一高と申事ハ上毛壹坪計りて見、譬ハ一升五合有り、反籾
四石五斗、二ツ割貮石貮斗五升となる也、是則上ノ位之
高と極申也、又坪例之時一升三合六勺六才有之、反三石
六斗有之、二ツ割壹石八斗有之、是則中の位の高なり、
如此上・中・下一坪例仕高極申候事也、則海・塘・山を
崩田畑を拵申時、高すへ申候時ハ、其年作り物右之通仕
置、又翌年作り物右之通仕、三ヶ年之間ハ無高貮て作り
申候事、尤年貢之儀は新開ゆへ相應ニ三ヶ年之間極歟申
付候事、三年目ニ石積を一ツ寄、三年撫し壹ツを高極申
事なり、譬ハ
上壹反 分米貮石貮斗五升
中壹反 分米貮石五斗
下壹反 分米壹石八斗五升
田畝合三反
分米六石壹斗五升 撫高反貮石五升
一村ニより明高有之候を、他村居村之者へ出作ニ入申候所
ニ、相互ニて仕候ヘハ相應仕候得共、最早出作仕候者も
無之候ニ付、奉願、譬ハ明高一反土反七斗にて有之候
を、三斗作り加申候由ニ付、明高ニ仕置候よりハ、少ニ
ても御年貢仕候ハヽ上の御為ニも相成申候ニ付、右之通
奉願候、依之御内檢衆より前揃同前ニ仕、仕出被申候、
夫ニ付右之村々より明高畝附帳取、右之畝付之位付を取
高物成置合、名寄帳ニ引合上中下之位々ニ懸合有之候
様、算を入吟味仕候事、前揃仕立差上可申候事
名寄帳之寫
高三石六斗
一上壹反六畝 高反壹石八斗 上之通畝付差出申候、上
中下之位を引合、算上中
高壹石三斗五升 下ニ高反をかけ申候、無
一中貮反九畝 高反壹石五斗 相違時ハ積を仕立可申事
高三石四斗八升
一下貮反九畝 高反壹石貮斗
高七石八斗四升四合
合五反七畝廿壹歩
一無高と申候ハヽ、御給知方へ相渡申候、分ヶ撫高貮て相
渡申候、則反別帳ニ撫高御座候、撫高之仕法左之通
撫高百石
一高百石 上の子年物成四拾石、右之通
土物成四拾石 子 五ヶ年之間年々物成合貮百
同 三拾八石 丑 石、是を後年に撫申候時一ヶ
同 四拾貮石 寅 年四拾石と成申候、四ツ成ニ
同 四拾壹石 卯 て割申候時、撫高百石と成申
同 三拾九石 辰 候、此心持ニて五百石ニても
合貮百石 三百石貮ても、其年之物成次
第ニ仕故、増減御座候、現高
より上り候も下り候も御座候
事
撫高を夫々に割付度時ハ、惣高貮て撫高を割、わりかね
取出し、夫々にかけ申候時、撫高何ほとニても夫々ニ出
申候を、合せて見れハ惣高ニ合申候事
一御徳懸前に下見帳出候ハヽ、名寄帳ニ引合坪々吟味可致
候、左様不仕候てハ畝隠抔仕、損引仕候様いたし候、其
上ニも先徳ハ立札仕せ、中田・晩田立札是又仕せ、尤名
寄帳之畝ニ引合可申候、又名寄帳ニ作り物を付札ニ仕置
候を、此方より印形用置可申候事、左様ニ仕候得ハ作替
不仕候、委吟味可仕候事
一晩田ノ内ニも水かゝり悪敷所柄、或ハ左様ニも無之候得
共畑作り仕、晩田作り之由下見帳は仕出申候、畢竟、晩
田ニ付極々下段ニ見下ヶ申候ニ付晩田作り仕、夫故下見
帳ニて極々下段ニ見下ヶ申候、左様なる所を心を付吟味
可仕候事、尤作替ニても晩田と仕申候儀は支不申候、畢
竟下反之由ニ付吟味仕候事ニ御座候
一御徳懸相濟候上ニて、村々とり徳受目録仕出申候を、下
見帳懸出しニ引合可申候事、尤徳受目録扣帳に割印仕、
御代官衆へ相渡申筈之事
一中田御徳懸相濟候上ニ手高分色附村々より仕出申候、尤
分御損引之節右之通御座候、此方しらへ方、先反別帳幷
六月仕出申候色附ニ引合せ、高物成田畑畝引可合可申候、
左候て御土免を引落ニして損引方をすくめ可申事、且又 すくめ=竦め
畝高物成を得斗すくめ、右之通畑方ハ損引難成物ゆへ右
之通可仕候、尤清算随分吟味可仕候、作物之儀も畝を合
下見帳ニも引合可申候、左候て早田・中田抜下見帳出し
申候ニ付、是又本下見帳ニ引合畝相違不仕様有之候ハ
ヽ、抜下見ニ右之割を寫シ、徳米取出し可申候事、尤大
豆・早田・中田右之通仕、左候て積帳地居へ可申候事
一積帳出來仕、晩田畑作迄徳懸揃申候ニ付、地居へ置、追
て徳懸仕申候、晩田畑作等付込積立下り仕、免切等仕申
筈之事
一晩田御徳懸前大積仕、末秋迄出申候、申年より出不申、
前廉ハ大積仕、上見仕出ニて大概之積御役所へ出申候、
其後止申候、仕法之儀ハ晩田大概半反程ニ仕可申旨、尤
其年々毛上相應に仕事ニて、畑作り何れも土ニ仕候得
て、田米畑米合積立下り仕届切程分を取申候事