津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■塘という言葉

2022-04-10 16:32:04 | 史料

 「塘」という漢字があるが、その読みは一般的には「とう・どう」とされる。熊本ではこれを「とも・ども」と読む。
意味としては「堤」と同義語だが、熊本以外ではあまり使われていないのではないか。「方言漢字」の範疇に入るのかもしれない。
先にご紹介した「石塘(いしども)」その他「一夜塘(いちやども)」「銭塘(ぜにども)」、江津湖畔(加勢川)の堤は「江津塘(えづども)」と呼んだりする。
例えば人の名前にしても「塘田(ともだ)」という性があるが、どうやら熊本や福岡に集中するようだ。出処は熊本か?
私が若い頃は、ご老人たちが「塘を歩いてくる」などという話ことばがあった。
厄介なことにこのような文章を書く時、「とう」でも「とも」でもなかなか漢字変換がすぐできないのが頭痛の種である。
「つつみ」とした方がより速い。

調べてみると「くまもと自転車紀行」というサイトがあって、その中に「くまもと塘めぐり」という前後編の記事が見え、ポタリングで走り回り調べて居られるようだ。(前篇) (後編)
当然全県下ではないが相当数あることが判る。よくぞ調べられたと感心する。
「堤」とせず「塘」とこだわるのは、いかにも熊本モッコスという気がしている。

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■御大工棟梁善蔵ゟ聞覺控-2

2022-04-10 06:51:58 | 史料

   

   

         甲佐のうのせとは〃くす村の        甲佐の鵜瀬馬場楠村の
         まぶに山がのまぶをおしきの時と      間歩山鹿の間歩(球磨川遥拝堰)をお敷きの時と 
         ここんしごともほねみにこたへた。     ここの仕事も骨身に応えた
         石くどんと日やうとりたちはおどん     石工殿と日雇取り達は自分
         たちよりかまあだとてもとても       達よりもまあだ、とても/\ 
         きつかったたい              辛かった事だ              
         みづこしもかめの甲のしごとも       水越も亀甲の仕事も
         はじめのときにや川ンそこにし       初めの時は底に
         だをしきつめてその上からくすい      歯朶を敷き詰めてその上から楠板
         たなりまついたをしきつめた        なり松板を敷き詰めた
         ばい                   よ
         このやりかたはどこんでんはねをつく    この遣り方は何処ででも刎ねを造り
         んなはった時もこのやりかたで       なさった時もこの遣り方で 
         石のあなのほげにくい時はづいき      石の穴が明けにくい時は芋茎

         をおつかいになったげなそのやり      をお使いになったそうだ その遣り

         かたはみたこつあなかった         方は見たことがなかった
         ひぜんの御家中の人とかにてなづどめ    肥前の御家中の人とかにて成冨(兵庫)
         どんとやらが当くにゝきて川        殿とやらが当国に来て川
         とかうんへたなんきやしごとの所      とか海べた(邊)などの仕事の所
         にきてふしんのやうすをみとった      に来て普請の様子を見ておった
         こつあおぼえとったい           事は覚えている
         あの人はいったてぶこつなもんで口     あの人は至って無骨者で口
         かづすくなくてまえはきかんがお      数少なくて前の事は聞いていないが覚
         ぼへじやうねのつよかった人らしい     性根の強い人らし
         かった                  かった
         くり石のこまかっと太かうら石       栗石の小さなものと大きい裏石
         なんきや入れこむ時にはてんき       なにかを入れ込む時には天気
         のつぐあいとしほときを御とのさ      の具合と潮時をお殿様(清正)
         まはようくみておった           は良く見て居られた

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