津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■「度支彙凾 文政元より五迄 法令條諭・十九」(12)

2019-01-29 19:42:16 | 史料

 九一三(2)
一東海道富士川渡船留候節、是迄歩行越明候てハ馬越留候      東海道を渡る道 富士川舟運の歴史をたどる[PDF:941KB] - 国土交通省
 節筈乗馬之分も越立不致處、乗馬之分は歩行越明候
 ハヽ見計ひ、一艘ニ一疋乗ニて越立候筈ニ候事
一先觸いたし候處、人馬差支候旨を申、又は問屋宿役不居
 合旨申之、或は酒手等ねたり、惣て旅人へ對し不法之筋
 候て難打捨候ハヽ、御代官所は右役人、私領ニ候ハヽ其
 所之役人へ申届候共、名前等相糺道中奉行へ申聞候共可
 非致候事
 右之通寛政元年相觸候處、近年又々猥ニ相成、殊ニ於貫
 目改所諸荷物為改候儀難成なとゝ不法之儀申聞、幷江戸 
 雇人馬を以、品川或は板橋を継越、右宿々ニては継立候
 姿ニ帳面ニ為記候向も有之由相聞不埒之事ニ候、以來宿
 次荷物之分は何人持又は本馬輕尻附之、其荷主へ木札を
 付差出可申候、尤役人改之節不可致違背候、且諸家旅行
 之節御定人馬之儀ハ銘々心得之事ニて、先年増人馬之儀
 幷朝夕継之儀道中奉行え可申達、其節限り承届、追々減
 少之儀申達置候處、今以減少無之向も有之由相聞際限も
 無之事ニ候、御定外人馬入用之分は相對之賃錢を以相雇
 歟申筋候間、此旨相心得、彌寛政之度非仰出候趣急度可
 非相守候、是迄作法宜旅行致候ものも有之由相聞尤之事
 ニ候、猶此上無遺失様相心得可被申もの也

一都て道中往來いたし候者、宿々ニ對しかさつ成儀不致、
 荷物貫目も彌改所ニおゐて相改候間、御定之通相守可申
 候
一百姓町人賣荷之分、宮門跡方・堂上方其外重キ家柄之會
 符、手寄を以借受致往來族も有之趣相聞候、以來宿々役
                    [ニ缺ヵ]
 人差出相改、若紛敷會符荷物は留置、奉行所おゐて嚴敷
     [候缺ヵ]
 可被令吟味條、紛敷會符決て相用申間敷候
一往來之旅人より宿役人は勿論馬士・人足幷旅籠屋等へ對
 し、不法之儀於有之は、奉行所へ訴出候筈候間、兼て其
 旨可存候
一河々渡越之儀、川會所へ相懸り河越人足相雇、順々ニ越
 立可申筈之處、近來は川越共遠方迄出迎旅人を欺キ、過
 分之賃錢酒手等ねたり取、旅人も河會所へ懸り候ては、
 出水之時節又は夜越等危故人足不指出砌、川越共ニ相對
 を以渡越シいたし候趣相聞候、依之以來は往來旅人川會
 所へ相懸、人足相雇川越可致候、尤極賃錢之外酒手等ね
 たり候歟、又は以後旅人と直相對致候ハヽ御仕置非仰付
 段嚴敷申渡候間、相雇候人足酒手等ねたり候共聊も不差
 遣、川役人共之内ニ其旨相達往來歟致候
一宿々馬士人足等、旅人へ對定賃錢之外酒手等ねたり、旅
 人難儀致候由相聞候、已來右躰もの嚴敷御仕置非仰付候
 間、其者名前次宿之役人共へ申達候共、又は御料は御代
 官役所、私領は領主・地頭役人へ申出候共、道中奉行へ
 訴出候共可致候
一東海道筋宿々之内、祝儀取と唱、江戸・京・大坂其外よ
 り持出し候通日雇人足より酒手等ねたり取候由、通し日
 雇人足共より、若途中ニて病気等之節ハ、右祝儀取共世
 話いたし候故、常々酒手等遣置候儀も有之趣ニ相聞、不
 筋之事ニ付、通し人足稼之者共、若道中ニて病気等之節
 ハ問屋役人へ申聞候得は、差支之儀無之條、以來祝儀取
 抔と唱候所行不致様、急度申付候間、酒手等遣候儀致間
 敷候
一右通し日雇人足共儀、宿々ニて品々不法不束之儀も有之
 趣相聞不届候、以來右躰之儀有之ニおゐてハ、當人ハ勿
 論受負候者迄可為曲事候條、急度可相慎候
 右之通寛政元年相觸候處、近來又々猥ニ相成、殊ニ往來
 之旅人宿駅間之村々或は神社仏閣参詣等ニ事寄、門前地
 茶屋等へ止宿いたし候者共も有之趣相聞候、宿駅之外ハ
 一切止宿致間敷候、此旨相心得、彌寛政之度相觸候趣急
 度歟相守者也
 右之趣在町共御料は御代官・私領は領主・地頭より不洩
 様可被相觸候
   十月

