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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

地球温暖化は北海道にどう影響するか?

2024-06-22 19:49:20 | 講演・講義・フォーラム等
 昨年夏の札幌は15日連続で真夏日(30℃以上)を記録するなど、明らかに地球温暖化の影響が顕著となった猛烈な暑さを私たちは体験した。はたして今後の札幌の気候はどうなっていくのだろうか?研究者の話を聴いてみた。

     

 本日午後、紀伊國屋書店札幌本店インナーガーデンにおいて、北海道立総合研究機構(略称:道総研)が「道総研セミナー 身近な科学を学ぼう!」に参加した。
 今回のセミナーのテーマは「北海道の気候変動 どうなる?どうする?」と題して道総研の二人の研究者が発表した。
 初めは、「温暖化が夏と冬の生活にどう影響するか」について鈴木啓明研究員が話された。
 鈴木氏はまず札幌の気温は過去100年の間に1.75℃上昇したという調査結果を公表された。
 そして夏に関して言うと「暑さ指数(この指数の計算はやや複雑のようだ)」が “厳重警戒” とされる28度となる日が増加しているという。また “強い雨” と表現される1時間の降水量が30mmを越える日も増えているそうだ。
 反対に冬は降雪量の減少傾向が今後続き、“ゼロクロッシング日数” の増加が予想されるという。“ゼロクロッシング” とは、一日のうちで最低気温が氷点下で、最高気温が0℃を上回る日を指すそうだ。この現象は道路の凍結と溶解をくり返すことで道路表面の破壊が進む現象を生むという。

   

 その地球温暖化の進み具合について、研究者の間ではこの先100年間の間に「2℃上昇シナリオ」と「4℃上昇シナリオ」の二つの説が存在するそうだ。それは十分な対策を施した場合と、そうでない場合ではそれだけの差が出てくるということを表しているという。
 一方、もう一人の大屋祐太研究員は最近よく耳にする “線状降水帯” について説明された。
 “線状降水帯”とは、「次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなし、組織化して数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水を伴う雨域」のことを言うそうである。こうした “線状降水帯” が九州や本州ばかりでなく、今後は北海道でも十分に考えられると指摘された。そういえば、先日お聞きした「さっぽろ市防災・減災セミナー」においても講師の鈴木氏が札幌における “線状降水帯” について指摘されていた。  

   
                        
 さて、こうして地球温暖化の影響が札幌においても顕著に現れるという状況の中、どのような対策が考えられているかというと、一つはやはり「脱炭素社会」を目指して地球温暖化の “緩和” 策を進めることだという。北海道においても「ゼロカーボン北海道」の取り組みを加速させる必要があるという。
 さらには、避けられない地球温暖化を前にして、そうした事態に “適応” することも対策の一つであるという。つまり「気候変動適応計画」なるものを北海道も各市町村においても早急に樹立することが必要である、と結ばれた。
 今年の夏が、昨年と同じような “酷暑の夏” になるのだろうか?
 私たち一人ひとりが「脱炭素社会」に向けてできることを実践するとともに、どうのようにして「酷暑を乗り切るか」を考える夏にしたいと思う。