田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

リサイクルアート展2021

2021-10-24 19:28:43 | 作品展・展覧会等

 リサイクルの思想を啓蒙しようと、第7回「リサイクルアート展」が10月22日~24日の日程で札幌駅前通地下歩行空間「キタサンHIROBA」で開催されているが、本日その会場を覗いてきた。

   

 世の中、SDG ’sの大合唱である。SDG ’とは、 Sustainable Development Goalsの略称で、「持続可能な開発目標」と訳され17の世界的な目標が設定された。その17を見てみると、地球の持続性と世界中の誰もが幸せになることを願った目標である、と私には映る。その中にはもちろん12)作る責任、使う責任、14)海を豊かに、15)陸も豊かに、といったリサイクルに繋がる目標も入っている。

 たまたま私が所属する「めだかの学校」では、明日から「持続可能な環境を目指して…」と題してのDVDフォーラムの連続開催を予定している。そうしたことからもこのリサイクルアート展のことを知った時「是非とも見なくては!」と思い、本日会場に足を運んだ。

   

 会場には応募全作品312作品から一次審査を通過した23作品が展示されていた。

 さすがに一次審査を通過した作品である。どの作品も単に使用しなくなった素材を活かしているというだけでなく、芸術作品としての評価に耐えうる作品ばかりだと私の目には映った。ただ、私自身に芸術的素養がないため、審査員が優秀と認めた作品を中心に紹介することにする。

 まずは各年代のグランプリ獲得作品である。作品と共に、作者が語った《コンセプト》と《使用素材》も併せて紹介する。

◆小学生の部グランプリ「デイノティラヌス(恐ろしい暴君) 橘 漸(6年生)

   

 《コンセプト》近所の大きな廃棄物処理場の鉄くずを見て、ゴミで出来たゴジラならぬゴミラを作りたいと思いました。でもそれで作ることは出来ないので、身近にあるとうさんが毎日のむ缶ビールのゴミがいっぱいあるので、これを使って大きいゴミラを作りたいと思いました。出来上がってみたらとてもカッコイイので、オリジナルの名前デイノティラヌスにしました。

《使用素材》・アルミ缶◆中学生の部グランプリ「段ボールオブジェ

                (シロナガスクジラ、犬、フクロウ、魚2匹)

                                   木村 孔

   

《コンセプト》段ボール原紙の素材が好きで、それが生きるようなオブジェにしました。

《使用素材》・段ボール・新聞紙・チラシ・使用済みの半紙・木工用ボンド

◆高校生の部グランプリ「あっ!スズメさんが危険!蜜を避けて!チュンチュン

                       WE💛ART(香川県立高松西高校/10名)

       

《コンセプト》私たちは学校でたくさんの紙を使っています。それらが白紙の状態の時は茶色い包装紙で包まれています。そしてその茶色い包装紙はゴミ箱へ?この茶色い包装紙をARTに変えてみよう!そんな思いつきから制作が始まりました。

《使用素材》・紙(コピー用紙を包んでいた包装紙・新聞紙・和紙)

◆一般の部グランプリ「今日までの地図 明日への道」林 誉之(父)・麦穂(娘)

       

《コンセプト》これまで使ってきた古い道路地図を使用して、これからの明るい未来へ続く道を表現したいと思いました。感染症の蔓延、そして通信技術の革新によりいま、移動することの意味が大きく変わりつつあります。また、情報伝達手段としての紙は電子記録に置き換えられ、誰でも簡単に正解らしいものは見つけられるようになりました。しかし、実際に出かけて様々な土地や多様な人・文化を肌で感じ、迷ったり遠回りして得た経験は我々にとって大切なものです。同時に、人間の社会・文化活動は未だ環境負荷が大きく、その価値を守るために自覚を持って行動することが必要だと思います。地球上のあらゆる地域の人々が積み重ねてきた歴史が環境と調和し、環境型社会へのロードマップとなることを願います。

