本日、「秋の屯田防風林観察会」に参加した。参加者は指導者2名を含めて計5名と寂しい観察会だった。参加者数同様に観察会そのものもやや寂しい感じが否めなかった。そのような中、サブの指導者だった方の「ユキムシの一年」のお話は興味深い内容で本日の収穫だった。
※ 屯田防風林の野趣あふれる散歩道です。
札幌市北区に広がる屯田防風林は開拓の姿を残したまま地域住民の方々にとって野趣あふれるウォーキングコースとして人気がある。私も何度か訪れたことがあるが、今回その防風林で観察会があると聞いて参加してみることにした。観察会のテーマは「秋の屯田防風林で紅葉と木の実、野草、冬の使者 “ユキムシ” を観察しよう」というものだった。
観察会はまずメインの指導者(ガイド)だった方が用意した資料を用い、いろいろな木々の種子と実、また種子の散布についての説明を長々とされた。その説明の内容がまた私には生煮えに聞こえてきたのは私の思い過ごしか?その間およそ40分間、立ち続けたまま聞く私にはかなり辛い時間だった。
※ 説明を聞く参加者たちです。(後半ようやく腰を降ろしてお話を聴きました)
ようやく屯田防風林に入った。目に入った木について説明を受けた。①ヤマグワ、②ドクゴボウ、③ヤチダモ、④クルミ、⑤シンジュ、といった木の種の説明を受けた。木々の紅葉はほとんど見受けなかったのは育っている樹種の違いだろうか?
樹種や植物の名前を覚えるのが苦手な私にとって、こうした観察会を何度も受講することで、牛歩のように遅い歩みだが名前を覚えることができたら、と思っている。
※ ドクゴボウの葉です。
※ ヤマグワの葉です。
※ ヤマグワの実です。
※ 高く成長したミズナラの木です。
※ ミズナラの木肌です。
※ クルミの若木です。これくらいの若木では実はつけないそうです。
※ クルミの葉です。
※ この写真2枚はシンジュという木の葉です。
林の中で目立ったのが、木肌の荒々しいヤチダモだった。そこで出番となったのがサブの指導者である。道内では初雪が降る10日くらい前になるとユキムシが群舞する。(もっとも最近ではそうした光景を目にすることが少なくなってきたようだが…)実はユキムシが群舞するのは、アブラムシが成虫と化してトドマツからヤチダモの木に移動する現象だということなのだ。
※ このユキムシの写真はウェブ上から拝借しました。
※ ミズナラの木肌の近接写真です。この木肌の溝の中で越冬するそうです。
その後、指導者の方はユキムシの生態について詳しく説明された。ヤチダモに移ったユキムシは卵を産み(第六世代)、ヤチダモの樹皮の溝などで越冬する。そして春4月頃になると孵化し、ヤチダモの樹液を吸って成虫(第一世代)となるが、5月には新たな命(卵)が誕生し、成長すると羽の生えた成虫(第二世代)となる。そして初夏になるとトドマツの根元に移動するそうだ。その移動は数が少ないために気付かれないで移動が完了する。そしてユキムシはトドマツの根元の土中で根から樹液を吸いながら(第三世代、第四世代)土中で生活しながら世代交代をするそうだ。そして第五世代が土中から出て、羽の生えた成虫として雪が降る前にヤチダもの木に移動するという。つまりユキムシは年間6世代ほど交代しながら、生命を繋いでいるということだった。残念ながらユキムシそのものの観察はできなかったが、とても興味深くお話を伺うことができた。
あるいは私の聴き方に間違っているとこめがあるかもしれないが、指導者の方はユキムシのことをかなり詳しく研究されている方だと思えた。
私は観察会を終えた後、指導していただいた方に「大学で研究されている方ですか?」と問うた。すると「えゝ、生物物理学をやっていましたが、退職しました」と答えられた。偉ぶるところが少しもなく、私たちのような素人に分かり易く説明してくれる姿に氏の人間性の素晴らしさを見た思いだった。
ことほど左様に、人に何かを伝える、教授するということは難しいものだなぁ、と改めて教えられた本日の観察会だった。