今年に入ってから何度か「人生会議」という言葉を聴く機会がありました。「人生会議とは何のことか?」おぼろげながら概要は把握していましたが、今回改めて「人生会議」について学ぶ機会を得ることができました。
12月15日(日)午前、札幌市立病院市民公開講座が開講されたので参加した。テーマは「自分の価値観や希望を、大切な人に、医療関係者に伝えるために」というもので、札幌市立病院の看護関係職員の方3名の方が「人生会議」について様々な角度から説明してくれました。
そもそもACPとは、Advance Care Planningの頭文字を取ったもので、Advanceとは「進む」とか「進める」という意味があるようです。Careは「心配」とか「不安」という意味です。そしてPlanningは「計画」とか「立案」という意味があります。つまり直訳すると「不安なことに対して、計画的に解決に向けて進める」というような意味になろうかと思います。もう少し意訳をすると「人生の最終段階における医療・ケアについて、本人が家族や医療・ケアチームと共にあらかじめ話し合うプロセス」のことを日本(厚労省)では「人生会議」と称したようです。
各講師のテーマは以下のとおりです。
◇「大切な人とあなたの人生会議」
◇「もしもに備えた私の心づもりを考える」
◇「APC 人生会議~自分の価値観や希望を大切な人や医療者に伝えるために~」
と三者が講義をされたのだが、三者の内容に大きな違いはありませんでした。そこで本稿では、三人の講師が説かれた内容を統合して記録することにします。
「人生会議」を行う時、大切にしたいことは「自分が何を大切としているのか。どのように生き方を望むのか。繰り返し考え、話し合い、家族や医療・ケアチームと共有する」ことが大切だということです。
具体的には、
① 病気の有無に関わらず、「日々を過ごすうえで大切にしたいとや希望は何か?」
② もしも治らない病気などになった際に、「延命治療を望むのか?」それとも「痛みや辛さを緩和する治療のみを希望するのか?」
③ 治療やケアについて、自分が決められなくなったとき、代わりを誰に頼むのか?
④ もしも治らない病気などになった場合、最期をどこで過ごしたいのか?
⑤ だんだん口から栄養が取れなくなった時、「栄養点滴」、「鼻から管で栄養を入れるのか」、「胃ろうを希望するのか」、「自然の経過でいいのか」、どれを希望するのか?
⑥ 治らない病気で療養中に、急に心臓や呼吸が止まった時、延命措置を希望するのか、希望しないのか?
等々について、家族や医療従事者と話し合い、希望を伝えおくことを「人生会議」と称しているようです。
この希望は、時と共に、あるいは病変によって変わっていくことも一向にかまわないと言います。今現在の本人の希望や気持ちを周りに伝えておくことが大切だと各講師は強調されました。
※ 札幌市立病院の全景です。
自分らしく最後まで生きるために、現在の自分の気持ちを周りに伝えておくことにより、自分も、そして周りの人たちも納得できる最期を迎えることができる、というのが「人生会議」の大きな特長であることを教えられました。