白石一郎と言う作家には海モノ専門と言う印象を持っている。本当か否か、実は読んだことがなかった。先日JALの機内誌(だったか)で紹介されていたのを読み、そうだ、そうだったと思い出し読んでみた次第。
壮大な物語である。一介の漁師(にもなれない浜男)である笛太郎が、数奇な巡り合せと己の才覚(潮読み)とで大型船のおかしら(船大将)になるまでを描く。
物語は室町~安土桃山時代か。足利将軍や織田信長と言う人名が出てくる。ただし舞台は対馬とか瀬戸内とか、京や尾張から離れた地、しかも「海賊」の世界の話であり、いわゆる世間とは常識も価値観も違う。そのことはきちんと物語の中で説明されるが、読む方は「ここでそう動くか、そっちに付くか」と刺激を受けながら読むことになる。
だからと言って本書が歴史小説かと言えばやはり違い、そうした時代背景のもと生きる海の男たちの物語と定義するのが正しいだろう。それが本書を第97回直木賞受賞たらしめた大きな理由ではないのか。
本書の続編として「海王伝」が刊行されており、どのような物語か読むのが楽しみである。
2011年9月19日 旅行帰りの列車車中にて読了
壮大な物語である。一介の漁師(にもなれない浜男)である笛太郎が、数奇な巡り合せと己の才覚(潮読み)とで大型船のおかしら(船大将)になるまでを描く。
物語は室町~安土桃山時代か。足利将軍や織田信長と言う人名が出てくる。ただし舞台は対馬とか瀬戸内とか、京や尾張から離れた地、しかも「海賊」の世界の話であり、いわゆる世間とは常識も価値観も違う。そのことはきちんと物語の中で説明されるが、読む方は「ここでそう動くか、そっちに付くか」と刺激を受けながら読むことになる。
だからと言って本書が歴史小説かと言えばやはり違い、そうした時代背景のもと生きる海の男たちの物語と定義するのが正しいだろう。それが本書を第97回直木賞受賞たらしめた大きな理由ではないのか。
本書の続編として「海王伝」が刊行されており、どのような物語か読むのが楽しみである。
2011年9月19日 旅行帰りの列車車中にて読了