせてくれた。すでに人生のフィナーレも間近な自分のようなものにとっては、「理想に向かって頑張れ!」との思いで話を伺ったが、参加者の多くは若い人たちが多いようだった。それらの若い人たちにとって4人のスピーカーの話はとても魅力的であり、理想の姿の一つだったようだ。だから、どのスピーカーのお話の後でも質問が絶えなかった。
「北海道の楽しい100人」というが、同時に「北海道の元気な100人」と題しても良いような素晴らしいトークイベントである。次回も時間さえ許せば是非とも参加したいと思っている。
※ 掲載写真はいずれもウェブ上から拝借しました。