今回の北東北の縄文遺跡を巡る旅は8泊9日という比較的長い旅だった。そのほとんどは遺跡巡りに集中したのだが、途中で遺跡とは直接関係のないところにも何ヵ所か立ち寄った。それらのことも簡単に記録として残しておくことにしたい。
〈1〉八戸市「蕪島 & 鮫駅」
八戸市の郊外に「蕪島」という小さな島がある。(島といっても陸続きの出島である)
その蕪島がウミネコの大繁殖地として有名である。繁殖期の5月にはその数が4万羽に膨れ上がるそうだ。私が訪れたのは10月だったこともありウミネコはほとんど見られなかった。島は小高い丘になっていて、その頂には「蕪島神社」が屹立していた。
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※ 蕪島の小高い頂に建つ「蕪島神社」です。
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※ 蕪島の先端、向こうには八戸港の防波堤が見えます。
八戸市から蕪島へ行く一つの方法として、JR八戸線に乗り「鮫駅」で下車すると徒歩10分くらいで「蕪島」に着くことができる。
その「鮫島」は、実は「みちのく潮風トレイル」(青森県から福島県までを繋ぐ総延長1,025kmのロングトレイルです)の青森県側のスタート地点となっている。私は一時期無謀にも真剣にこのロングトレイル踏破をもくろみ、真剣に計画を練った時期があった。そうしたこともあり、なんていうこともない田舎の小さな駅に立ち寄ったのだった。
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※ 鮫駅です。駅前には鮫のモニュメントがありました。
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※ 蕪島のところにあった「みちのく潮風トレイル」の案内板です。
(訪問日 10月13日)
〈2〉三戸町「三戸城跡」
10月14日、一戸町の「御所野遺跡」を目ざしていた時、昼食のために三戸町の道の駅に立ち寄った。道の駅で町のパンレットを眺めていた時、江戸時代に三戸町に城が築かれていたことを知った。そして現在その城跡に天守閣が再建されたと知って俄然興味が湧き立ち寄ることにした。
町を見下ろすように小高い丘の上に立つ城跡の一帯は、どこでもそうであるように町の公園として整備されていた。そしてその一角に博物館を兼ねた天守閣が聳えていた。ところが三戸城に天守閣が築かれたという史実がなかったことから、文化庁からは建物が老朽化した際に再建は認められないと通達がでているそうだ。
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※ 立派な形をした天守閣なのですが…。
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※ 天守閣の最上階から三戸の街を見下ろせました。
〈3〉小坂町「康楽館」
10月15日、鹿角市の「大湯環状列石」の遺跡を見物した後、隣町が小坂町だということが判明した。私は25年ほど前に団体旅行で小坂町の明治時代の芝居小屋「康楽館(こうらくかん)」で芝居を観たことを思い出し、懐かしさから小坂町を訪れることにした。
小坂町は江戸末期から明治にかけて金・銀をはじめ銅・亜鉛などが採掘され大いに賑わった歴史ある町である。その関連施設である「康楽館」、「小坂鉱山事務所」、「小坂鉄道レールパーク」の共通入場券を買い求め、三つの施設を巡った。「康楽館」は私を25年前にタイムスリップさせてくれたが、他の二つは見なくても良かったかも?
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※ 「康楽館」に続く通りにはご覧のようにたくさんの幟が立っていました。
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※ 「康楽館」の正面の姿です。
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※ 「康楽館」の館内です。公演を見入る観客たちです。
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※ 「小坂鉱山事務所」の堂々たる建物です。
〈4〉北秋田市「大太鼓の館」
10月16日、北秋田市の「伊勢堂岱遺跡」を訪れる前に北秋田市の道の駅「たかのす」に立ち寄った。それは道の駅の構内に世界一の大太鼓を展示する「大太鼓の館」があることを知ったからだ。入館料の430円は少し高いのでは?と思われたが、世界一といわれると野次馬根性が騒ぎ出す。
館内に入ると化け物のように大きな太鼓が4台並んでいた。その中の直径3.71m、胴の長さ4.32m、重さ3トンの太鼓が1989年にギネスブックで世界一に認定されたそうだ。館内にはそれより大きな直径3.8m、長曽4.52m、重さ3.5トンの太鼓もあったが、こちらは残念ながら鼓面(ばちで打つ面)の一部が継ぎ足してあったために世界一とは認定されなかったそうだ。ということは牛の皮一枚から鼓面を作るのは限界のようである。
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※ 「大太鼓の館」の外観です。
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※ 左の太鼓がギネスに登録されたもので、右がそれより大きな太鼓なのですが…
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※ 館内には世界各地から収集された太鼓が陳列されていました。
このような大きな太鼓が出現したのは、地域の祭りに太鼓を山車として各町内が競い合う中で化け物のような巨大な太鼓が出現したようだ。
〈5〉八甲田山雪中行軍遭難資料館
東北最後の日となった10月18日は午後にフェリーに乗船する以外に予定はなかった。
そこで青森市内を観光しようと思ったが、2年前に青森に来た際に主だった観光施設は体験済みだった。そこで未体験の二つの施設を訪ねることにした。
最初に触手が動いたのが「八甲田山雪中行軍遭難資料館」だった。新田次郎の「八甲田山 死の彷徨」を読み、それを映画化したものを観ていたので、ぜひ訪れたいと思ったのだ。資料館は青森市の中心街からかなり離れた幸畑墓苑の一角にあった。資料館の外には犠牲となった兵士たちの墓が整然と並んでいたのが印象的だった。
館内には関係する遺品などが陳列されていたが、記録をもとに映像化されたフィルムを鑑賞して、遭難の凄惨さを改めて感ずることができた。
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※ 「八甲田山雪中行軍遭難資料館」の外観です。
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※ 敷地内には遭難した兵士の墓が整然と並んでいました。上官の墓は別のところに大きな石墓がありました。
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※ 館内に展示されていた遭難当時の兵士の服装です。
〈6〉青森市「棟方志功記念館」
八甲田山雪中行軍遭難資料館を後にして再び青森市内の中心部に戻り、青森が産んだ天才的な版画家だった「棟方志功記念館」を訪れた。棟方志功については、多くの書物などで彼の作品にはたくさん接していたし、札幌市の近代美術館で開催された特別展も観賞していたので、館内に展示された作品に特別の感慨は沸かなかった。館内が意外に狭く、説明では定期的に展示作品の交代をしているとのことだった。
それよりは約40分間もの棟方志功の生涯を追ったフィルムを鑑賞したことのほうが私の記憶には残った。
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※ 在りし日の棟方志功の姿です。
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※ 道立近代美術館でも拝見した(?)屛風絵が展示されていました。
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※ 棟方志功が版画制作に使用した道具が展示されていました。
以上、遺跡以外にも数々の印象的な施設を訪れることができ、実り多い北東北縄文遺跡巡りの旅だった。