北海道のSTVラジオが放送するバラエティ番組で「工藤じゅんきの十人十色」という長寿番組がある(らしい)。「らしい」ということは、私自身は聴いたことがないからだ。そのパーソナリティの工藤じゅんきのお話を聴いた。
一昨日(10月21日)午後、かでる2・7において「北海道民放クラブ」が主催する講演会が開催され参加した。「北海道民放クラブ」とは、北海道内の民間放送会社に所属した経験のあるOB、OGたちで作る懇親会だそうだ。その民放クラブの中の「社会活動部会」が定期的に講演会を開催し、クラブ員以外にも聴講を呼び掛けている講演会なのだ。けっこう興味深い話題、人選なので私も時折顔を出している。
今回はその一環として、まだ現役でマイクの前に立っている(現在72歳、STVを定年退職後も番組は担当している)工藤準基さんが招請し、「工藤じゅんきの人生いろいろ十人十色」と題する講演会が開催された。
私は前述したようにラジオはほとんど聴かないので、番組自体も聴いたことがない。しかし、工藤じゅんきさんについては、その親しみやすいお顔と共に私の記憶の中にはあった人だ。
お話はバラエティ番組のパーソナリティらしく、番組を通して出会った人、あるいは取材で知った人などのことをあれこれと紹介してくれたが、その中の一つのお話をレポしたい。
それは旭川市のカレーの名店「クレージースパイス」の店主だった斉藤達哉さんを巡る人間模様についてだった。
斉藤さんがつくるカレーは、徹底的に素材にこだわり、水分は玉ねぎを炒めることで抽出するそうだ。それと同時に斉藤さんは「男は生きざま」こそが全てという体育会系の生き方を標榜し、年中短パン、Tシャツで通していることなどから、旭川のみならずカレー通にとっては超有名店ということだ。
※ 「クレージースパイス」の店主:斉藤達哉さんの在りし日の姿です。
そうした斉藤さんの店と、日本ハムのヒルマン監督時代に通訳を務めていた岩本賢一さんが繋がりがあったそうだ。岩本さんは旭川北高校時代に野球部に所属していたが腰を痛めて野球の道を諦めたが、斉藤さんの店でアルバイトをしていたという。その際に斉藤さんの生きざまに影響され、一念発起してスポーツトレーナーの道を志しアメリカの大学に留学しトレーナーへの道を歩んでいたところ、ニューヨークメッツの通訳に雇用され、そこで当時ニューヨークメッツの選手だった新庄剛志選手の通訳を務めることになったという。
岩本さんは新庄選手より一足早く帰国し、日本ハム球団に採用されてヒルマン監督の通訳を務めるようになっていた。そこで、日本ハムが旭川で試合がある時には、自分がアルバイトをして心酔している斉藤さんが経営する「クレージースパイス」を日ハムの選手に紹介したところ、日ハムの選手たちには大好評で、当時日ハム選手だった大谷翔平選手も「クレージースパイス」のオムカレーにチーズと海老、マヨネーズとゆで卵をトッピングした「半熟オムのチーズカレー」が大好物だったそうだ。
※ 大谷翔平選手の大好物だっという「半熟オムのチーズカレー」です。
そして新庄選手の日本球界復帰であるが、その際に新庄選手が「日本球界に復帰するなら日本ハムしかないでしょ」と云った言葉が私には忘れられない。新庄選手が何故そう云ったのか?私にはよく理解できなかったが、その言葉の裏には岩本賢一通訳との強い絆があったのではないか、と工藤じゅんきさんは明言されなかったが、きっとそう言いたかったのだと思うし、私もそう思いたい。
※ 日本ハム監督時代のヒルマン氏の通訳を務める岩本賢一氏です。
なお、店主の斉藤達哉さんは昨年9月に59歳という若さでお亡くなりになってしまったそうだ…。きっと多くの人の涙を誘ったに違いない。
その他にも工藤じゅんきさんは番組を通して知り合った方々との思い出話を披露してくれたが、ここでは割愛したい。
「北海道民放クラブ」の講演会の人選は硬軟織り交ぜてなかなか興味深い。次回は元旭川動物園長の小菅正夫氏だという。氏の話もなかなか興味深い。楽しみに待ちたいと思う。