小さな会場で、目の前でマンドリン奏者がとても繊細な音を紡ぎ出すのを聴いた。マンドリンの集団でのトレモロも良いが、あの小さな楽器を自由に操る奏者たちの高い技量を堪能することができた「マンドリンの宴」だった。
昨日(3月16日)午後、「Mandolin × Guitar Duo 森羅万象」が主催するコンサート「マンドリンの宴」が札幌市生涯学習センター「ちえりあ」の音楽研修室を会場に開催された。このところマンドリンの調べに癒されている私は迷いなく駆け付けた。主催者である「森羅万象」は札幌市内で活動を続けるアマチュアのマンドリンとギターの二人組である。彼らは北大のマンドリンサークル「チルコロ・マンドリニスティコ『アウロラ』」の出身である。「アウロラ」は昨年結成100周年を迎えた伝統あるサークルである。そこの出身である「森羅万象」を慕って集まった9団体延べ26名が出演するコンサートだった。
実は「森羅万象」のギタリスト倉田拓郎さんは昨年度の札幌市民芸術祭の「ギター音楽祭」の独奏部門のコンペティションの最終審査に残った一人で、難曲に挑戦された方だったことを記憶していた。ことほど左様に、この日のコンサートの出演者たちはマンドリンやギター演奏技術をより高度に実現しようとしている集団と私には映った。
以下、出演団体と演奏曲目を紹介すると…(グループ名の後は、演奏楽器名です。〔Mn〕マンドリン、〔Md〕マンドラ・テレーノ、〔Mc〕マンドロンチェロ、〔Gt〕ギター、〔Pf〕ピアノ、の意味です)
🔳 ノルディコ・クインテット 〔Mn〕二人、〔Md〕、〔Mc〕、〔Gt〕
◇ 祈り/U.Bottacchiari
◇ スペイン舞曲~果敢なき人生より/M.Falla
🔳 ノルディコ・デュオ 〔Mn〕、〔Gt〕
◇ ラティーナの誘惑/湯浅隆・吉田剛士
🔳 森羅万象 with # 〔Mn〕二人、〔Gt〕
◇ 機織る乙女による主題と変奏/桑原康雄
🔳 酒落 〔Mn〕、〔Gt〕
◇ In My Life/The Beatles
◇ 蘇州夜曲/服部良一
🔳 Duo KK 〔Gt〕二人
◇ 組曲「夏の庭」より Invitation(招待)、Farewell(さようなら)
Helping Hands(お手伝い)/S.Assad
🔳 United Tactical Guitar Ensemble 〔Gt〕六人
◇ 春よこい/松任谷由美
◇ The Road to Lisdoonvarna/アイルランド民謡
🔳 レパロマンドリン 〔Pf〕、〔Mn〕
◇ クープランの墓より「トッカータ」/M.Ravel
🔳 Volpetasso 〔Mn〕二人
◇ 野花のダイヤリーより「スノードロップの光」、
「ハルジオンの夢」/堀雅貴
🔳 森羅万象 〔Mn〕、〔Gt〕
◇ マンドリンとギターのためのソナタ
Ⅰ.Allegro impetuoso、 Ⅱ.Andante、Ⅲ.Scherzando、
Ⅳ.Vivo /藤井敬吾
これらのほとんどの曲はこれまでのマンドリンコンサートでは聴いたことのない曲だった。そして奏者たちのレベルもかなり高いものだった。特に、前半三つの団体にいずれも加わってマンドリンを演奏した橋本航大さんの繊細な演奏技術は素晴らしかった。あの小さくて、弦間の狭いマンドリンを一音一音弾きこなす繊細な技は “お見事!” の一語である。
もちろん、リーダシップをとった森羅万象のお二人の演奏も素晴らしかった。演奏時間が20分にも及ぶ「マンドリンとギターのためのソナタ」を弾ききった技量は並大抵のものではなかった。
事程左様に、出演された方たちのレベルが高いコンサートだった。彼らのコンサートをまたいつかどこかで是非聴いてみたいと思った。
コンサートも多いのかもしれませんが、やはりマンドリンがお好きなのでしょう。
繊細な音色ですから、小さい会場で聴くのは、またひとしおと思います。
いつぞやのように、屋外のコンサートではかわいそうですものね。
聴くだけでなく、マンドリン演奏をテーマにした小説、「休日に奏でるプレクトラム」もお勧めですよ。
https://mwbunko.com/product/321802001044.html
ご指摘のように、どうやら私はマンドリンの音色がことのほか好きなようですね。
特に今回のように指呼の距離で聴くマンドリンはホールコンサートより数倍魅力を感ずるものでした。もちろん奏者の素晴らしさもあったのですが…。
「休日に奏でるプレクトラム」の紹介ありがとうございます。機会が合ったらぜひ一度読んでみたいと思います。