 道中心得之儀付て、水野出羽守様被成る御渡候御書付寫、     水野出羽守→老中・水野忠成
 代御目附衆より日指廻候、右御書付之趣歟相觸旨、従江
 戸非仰下候付、則寫之別紙貮通相添候條、奉得其意、觸
 支配方へも可被相觸候
   文政五年午閏正月廿三日    奉行所

 九一四
一旅行之節若泊付無之、先觸非差出候向有之候ては、於宿
 駅人馬觸當は勿論、旅宿手當等も指懸取計甚及混雑候趣
 ニ付、泊付無之先觸は差出無之様可被致事
一旅宿駅相對を以人馬不被相雇、為継送候荷物ニても貫目
 改所ニおゐてハ一同相改候事
一都て宿継荷物之儀、貫目ニ應人馬賃錢受取候間、二人前
 或は三人前ニも向ひ候程之人足相撰、為持送候節は、賃
 錢拂立之人數より相減し、又は弱人足ニ候得は人數相増
 候儀も可有之、賃錢は貫目次第之儀にて人數之多少ニ不
 拘筋ニ付、為心得申達置候事

 九一五
美濃路旅行之儀在所へ順路之面々は各別、是迄勝手ニ付      
 旅行致し來候面々届等無之向も、以来は其時々相伺可申
 旨、御家中は一日ニ人足七八人・馬三四疋位迄之儀と相
 心得候様、道中御奉行衆より御達有之候付、以來美濃路
 旅行之面々は、伺濟之上ならてハ通行不相成候、尤美濃      東海道宮宿と、中山道垂井宿とを結んだ脇往還(脇街道)
 路と號候ハ、東海道熱田より中山道垂井迄之事之由候間、
 木曽路旅行之面々は是迄之通相替儀無之候、此段觸支配      木曽路中山道(狭義:木曽街道
 方へも可及達旨、御用番被申聞候條、左様被相心得、御
 支配方えも可被相達候、以上
   文政五年午四月十九日    御奉行中

 

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■「度支彙凾 文政元より五迄 法令條諭・十九」(11)

