大音量が炸裂する管楽器の音は迫力十分だったし、馴染み深い曲が次から次へ演奏されて大いに楽しませてもらった。ところがそれにもまして、指揮者の水野厚さんの漫談調のMCが聴衆を笑いに包み、アットホームな雰囲気の中で進行したことも楽しく聴けた要因の一つだった。
昨夜(5月18日)、カナモトホールにおいてライフタイムウィンドオーケストラのファミリーコンサートがあり参加した。
ライフタイムウィンドオーケストラがどのようなオーケストラなのかは知らなかったが、参加が無料であったこと、オーケストラ名から硬い音楽を志向するオーケストラではないだろう、という思いから参加してみることにした。
ライフタイムウィンドオーケストラについて、プログラムにオーケストラの歩みが載っているのを見ると、どうやら手稲区を中心として結成されたオーケストラのようである。当日の出演メンバーはなんと70名に達せんとするばかりの大編成だった。(もっとも賛助出演陣が30名もいたようであるが…)
その大編成が繰り出す音は最初の曲のマーチ「ボギー大佐」から炸裂した。ホール内を圧するがごとくの大音量で響くマーチは圧巻だった。
※ 最近のコンサートでは珍しく「フラッシュを焚いての撮影はご遠慮ください」というアナウンスだった。ということはフラッシュを使わねば撮影可能と判断し、演奏中に一枚撮らせてもらったのがこの一枚です。
この日披露された曲は次のとおりである。
《第1部》
◇K.J.アルフォード/マーチ「ボギー大佐」
◇久石譲・木村弓/スピリテッド・アウェイ
◇久石譲/Summer(ピアノソロフューチャー) ピアノ 高橋瞳
◇樽屋雅徳/マードックからの最後の手紙(2021年版)
《第2部》
◇F.マーキュリー/Don’t stop me now
◇E.モリコーネ/モリコーネ・パラダイス(アルトサックスと吹奏楽のための) アルトソックス 独奏~難波陽介
◇B.グレイ/サンダーバード
◇K.バデルト/パイレーツ・オブ・カリビアン(サウンドトラック・ハイライト)
◇C.ボラン・I.ヘイズ/ボルサリーノ~黒いジャガーのテーマ
〈アンコール〉宮川泰/宇宙戦艦ヤマト
このラインナップを見た時、私の予想は間違っていなかったな、との思いを強くした。しかし、私のようにその時々の時代に敏感に反応せずに生きてきた者にとっては、馴染みの薄い曲が多かったのも事実である。それでもSummerとか、モリコーネ・パラダイス、サンダーバードなどはどこかで聴いた曲だなぁ、との思いで聴くことができ、心楽しいひと時だった。
それにも増して、指揮者の水野厚氏の曲の合間のMCが笑わせた。水野氏は中学校吹奏楽部の指導者を長く務められ、実績もある方のようだ。その彼がまるでお笑い芸人かのようにボケまくるのである。「ここは笑うところですよ」などと言いながら…。中には苦々しく思う人もいたかもしれないが、多くの聴衆の方々は水野氏のM Cも楽しんでいたようだ。私もその一人だったが…。乗りまくる水野氏はなんとアンコールの「宇宙戦艦ヤマト」では、マイクを握ってノリノリのワンマンショーまで披露した。
※ 遠くだったのでボケてはいますが曲間に水野氏が客席に向かって語りかけているところです。
きっと水野氏が指導するオーケストラの練習風景は笑いの渦の中で進行しているのではないだろうか?
ライフタイムウィンドオーケストラ…、また聴いてみたいと思わせてくれたオーケストラだった…。