津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■下馬すべきや否や

2018-05-05 14:04:34 | 史料

 熊本藩にける処刑は現在の下河原公園あたりで行われた。
この文書はその刑場に出役する者が、途中で御一門の方に出会った際、下馬すべきかどうかを尋ねたことに対する返答である。
処刑が行われるときは、奉行をはじめ家老・中老なども慎しんだと伝えられる。藩主・御一門とて同様であったと思われるが、この様な伺を立てているところを見ると、同様の事例があったのであろう。

                      本行検使之節御刑法場江
                      参掛御一門衆以下江於途中
                      行違候節往古ゟ之仕来ニ而  
                      不致下馬罷通来候処先年
                      不安意之由ニ而伺ニ相成候処士席
                      以上江者下馬いたし候様御達ニ
                      相成候 然処前々ゟ仕来且御昇
                      頭者御一門衆以下江不致下馬
                      仲間迄右之通ニ而者甚不落着ニ
                      有之候間尚相伺候処以来仕来
                      之事ニ付以前之通相心得候様
                      天保十年十一月三日御達ニ相成
                      候事

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■井田衍義・歛法式令ー八・九 (8-4)

2018-05-05 06:15:00 | 史料

一田方の徳の懸様にハ、石ニ何割増又ハ何割五歩増と掛、
 五歩より砕ヶたるハなきかと見へたり、成ほと見込之事
 なれハ三歩七歩と細かなるより自分量の譯尤に見えた
 り、然レとも高反所の畝數多き所ハ、五歩のかけ引にて
 米高の違ひ多き故、其懸引六ヶ敷免方の役々の氣扱も察
 られたり、所詮ヶ様の所ハ五歩辛キに究る成へし、然レ
 ハ是を了簡米ニて大概ハ可撫、其懸引にハなくて叶ハぬ
 了簡なれとも、詮議薄く又安儀も多けれハ、此上ニも詮
 儀して彌益薄く損米も増道理あらハ、了簡米之事を止メ、
 右之様なる仕苦敷所ハ徳懸に五歩迦レの究もありて可然
 歟、其故ハ今下り米に了簡米の段取をし、割かねを究る
 も、先は空の見込物と見へたり、然るを前に顕す通り今
 迄下見之儘徳懸仕來りしを、先墨かねと下削りを入、荒
 幅の目安を作り、其上にて上大工長短の柱を揃へ清鐁を
 當、礎を究る日にハ棟梁見計又飛退ひて曲りひつミの下
 ヶ墨を見る役人も尤あるへし、如此精々を盡す事故、五
 歩迦の割も水盛して究る事、手數役人其外も今迄に差て
 代る事有まし、然ハ跡にて徒目(ダメ)さすに不及徳懸一通ニて
 可濟なり、若又いや共免切なくて不叶譯有ハ、前々有來
 りたる形の免切可然歟
一下り米ニ付て了簡米を止目徳懸に壹割のゆるみ有時ハ何
 之故有て例をせんや、然は例の法アルニも及ぬ程の事な
 れとも、正道の法を顕ハして廉直を誘ふなるへし、徳懸
 も一件は精/\を盡し決定の上、壹割の甘キを引事則了
 簡米にして下米つ付るよりハ順なるへし、殊に上中下の
 段取配數の割かね高下有ると違ひ、等しき撫育の法なれ
 ハ諸人優劣の喜怒なくして平均の道なるへし、然レ共村
 里平等ならされハ、此行ひ迄にてハ零落所難立下反別所
 の舛詰にて損引差劣たる類、償の仕法あるへし、此覺悟
 ハ徳懸の甘キを壹割五歩引ニ〆、壹割は下ニゆるし、五
 歩通之米を毎も引除郡司ニ附属有たし、此米ニ繕類末ニ
 もあり、又下り米に付る了簡米と徳懸けに引壹割五歩之甘
 を差引して、多く違ふ間敷かよく候、甘キ分之米少々増
 とも貯被置事なれハ、堅固なる備へなるへし、惣躰之徳
 米と下り米を束見れハ目前にしかるへきなれとも、其大數
 を積り見るに
一徳籾五千五百七拾九石貮斗貮升
   此徳籾壹割五歩甘キ
  米貮百七拾八石九斗六升壹合
 一米貮拾五石四斗三升五合七勺貮才 右ニ懸候三口増水
                  夫米共ニ
 米ニ口合三百四石四斗三升五合七勺貮才
 一下り米九百八拾九石九斗六升
  了簡米貮百四拾七石四斗九升 貮割五歩
 一米貮拾貮石六斗七勺八才 右ニ懸三ノ口増水夫米共
 米ニ口合貮百七拾石九升七勺八才
差引三拾四石三斗四升四合九勺四才 壹割五歩之甘米、貮
                 割五歩之了簡米より
                 差引、甘米増分
    丙
 百壹石四斗七升八合五勺七才  壹割五歩之内、郡司へ
                可被任置五歩之甘分
差引六拾七石壹斗三升三合六勺三才 今之了簡米減る積

