【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

金比羅山▲573m、寂光院

2010年06月05日 21時26分26秒 | 登山&アウトドア(関西)

(↑ピーク手前の分岐点からの撮影)

ハイキングに行ってきた。
京都大原・金比羅山(こんぴらさん)▲573m。
このあたり平家物語ゆかりの地。
下記にデータを記す。

戸寺パス亭→江文神社→琴平新宮社→金比羅山▲573m
→翠黛山(すいたいさん)546m→寂光院→大原バス亭→出町柳

歩行3時間30分 距離7.8km
資料データ:「行楽の山歩き」(東京地図出版)より
【覚書】:出町柳5番出口、出町柳→戸寺バス亭(380円)
大原バス亭→出町柳(420円)
戸寺バス亭横に土産物店あり、おはぎ2ヶ420円、きんつば2ヶ420円

今回のコース、思った以上に良かった。
静かで、おもむきがある。
ほとんど、登山者に遭遇せず。
下山後の観光も充実している。
今回利用しなかったが、寂光院近くに温泉もある。
(そば、うどん等の食事とセット)
三千院は時間の都合で今回パスしたが、紫陽花がキレイなはず、拝観料700円。

寂光院は、今回3回目の訪問。
平家物語ゆかりの寺なので、外すわけにはいかない。
本尊は地蔵菩薩。
本尊の(向かって)左が建礼門院、右が阿波内侍(あわのないじ)。
建礼門院=平清盛の娘・徳子=高倉天皇の中宮=安徳天皇の母

壇ノ浦での有名な科白:「浪の下にも都のさぶろうぞ」・・・これは平清盛の妻で安徳天皇の祖母二位の尼のセリフ。
建礼門院も入水するが、助かってしまう。
これは、当時女性の髪が長かったため、海に浮かんだから、と聞いた。
(あるいは、心のどこかでこの世に未練があったのかも)
非常に有名なシーンなので、印象に残っている。

また、謡曲「大原御幸(おおはらごこう)」では寂光院が舞台となる。
平家一門と高倉・安徳両帝の冥福をひたすら祈っていた建礼門院のもとへ、後白河法皇が訪ねてくる。
その時、女院は山へ花摘みに出掛けて留守・・・その山、ってのが翠黛山(すいたいさん)546m。
(もちろんピークは踏んでない、と思われるが)
また、後白河法皇が、その時のアプローチに使ったのが江文峠。
そんなわけで、今回ほとんど後白河法皇の気分?

(寂光院入口の階段、閉館寸前だったので人影まばら)
京都大原 寂光院別ウィンドウで開く

「家族の言い訳」森浩美(双葉文庫)

2010年06月05日 08時20分16秒 | 読書(小説/日本)

家族小説、人情話、直球の人生小説集。
私は、こういう「家族の絆」「夫婦の蘊蓄」を語った作品が好き。
思った以上におもしろかった。
良くできている。
例えば、「乾いた声でも」では・・・・・

「よく夫婦を戦友に例える人がいるでしょう。僕はちょっと違う意見なんだな。妻は一緒に戦ってくれなくてもいいんです、戦いは僕がしますから。だからその代わりにせめて味方でいて欲しいんですよ」
「味方ですか?」
「はい、それも絶対的な味方です」

(中略)
所詮、夫婦は他人なのであれば、その距離を埋めるためにも言葉は必要だ。

「カレーの匂い」なんて、向田邦子作品に匹敵する内容、と思う。
出版社副編集長・舞子はキャリアウーマン(死語)である。
母親が舞子に説教するシーン。(P134-P135)

「仕事をバリバリこなすのが悪いとは言わない。舞子はね、みんなからカッコいいとか言われて満更でもないでしょうけど、そんなに人って差はないものなのよ。あなたは全部勝とうとするから、棘が出ちゃうの。大きなことばかりが勝負じゃないし、案外小さなことの積み重ねなのよ。人生なんて、51賞49敗程度でいいの。でもね、その二つの勝ちの差が最後に物を言うんだから……本当に賢い女は負けてあげられる余裕を持っているの。それはね、小さくてもしあわせに繋がる急所の掴み方を心得てるってことのなのよ」

この作品は、そのまま人生処世訓として終わるのかと思っていたら、最後にどんでん返しが!
まいった・・・向田邦子クラスだ。

ところで、森浩美さんは男性である。(まぎらわしい名前だ)
女性心理の描写が巧いので、てっきり女性と思っていた。(欺された)
今回の短編集はすべて直球勝負。
それが勝因、かと思う。
もし、これにユーモアが入ってくると、山本幸久さん、奥田英朗さんの領域になる、と思う。
また、この方はもともと、作詞家だったようだ。
ネット上の著者紹介を下記にコピーする。

放送作家を経て、1983年より作詞家。現在までの作品総数は700曲を超え、荻野目洋子「Dance Beatは夜明けまで」、酒井法子「夢冒険」、森川由加里「SHOW ME」、田原俊彦「抱きしめてTONIGHT」、SMAP「青いイナズマ」「SHAKE」「ダイナマイト」、Kinki Kids「愛されるより愛したい」、ブラックビスケッツ「スタミナ」「タイミング」など、数々のヒット作を手掛ける

PS
ちょっと気になったので、追加しておく。
著者は、夫婦は戦友でなく味方云々・・・と書かれている。
この「夫婦は戦友」、って考えは、作家・田辺聖子さんがエッセイや小説でよく書かれていること。
森浩美さんは田辺聖子さんの考えを100%理解していないのだろうか?
おそらく、言語上のロジックとして書かれているだけ、と思う。
もし人生が戦いだとするなら、妻が敵なら困る。
さらに、第三者として中立を表明されたら、もっとなさけない気分かも。

【ネット上の紹介】
家族に悩まされ、家族に助けられている。誰の人生だってたくさんの痛み、苦しみ、そして喜びに溢れている―。作詞家・森浩美がその筆才を小説に振るい、リアルな設定の上に「大人の純粋さ」を浮かび上がらせた。『ホタルの熱』『おかあちゃんの口紅』はラジオドラマや入試問題にもなった出色の感動作。あなたの中の「いい人」にきっと出会える、まっすぐな人生小説をお届けします。