名作は何度観ても素晴らしい!そう思わせてくれた「幸せの黄色いハンカチ」だった。主演の高倉健にとっても、助演の武田鉄矢にとっても、それぞれのターニングポイントともになった同映画の最終シーンは何度も観ても涙が止まらない名シーンである。
6月16日(金)夜、共済ホールにおいてAFCアサヒファミリークラブ主催による「映画と握手」上映会が開催され参加した。今回取り上げられた作品は高倉健、倍賞千恵子主演の「幸せの黄色いハンカチ」だった。
「映画と握手」上映会とは、映画ライターの新目七恵さんが上映する作品を選び、上映前に新目さんが作品の背景などについてレクチャーした後に映画観賞に入るというスタイルの映画会である。
新目さんはさまざまなエピソードをお話してくれたが、その一つを紹介する。高倉健さんは無類のコーヒー好きとして知られていたが、札幌へ来ると必ず寄る喫茶店があったという。(現在は閉店してしまったそうだ)その喫茶店のコーヒーがすっかり気に入り、高倉さんと喫茶店の合作でブレンドしたコーヒーが袋詰めされて現在販売されているそうである。
さて映画の方であるが、私はこの「幸せの黄色いハンカチ」を何度観たことだろうか?映画館などの大スクリーンではもちろんのこと、テレビでの放映も何度か観た経験がある。諸兄の中にもそうした経験がある方が多いと思うのでストーリーの紹介は割愛したい。
その上で私の感想であるが、私はこの映画は「主演の高倉健の映画というより、助演の武田鉄矢と桃井かおりの二人の映画ではないか」というのが正直な感想である。武田鉄矢のコミカルな役と、桃井かおりの少々軽薄な役柄をそれぞれ好演し、勇作(高倉健)と光枝(倍賞千恵子)が再会するための重要なキューピット役を演じていた。
少しオーバーに言えば、高倉健はただ立っているだけで高倉らしさが滲み出ていた。そして高倉健の周りを賑々しく動き回る二人が実はこの映画の良さを決定付けていたように思えるのだ。
高倉健のファンからはお叱りを受けるかもしれないが、特に武田鉄也のあざとく見えるほどのコミカルな演技が観客の苦笑を誘い、それが独特のアクセントとなって、高倉健の良さを引き出していたようにも思えた。さらにはおせっかいとも思える桃井かおりの役柄が、この映画にはなくてはならない存在となっていた。
高倉健はこの映画によって、ヤクザ役の高倉健からのイメージを脱することができ、その後国民的俳優の道を歩み始めるキッカケとなった。また、武田鉄矢はこの映画が初演だったが、以後は俳優としての才能を発揮し始めるキッカケともなった記念碑的映画である。
またこの「幸せの黄色いハンカチ」は、1978年に始まった「日本アカデミー賞」の記念すべき第1回の作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優・女優賞などを総なめにした作品である。それも納得の映画の素晴らしさを私たちに与えてくれた名作だった。
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