一近年は零落付て、難立所は米銀の出方有て取救ニも成由、
 世に難有惠ミにて其潤ありといへとも、未可届事とも不
 見、とやかく押移る内にハ累敷事も可出來歟、仕誤もあ
 るへきか、第一其零落に成る痛出しに品數ありて、外邪
 ハ平愈も可有なり、地面不宜して腰なへになる病にハ、
 一應の付育薬いゆるとも再發せんか、此類之煩ひ損引す
 る所にも有事なれとも、多くハ片穂所か一毛作歟、下反
 別所の損引不成所なとに間々あるへき病ひなり、土免に
 通る所の能して計り不通譯ハ、前に顕す通りなれハ、土
 免といふ所一旦ハ上の幸なれとも、實の幸まてにもある
 まし、されとも是を小撰して斟酌もならされハ、惣躰の御
 惠身に通り方の物成より五歩通御引除、郡司にまかせお
 かれたくなり
一土免の五歩通り、損方の五歩通り、郡司へ可被任置候、
 衰民補助の為なれハ一切の取計委任せらるゝにあらされ
 ハ、其行ひ滞るへし、尤地面之譯ニ寄、反別下ヶ又ハ被
 損砂荒等之類ハ、上よりの可為修補歟、其外自然と零落
 するか、損引茂難成してやまひとも可成所ハ、其禍筋骨
 に不入内速に可治儀を潔白ニ任被置度なり、其上ハ各類
 之事ニて零落ニ成とも取揚之不被及沙汰、又譯なくして
 在中荒廃せハ其職之可為油断事を示し被置は、常に其構
 ありて能當る所に配賦して貯又切なるへし、然る時は頭
 通にも腰痛にも的當して、下にやまひ少く上に不慮の出
 方なくして、別庫の重寶國家の礎なるへし、延寶・貞享
 の比今の土免究る時、成たけせり上被成、大方一ツ成程
 御餘計ニも成るかして、此分は上へ御貯被置、下に缺る
 事ある時取救ニも可成筈之御極ともニてハなかりしや、
 其儀も今に其通備へあるやハ計り知られす、今郡村の安
 危被任置日ニ至てハ、返す/\も潔白にあらすハ不届迄
 ニもあらす、害も又可生、厳密之仕法尤ありたく候
一旱損又ハ地高ニ成り不得止事田成畑に成候分は、定徳之
 極可然、今の法にてハ、田成畑の下り米ニも了簡米加る
 事なれハ、是等をも考合、又ハ村の田反別・畑反別等之
 斟酌ありて、程能定徳の究免にならハ田成畑に被引、損
 引に出る類ハ可減なり、又田を畑に作り百姓之迷惑ある
 事はつと/\演るに不及、能積て定徳の極ありたく候

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