北海道二期会の会員の皆さまが演ずる喜歌劇「こうもり」を観劇した。出演者たちは基礎がしっかりとできている上に、札幌交響楽団の演奏にのって素晴らしい舞台を魅せてくれた。しかし、悲しいかなオペラ鑑賞の素養に欠ける私には十分にその良さを堪能できたとは言い難かったのも事実である…。
昨日(11月24日)午後、札幌市教育文化会館において北海道二期会創立60周年記念公演と銘打ってJ.シュトラウス作曲の喜歌劇「こうもり」が上演されたが、知人からチケットを譲り受け、観劇することができた。(チケットはS席で11,000円だった)
教文会館の大ホールのキャパは1,200人とのことだが、高額の入場料にもかかわらずほぼ満席状態で期待の高さが伺えた。
オーケストラビットには札幌交響楽団が陣取り、しかも川瀬賢太郎さんがタクトを振るという豪華版で幕を開けた。
実は今回の「こうもり」は23日と24日との二日間公演だったのだが、キャストが総入れ替えとなる舞台だった。そして24日のこの日は知人の娘さんが「ロザリン」という主役を演ずることになっていた。私はこれまでにも彼女のステージを何度か体験していたが、その歌唱力には定評があった。今回の舞台でも第一幕から登場し、素晴らしいソプラノを何度も披露し十分にその重責を果たしているように思えた。
さて肝心の舞台であるが、舞台は全三幕からなっていた。(幕間はそれぞれ20分間の休憩が取られた)私はあらかじめストーリーのあらすじを頭に叩き込んで観劇に臨んだのだが…。喜歌劇とあって、騙し合いあり、ドタバタありの展開だったのだが、どうも私には登場人物の相関関係が描けず、さらには劇中で挿入される歌唱の内容が字幕で表示されるのだが、それすらも素直に頭に入ってこなかった。こうした状態での観劇は私の中にストレスを醸成するばかりだった。
そうした中、第三幕の開幕前に客席から何やら酔っぱらっているような役者が登場した。この役者が秀逸だった。役どころは刑務所の看守フロッシュなのだが、北海道弁を小気味良くまくしたて、狂言回し的役割で客席を沸かせた。調べてみると、なんと道内のテレビ・ラジオなどで活躍している小橋亜樹さんだと分かった。あの役柄はいかにも小橋さんだからこそ出せた味と思わせてくれた。また、劇中でも時折り出演者が北海道弁を操る場面があり、いかに喜歌劇といった側面を見せてくれた。
前述したように、出演された方々は全てが音楽を専門に学んだ方であり、現在道内を中心に活躍中の方ばかりである。その歌声は一級品の方ばかりである。また、ゲストとして桝谷博子バレエスタジオの方々、HBC少年少女合唱団も出演するという豪華版だった。
北海道二期会としても相当に力を入れた舞台だったのではと思われるが、肝心の観客である私自身がオペラ鑑賞の素養がないがために、その良さを十分には感得できなかったところがいかにも惜しかったオペラ喜歌劇「こうもり」の観劇だった…。