《使用素材》・古くなった地図・段ボール・垂木(1×4端材)

 以上が年代別にグランプリを獲得した作品であるが、芸術的センスのない私の目から見て印象的だった作品を何点か紹介することにする。

Neptune(ネプチューン) クラブザンビア(京都先端科学大学付属高校/6名)

   

《コンセプト》水は古代から地球や人間と共生してきたものであり、今では生命の源となっています。人は水を利用し、様々なものを生み出し、それを生活の一部にしてきました。その水の調節をコントロールするために生まれたのが蛇口です。ひねるだけで簡単に水が出る。そんな当たり前のことができない地域の人からすると、作品の蛇口から出ている少量の水もとても貴重なものです。

《使用素材》・ペットボトルのラベル・お菓子の空き箱・シュレッダー・針金・赤外線センサー・電球・加工木材・新聞紙

※ なお、この作品には次のようなコメントが添えられていました。

 リサイクルアート展全体の作品を審査したうえ、審査委員全員が高校生の部「クラブザンビア」のNeptuneはダイナミックで力量が高くリサイクルアートの象徴的な作品で一般の部の準グランプリに相当する作品と評価しました。

Re sheet(レ  シート) 村上 結輝

        

《コンセプト》リサイクルされにくい感熱紙が使われるresheet(レシート)という素材に注目し、感熱紙の熱によって色が変化する特徴を活かしたモノトーンのグラデーションを美しいsheet(合わせ紙)素材を開発しました。そのsheetを使ってseat(腰掛け)を制作しました。

《使用素材》・レシート・木材・糊

 

ITONAMI~北国の森では」 YOMO KAORI

   

《コンセプト》情報社会の進化は「第五世代」~society5.0を迎えた現代、大量のデータを即座に送受信し、人間の記憶量の千倍を凌駕するビックデータから情報を送り出すことも出来るように、いつしか万能感に浸っていたかのような私たち人類も、コロナ禍にあっては成すすべなく不安と閉塞感の日々を送る他ありません。2020年地球上を席巻した疫病。それは未だに人類を翻弄し続けています。未知のことに憂い、おろおろするばかりの人類に対し、地球上の生き物の姿勢はこれまでと何が変わっただろうか?…そう考えてみたことが制作のきっかけでした。動植物は、自然環境に徐々に順応しながら、古からの営みを今も続けています。誰に教わることもなく生きる為のスキルと、自らの命を次の世代に繋げ、シンプルに今を生きることに専念する姿があるだけです。北海道の山奥では空・水・樹木など、まだ残る環境の中で、今もこのような姿が見られるのだろうかと想像しながらの制作でした。

《使用素材》・バーベキューの使い捨ての金網・スタンプ式トイレのトイレ洗浄剤空き容器・トイレットペーパー芯・緩衝材・発泡スチロール・フラワーオアシス・再利用割りばし・針金・廃棄家電の配線コード・紐・空き缶・古い木枠・ベニヤ板・台所のスポンジ受け・古布切れ端・クリアファイル・竹製ランチョマットをバラしたもの・スキー用グローブ中綿・ボタン・縫い付け用木綿糸・古紙から作った手作り紙粘土・古紙・樹脂粘土・古着からほどいた毛糸・湿布の空き袋・プラスチックハンガー・結束バンド・強力両面テープ・接着剤・アクリル絵の具・水性カラーペン・古いリースの芯材

 まだまだ作品はたくさんあったが、この辺で紹介を終えることにしたい。出品者のコンセプトを伺うと、それぞれリサイクルに対する思いが伝わってきて、それが作品に反映されているところが興味深く思われる。

 今回紹介した中で作品の横には「コンセプト」と共に、紹介はできなかったがそれぞれの「アピールポイント」も掲出されていた。その中で次のようなアピールが私の心に残った。それは「出来た作品がゴミなってしまったらリサイクルにならないので、ずっと捨てずに飾り続けられるように気をつけて作りました」という小学生のコメントが目を惹いた。



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