そこでおしろのはし□をき□□□□□ そこでお城の場所を決める時
に御先々代様は御国入のずうつと後 に御先々代様はお国入りのずっと後
かねてあつちこつちとおひまのとき御 かねてあっちこっちと御暇の時御
巡見になつた 巡見になつた
はじめは杦島に目をつけなはつ 初めは杉島に目をつけなされ
たが摂津守の方とあつてざねんなが たが摂津守(小西行長)の方向とあつて残念な
らとりやめになんなはつたたい がらお止めになられた
おれはそのころあとからおともいたし 俺は其頃あとから御供致し
まわつたがとどのさいごのばしよが 廻ったがとどの最後の場所が
茶うす山だつた 茶臼山だった
お城がたつとすれば天しやどうしてん お城が建つとすれば天守はどうしても
町もこれにでけんといかんけんさてさ 町もここに出来ないといけないから さて
うなつてくつとお城の立てかたのぎん そうなって来るとお城の建て方の吟味
みときた ときた
かうなつてくるとまづお城のつくりかたの こうなってくるとまずお城の作り方の
みかたたい あづちと大坂などの御城 見方だ 安土と大坂などのお城
のくみあわせのみつもりをせにやならん の君合せの見積もりをせねばならない
お殿様からその申付がわしつちにあつたけ 御殿さまからその申しつけが私にあったから
んわるがへんとつつあんをつれてたび お前の家の父さんえお連れて旅
立した 立した
高麗陳のときにやずいぶんとくるし 高麗陳(文禄慶長の役)の時には随分苦しい
目にあほたてばつてんこのよそんお 目に負うたけれど この他所の
しろをいくつもみてまわつたことも一とお 御城を幾つも見て廻ったことも一通
りのなんぎくろうしやなかつたぞ りの難儀苦労ではなかった
図引きや主がへのとつつあんがさし 図引きはお前の父さんが(担当)し
たがさてもどつてきてからいよ/\ たが さて戻ってきてからいよいよ
茶うす山の図引となつたときや岩 茶臼山の図引きとなった時には岩
野のお武家で宗久隆さんがこの役に 野のお武家で宗久隆さんがこの役に
なんなはつたばい なられたよ
町は下津さんが図引きの役お城の 町は下津さんが図引きの役 御城の
図引きのでけ上つた后でそれを御 図引きの出来上がった後でそれを御
先々代様いい田・もり本さん 先々代様・飯田・森本さん
たちとちへを出しあはせて長んか間ぎん 達が知恵を出し併せて長い間吟
みをしなはつたこつをおぼへておる 味をされてことを覚えて居る