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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

モエレ沼公園を読み解く Vol.2

2024-05-18 16:55:01 | 大学公開講座
 モエレ沼公園の北端に立つ直径2メートルもの太さのステンレスの円柱を三角に組み上げたモニュメントが目立つ。この「テトラマウンド」もまたノグチにとっては記念碑的な作品であるという。その意味について解説を聴いた。

  
  ※ モエレ沼公園の北端に立つ「テトラマウンド」です。

 昨日、私が受講している札幌学院大のコミュニティカレッジの第2講が開講された。講座名は「モエレ沼公園の歩き方 イサム・ノグチの『レジャー空間の彫刻』を読み解く」、
そして第2講のテーマは「《テトラマウンド》という枯山水」と題しての講義だった。
 モエレ沼公園の「テトラマウンド」を見た時、三角に組み立てられた円柱も目立つが、その下部に大きく丸く盛り上がった土塁のように盛り上がった地形も目立つ。

       
  ※ 「テトラマウンド」に近づいてみると、彫刻の下に土塁のような盛り土があります。

 ノグチは1979年にアメリカ・デトロイトのハートプラザに “ドッジ噴水” と称するテトラマウンドを彷彿とさせる鉄柱から水をふんだんに噴出させる噴水を完成させている。また、1970年に開催された大阪万博においても水をふんだんに使った噴水の彫刻を完成させている。

     
 ※ 写真は悪いですが、デトロイトの「ハートプラザ」に造られた「ドッジ噴水」です。

 講師の児玉氏のお話から、ノグチは水が持っているエネルギーに着目したようだ。モニュメントから勢いよく飛び出す噴水の様子から自動車産業景気に沸く街デトロイトをイメージしたようである。また伸長著しい(1970年当時)日本を象徴すべく、会場に噴水公園を造成したようである。

    
    ※ こちらは大阪万博の際に公開された「噴水広場」の様子です。

    
    ※ 講師を務められた児玉哲明氏です。
   
 しかし、「モエレ沼公園」の「テトラマウンド」に噴水はない。その代わりのように丸い形の土塁が築かれている。
 ノグチはその後、アメリカ・インディアン築造の土塁に興味をもったという。 
 さらには京都・龍安寺の枯山水庭園にも興味を示し、龍安寺を訪れた際にたくさんの写真を熱心に撮ったとも云われている。
講師は言及されたかどうか記憶にはないのだが、私はこの話を聴いてノグチ氏の心の変化を感じた。つまり若い頃は水がほとばしる噴水に逞しい生命力のようなものを感じて盛んに噴水彫刻を創ったノグチ氏だが、彼自身が長ずるに及んで逞しい生命力にもいつかはそれが衰えることを感じて、土塁や水のない枯山水庭園に興味をもったのではないかと…。
その思いが、“ドッジ噴水” の様式を継承しながらも水は配せず、しかもテトラマウンドの下に土塁様のものを築いたのではないか、と考えたのだが…。
しかし、この思いは私の浅はかな感想でしかない。底にはもっともっと深い意味が込められているのだろうが、私のように考えるものがいてもいいだろう的な思いが発露してこうした感想を抱いてみた。
 講師の児玉氏が、今回の講義のテーマを「《テトラマウンド》という枯山水」と付けた理由の一端を私も考えてみた、ということである。
 さて、第3回となる最終講義は来る5月21日(金)である。テーマは「空から見る芸術としての《モエレ山》」である。どのようなお話が聴けるのだろうか?楽しみである。    


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