2019-01-29 06:08:38 | 史料

 九一三(1) (九一三につきましては一項が非常に長いので二度にわたり掲載します)
一御用ニて道中往來之面々、御朱印人馬之外添人馬多く相
 立候由相聞候、前々も申達候通無用之人馬出せ候儀堅可
 為停止候、御朱印員數之外ニ可入人の馬分は御定之賃錢
 無相違急度相拂せ可申候事
一御用付て往來之面々、或は在番或は諸大名惣て道中往來
 之輩、人馬割之役人有之事候間、御朱印人馬・賃人馬可
 入程相立させ、賃人馬之分は賃錢無相違拂候様、人馬割
 役之者問屋場へ相殘委細遂吟味候様可被申付候、先觸外
 之人馬為差出候ハヽ、去ル辰年も相觸候通、無忘却印鑑
 を以為差出、賃錢急度相拂候様、家來幷雇之者え可被申
 付候、宿々之者えも右之通可心得旨申渡候事
一往來之面々は家來幷末々雇之人足共、近年は主人之権威
 を以道中ニて非分之仕形等有之、或は猥ニ手代り之人足
 を取、或は自分ニ可持道具を茂人足ニ持せ、其者ハ馬・
 駕籠ニ乗賃錢をも不拂、又は宿々之者ニ對し非分之儀共
 申掛、若宿々之者申旨有之候得ハあたをなし候由相聞不
 届之至候、向後ハ江戸・京・大坂ニて雇人足受負之もの
 ニ申渡、人足受負候度ニ人足共急度申付、右之通之不届
 不仕、若無據子細有之手代り之人足取之、又は馬・駕籠
 ニ乗候節は御定賃錢無相違拂之、旅籠錢等之儀も是ニ同
 しく少も非分之儀仕せ間敷候、自分以後不法之族も有之
 は道中宿々ニて改之、家來幷雇之ものたり共主人之姓名
 其者之姓名承糺、或は其役人重立候者へ申断候上、早速
 道中奉行へ相訴候様申渡候間、僉議之上當時とは不及申
 受負人迄急度可相咎候條、其旨を可被存事
一往來之面々家來幷雇之者至迄、駄賃・旅籠錢等無相違様
 ニ拂候様、急度可被申付候、旅籠錢不相應嚴候て相渡、
 或は無相違受取候由證文仕せ合拂さる輩も有之由相聞
 候、向後右之通之儀共有之候ハヽ、是又早速道中奉行へ
 可申訴由宿々え申渡候間可有其心得事
一諸荷物貫目之儀、御定之通無相違様可被申付候、尤荷物
 貫目於改所若御定より重キ荷物於有之は、貫目ニ應し賃
 錢相増候歟、又は荷物作替候共、改所之御定を守可申、
 若及異議候ハヽ訴出候筈候、改所外宿えも申渡置候間其
 心得可有之、且又在番之面々京・大坂・駿府三度飛脚荷
 物、近年は貫目重クかさ高なる荷物有之、夜通も往来之由
 相聞候、飛脚受負之者、其外商人之荷物ましへさる様堅
 く被申付、在番之面々自分之荷物御定之通を以、猥ニ貫
 目重キ荷物差出間敷候、古來より夜通シ飛脚之猥ニ相通
 らさること候間、向後無據子細にて夜通し之飛脚候ハヽ
 番頭へ其旨を達し、番頭之證文を以可差出候、飛脚受負
 之者にも此等之趣急度可被申付候、道中ニても其心得を
 以改之、若貫目重キ荷物有之歟、又は證文無之夜通し相
 通候ハヽ早速道中奉行へ可訴之、詮議之上飛脚宰領之者
 [申缺ヵ]
 ハ不及、右受負人迄可為曲事旨申渡候間、可有其心得事
一江戸・京・大坂其外國々より町人受負ニて令往來候御用
 之諸荷物、近年貫目も重ク荷物も多く、道中人馬大分相
 立、其上御用之儀を申立人馬賃錢不足ニ相拂、其外不埒
 之仕形共有之由相聞候、向後御定之外貫目重く不仕、其
 荷數貫目に随イ相立候人馬之賃錢無相違拂之、少も非分
 之儀仕間敷旨、其御用奉之面々より年を入非申付、向後
 右類之儀無之様可被申渡候、道中にても改之、若貫目重
 ク候歟又は猥ニ荷數多く不審之儀も候ハヽ、早速道中奉
 行え可訴之、詮議之上怪敷儀も有之におゐてハ、荷物才
 料ハ不及申受負人迄可為曲事候事
一道中宿々之もの不埒之儀有之節は、旅人ニ寄其所の問屋、
 年寄等二日路・三日路も召呼、又は訴訟之為ニ付添参候
 儀も有之由相聞候、たとひ宿々野者不届之仕形有之候共、
 問屋・年寄等召呼候てハ、其宿人少ニ不及申、訴訟之為ニ
 付添参候事も相止させ、其趣を道中奉行へ被申達、奉行
 より詮議の上急度可申付候條、可有其心得候事
一旅人之内定を破不法成儀有之候ハヽ、觸書之趣を以申断、
 若不相用候ハヽ、其所之領主之役人へ達し、役人より其
 段旅人へ申聞、其上ニも不法之筋候ハヽ差留置候共、又
 は姓名承之道中奉行へ訴候共可致旨、幷代官所之儀も右
 之趣ニ准し可取計旨宿々へ申渡候間、是又其趣を可被存
 事
一町人へ會符を渡、武家之荷物ニ為致候儀有之由相聞候、
 自今堅可為無用事
一川々渡越之儀、川會所へ相掛、川越人足愛雇准々ニ越立
 嘉申筈之處、近來は川越共遠方迄出迎、旅人を欺キ過分
 之賃錢酒手等ねたり取、旅人も川會所へ掛候てハ、出水
 之時節又ハ夜越等危故人足不差出砌、川越共と相對を以
 渡越いたし候趣相聞候、依之以來は往來之旅人川會所へ
 相掛、人足相雇川越共と直相對歯決て致間敷候、萬一川
 越共極候賃錢之外酒手等なたり候歟、又は旅人へ直相對
 いたし候ハヽ、御仕置非仰付段、嚴敷申渡候間、相雇候
 人足酒手等ねたり候共、聊も不差遣川役人共之内へ其旨
 相達、往來可被致候事

         (九一三)つづく

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