五七
安永四年未六月達
一此以後御役所へ差出候色付帳之儀、田方ハ色品を書出、
畑方ハ畝高物成迄を立、色品付不申、御達申上候ニて可
有御座と奉存候事
一山付在畑損引仕來候所ハ、小前色付ハ畑方之色品を書出
申筈ニ御座候、併是以御役所へ出し申候一紙色付ハ、畑
之色品書出申ニは及間敷と奉存候事
御郡御吟味役中
五八
一御徳掛之節、例之儀今度新法に被仰付候趣、第一下方風
俗を御糺被成、廉直ニ相成候様との儀、乍恐御尤に奉存
候、右例之節御内檢見込之坪ニて一例仕、其近邊にて下
方望之坪八畝九畝壹反以上之坪ニて、上中下三段ニ取
分、一ヶ所ニて三歩宛打詰ニいたし、一坪之内ニて九歩
例双方撫合、割を取候様被仰付度被思召上候ニ付、私共
存寄申上候様被仰付、奉得其意候、右例之儀下方望之坪
ニて上中下三段取分例候儀、御百姓快く奉存候ハヽ、村
ニより例願出可申と奉存候、左様御座候ハヽ却て私曲を
生シ、別て御徳懸之隙取ニ相成、向々之村々及延引立損
仕、御為も抜、下方為ニも相成申間敷候間、此儀ハ御止
メ方被仰付候て乍恐宜奉存候、下方之儀は畝之延縮ニ應
し石詰ニ見立候ニ付、延畝と申候ても各別之割合起キ申
稜も無御座候、御損引仕候得は積下了簡米も被下候、前
廉ハ三割餘ニて御座候處、中興ハ二割五分ニ被減、當時
ニては名目迄ニ相成居申、諸懸物等も御座候ニ付、右二
割五分之御了簡米ニて候得は、零落御百姓之甘キニも相
成り、自然と氣筋も直り可申候、右之通之御了簡米被下
候節ハ、下方も存知居申候に付、御徳懸之節も難澁不
仕、御年貢拂方之儀儉見先ニて上納仕候ヘハ、作毛之悪
敷二應し甲乙無御座、百姓病ニも相成不申候、右之趣申
談書附差上申候、以上
寅八月七日 上内檢共
地内檢共
右之通申談候面々、名付出候様ニとの儀ニ付、左之通
近藤孫兵衛 佐村吉右衛門 中西九左衛門
藤木忠右衛門 志賀儀右衛門 尾崎 杢助
岩田 平助 地 門岡 立蔵 中嶋 用助
(ママ)
右平助より杢助より牧左一右衛門を以清田新助殿へ相達
候、寅八月十七日晩清田殿宅へ被召寄仰聞候ハ
此間申入候例之儀に付、各存寄之趣書附被相達、委致承
知候、何レも巧者之儀ニ付新法ハ相止候て、前々之通了
簡米等被下候様ニとの儀、尤之存寄ニて候、併此儀御損
益之間之儀ニてハ無之候、上より段々被仰出候御心行之
筋を以考出し、今度之御仕法御中老より被思召付候、尤
御内檢之内ニも御免ハ下り不申候様ニ、仕法ハ右之通新
法ニ仕候様との儀、不案内申分之様ニ間違も可有之哉、
右之通被仰付候ハヽ、たとへハ平生五百石下りハ毛上七
百石之下りにも相成可申哉、其儀は御覺悟之前之儀ニ有
之ハ、各存寄之趣物立不申御とゝき被成と申廉ニても無
之候、此儀御中老幷手前一躰申談、いつれより此仕法立
申たると申儀も無之候、各専ラ此仕法之基を立申たると
申心ニなり、此仕法之筋立候處を第一可被相心得候、御
中老より直ニ被仰聞候由ニ候得共、先手前より申入候、
各大切御役方之儀ニ付、以後とも御中老より御面談之御
用も有之、御逢被成ニて可有御座由、且又今度可被及御
沙汰との御書附下書御見せ被成、何レも奉得其意候、孫
兵衛申上候ハ、右例之儀ハ御徳を懸候て受不申節之儀ニ
候哉と申上候、成程其通ニてハ試例し等いたし候節ハ、
此方より見込之坪一坪ニて濟可申哉如何と被仰聞候、平
助申上候ハ、試例之儀ハ御郡代衆より相應ニ御了簡も有
之事御座候間、下方望ニハ及申間敷と申上候、其通及御
沙汰可被置と被仰聞候、且又、例坪望之儀、御惣庄屋え
も一坪望せ候儀可然哉、御中老被思召付候由、此儀如何
可有之哉と被仰聞候、平助申上候ハ、御惣庄屋へ坪を望
せ候迚も、下方及相談申ニて可有御座と申上候、孫兵衛
申上候ハ、下見帳之番をさゝせ候て御惣庄屋へ望せ候儀
如何可有御座哉と申上候ヘハ、毛上を見不申坪を望候儀
納得いたし申間敷哉と被仰聞候、杢助申上候ハ、段々例
しの手數も増申候ニ付、御惣庄屋望之坪ハ被指止候様有
御座度と申上候、然は其通と被仰聞候、又々杢助申上候
ハ、下見帳之儀延引不仕候様御沙汰有御座度奉存候、尤
下方より望之坪も、其筋ニより此方より嫌申ニて可有御
座と申上候、其儀御書附ニ有之候通、随分支不申事ニて、
下見之儀延引不致様稠敷可被有御沙汰由被仰聞候、九左
衛門も、下方望之坪、拵事多一同わり合起申間敷由段々
申上候、用助申上候ハ、下方望之坪之儀、方角ハ此方よ
りさし申度奉存候、一坪之内上中下取分差圖仕度と申
上候、左様瑣細之儀ハ被任置候御役方之儀ニ有之候間、
其時々ニ随ひ随分指圖可致候、皆無程之所も下段抔と申
候迚、受可申様無之候由被仰聞候、何レも申上候ハ、下
方望之坪之儀此方より例し坪之近邊可然奉存候、程ニ寄
方角をさし申儀も可有御座と申上候、其通之儀も及沙汰
可被置と被仰聞候、杢助申上候ハ、上より御仁政を被為
施候得共、中邊御内檢役之手からにて取拵候様下方唱な
し申候ニ付、右之通瑣細之儀も申上置候と申候、左様之
儀も職分を存不申御郡代衆歟、下方ハ勿論之事ニ候、ヶ
様之儀委細御聞通御存知之儀ニ候間、少も構不申様被仰
聞候事