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晩秋の乱読期に突入

2022年11月10日 | 読書
 読書の秋もスパートで、時々やってくる「乱読期」に入った。


『続・孤独のすすめ』(五木寛之 中公新書ラクレ)

 先日の続編。国の政策として「孤独・孤立対策」が推進される世の中なので、この著書を読むと、何か変だという気になる。
 著者が強調するのは「時機相応の思想」つまり考え方が時代の状況、流れの中で変わってくるのが当然という思考だ。孤独・孤立は悪いと決めつける志向が社会にあるとすれば、それが問題であると気づく。
 もちろん周りの支えは否定しないが、もっと大事なのは誰しも持っている「孤独」をきちんと見つめることだ。


『日本人には二種類いる』(岩村暢子  新潮新書)

 著者には「食卓」に焦点をあてた著書があり、注目して読んだ記憶があった。
 この新書は副題に「1960年の断層」とあり、その年を境に日本人は「60年型」と「旧型」の二種類に区分されるとし、その根拠を歴史的な出来事と照応して、証明(?)する。複数の世代的区分より断定的な主張に、フムフムと思わされる。
 考えさせられたのは、あとがきの「『自由』という言葉をどう捉えるか」という違いだ。「断層」は何でもできる自由と何もやらない自由だ…当然、生き方に関わる。




『警官の目』(今野敏、他  双葉文庫)

 今野敏、五十嵐貴久、三羽省吾、譽田哲也という四人の作家によるアンソロジー。警察が舞台であっても、様々なアプローチの仕方があるものだと改めて感心する。
 ただ、どうしても警察組織の階級制、そして上意下達の壁が「物語」を作るのだなと思わざるを得ない。本筋にそれがなくとも味付けには欠かせない要素であり、強固な常識への考え・思いのぶつけ方の表現こそが、面白みを作り出すのだなと、ジャンルの共通項を見出した。


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