ちょうど一週間前娘がやってきた。「御土産」といって一枚のチラシを差し出した。
よくよく眺めたら「樹木葬」のお墓の案内である。なんとなくじめじめした感じの我が家の墓地に入りたくないと言っていたからだろう。
墓の廻りがきれいな緑が豊かであれば、これに越したことはないが、死んだあとはどうなるかわからない話で、私自身は散骨してもらってもいいと思ったりするが、二つのお寺にある先祖の墓地をどうするかが悩みの種である。
何方の話であったか忘れたが、銀座かどこかで孫と一緒の徳川夢声氏に会われたという。
どちらへお出かけですかと聞くと、「小さな土地を買いましたので観に行きます」といわれる。「どちらの方ですか」と再度尋ねると、「多摩墓地」だと答えられたという。その御仁、夢声氏との最後の出会いだったという。
いかにも夢声氏らしいウイットにとんだ話で、よく覚えている。
なんかそんな楽しい話を残してこの世とオサラバしたいものだ。