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桜と絵本と豆乳と

参参参(二十九)朽ちるか否か

2023年08月15日 | 読書
 酷暑のお盆読書第一弾。小説やら健康本やらを、ベッドやら風呂場やらで読んだだけか…。


『虹の岬の喫茶店』(森沢明夫  幻冬舎)

 いまどき「ハートウォーミング」という形容は使わないかもしれないが、さらりと読めて、様々な人物の誰かに自分を投影できるような気にさせられる物語だ。一人一人の生き方には必ず背景があり、そこには何か欠落した暗闇のような部分がある。そこに落ちていくか、そこからまた光を見い出すか。良きめくり合いこそが、鍵になる。主人公の言葉がじいんと沁みる。「過去を懐かしむことが出来るってことは、あなたたち二人はきっと、いまの自分自身をちゃんと大事に思えるってことだと思うわ」




 
 『鎌田式43のいい習慣』(鎌田實  集英社)

 開いてみたのは「睡眠」のQ&Aが多かったからだ。この手の本は結構読んでいるから、新しい知識があったわけではない。しかし、常用していた数種類の睡眠導入剤を使わなくなったという事実はやはり説得力がある。何か一つでも二つでもやってみたいと思うが、結局生活全体の複合的な活動が大きいという結論になってしまうから、道のりは遠いか。「睡眠」「運動」「タンパク質」「ポジィティブ」「親切」「貢献」など、たくさんのキーワードが出てくる。この本からの学びを一つだけ書くと、いわば現実に即した心がけの大切さか。それはこんなAnswerとして書かれてあった。「99%は自分のため、1%は誰かのために生きる。自分の命は自分で決めよう」



『朽ちないサクラ』(柚月裕子  徳間書店)

 半月前に読んだ『月下のサクラ』がまずまず面白く、その「前日譚」となる作品にも興味を持った。結果ううーんちょっと消化不良というか、これはモチーフといえる「サクラ」(公安警察)という存在が常人では捉えにくく、どこかうやむやに終わった感が否めないからなのか。まあ、最近多い秘密組織系、ドラマの「VIVAN」「ダイマジン」などもそうだ。「知らなくていいんだよ」「手を出さない方が幸せだ」…そんな世界はあるだろう、情報化社会が拡大化して、そんな組織の横顔がちらっと見えたりするけれど、不気味さは益々募るばかり…みんな人間が作り上げたものだろうけどねえ。組織は朽ちずに人だけが朽ちていくのか…。