「午前三時のルースター」垣根涼介
著者のデビュー作。
いくつか不満はあるが、なかなか良くできている。
完成度は高いし、おもしろかった。
垣根涼介作品は、今年になって何冊か読んだ。
下記に羅列する。
「ワイルド・ソウル」
「君たちに明日はない」
「借金取りの王子」
「張り込み姫」
「ヒートアイランド」
「ギャングスター・レッスン」
いずれも、面白かった。
この作品は上記作品と異なる点がある。
舞台がほとんどベトナム、ってこと。
それが、読みたくなった理由の一つ。
もう一つ、理由がある。
現在、私は「ヒートアイランド」のシリーズを読んでいる。
最新刊「ボーダー」に、今回の「午前三時のルースター」に登場する少年がかかわってくる。
それが分かったので、いったん中断して、今回の作品を読む気になった。
(より作品を楽しもうとすると、いろいろ苦労する)
ちなみに、ルースターとは一番鶏のこと。
作品の内容は、父親がベトナムで失踪した、消息を尋ねたい、と言う少年の依頼から始まる。
その後、舞台がベトナムに移動し、現地の人間も多数登場、となる。
風俗や風景、人物造形が描かれる。
不満な点は、現地の人々が、現地人に見えない、って事。
まるで、日本人がベトナム人に扮して演技しているような違和感を感じた。
それが1番の欠点。
でも、その欠点を凌駕する、展開の面白さがあるから、まぁ、いっか・・・。
さて、物語の本筋を離れる話題を書いて終了とする。
何人かの娼婦が主人公と値段交渉するシーン。
P133
「百二十ドル」
「九十ドル」
「百ドル」
それぞれこぼれんばかりの笑みを浮かべて、会話を少しかわした後で自分の値段を耳打ちしてくる。
それにしても、高い。
この作品が第17回サントリーミステリー大賞を受賞したのは2000年、約10年前。
ちなみに、私は今年の正月にベトナムを訪問した。(もちろん、クライミングの為)
ついでに、風俗の相場を調査したところ、$20であった。
(あくまでも調査のみ。実践はしていない、為念)
だから、上記100ドル云々はよっぽどの高級娼婦、と思われる。
(あるいは10年前、風俗業界インフレだったか、どちらか)
気になったので書いておく。
PS
「調査」というと大げさだけど、街を歩いていると複数の方から声を掛けられる。
いやでも、相場が分かってしまう。
これは、前年度の中国・桂林でも同じ。
街を歩いていると、「マッサージ」「ビューティフル・ガール」、と声を掛けられる。
(中国は、相場4000円~6000円くらい)
【本日のお言葉】
資本主義国も共産主義国も同じ・・・人が集まる所に風俗有り。
(クライミングも観光も、高いモラルで臨んで欲しい)
【ネット上の紹介】
旅行代理店に勤務する長瀬は、得意先の中西社長に孫の慎一郎のベトナム行きに付き添ってほしいという依頼を受ける。慎一郎の本当の目的は、家族に内緒で、失踪した父親の消息を尋ねることだった。現地の娼婦・メイや運転手・ビエンと共に父親を探す一行を何者かが妨害する…最後に辿りついた切ない真実とは。サントリーミステリー大賞受賞作。