「明日の風」梁石日
先日読んだ「血と骨」が面白かったので、さらに関連作品を読んだ。
この作品は、戦中戦後を少年の目を通して描いている。
だから、少し雰囲気が違ってくる。(でも、かなりのエピソードが重なる)
「血と骨」を読んだら、こちらを無理に読む必要はない、かも。
ただ、戦後間もない頃がよく描かれている。
総連と民団の違い、支持率、当時どのように受け入れられていたのか?
詳細に語られ、当時の雰囲気が分かる。(P293-P294)
それにしても、家族親戚血縁関係、近所の繋がり・・・全てが濃い。
今の日本社会が失ったものばかり。
【ネット上の紹介】
誰もが恐れる暴力的な父、お人好しで働き者の母、優しいが内向的な姉、小さな妹に囲まれて育った在日二世の少年。彼は、のどかな疎開先の村で、空襲で破壊され焼け野原となった街で、無秩序と混沌を原動力に復興してゆく繁華街で、誰と出会い、何を見たのか?騒乱。変革。相次ぐ近親者の死。非日常と愛しき日常生活が混在する戦中戦後の時代の空気と、そこに生きる少年の激動の日々を描き切った渾身の長編小説。
「モップの精と二匹のアルマジロ」近藤史恵
近藤史恵さんと言うと、「サクリファイス」「エデン」が有名。
でも、このシリーズもファンが多い、と思う。
シリーズ最新刊、4作目である。
人間関係を表現する言葉に「ハリネズミのジレンマ」、ってのがある。
親しくなって距離を近づけたいのに、お互いの針で相手を傷つけてしまう。
これはよくあるパターン・・・仲がいいほどケンカする。
全ての人がトゲを持っている訳ではないけど。
でも、多かれ少なかれ少なかれ、有るでしょうし、針の大きい人小さい人・・・いろいろ。
さらに、人間関係の有段者は仲なおりのテクを持っているし。(つまり『薬』)
傷をつけて薬を塗り、薬を塗って、再度傷つけ。(果てしない)
さて、今作では『アルマジロ』、である。
どういうことか?
それは読んでのお楽しみ。
作品としての完成度、面白さでは前作に負ける。
登場人物の魅力がイマイチ表現しきれてない、と感じた。(もの足りなく感じた)
テーマが硬いので、これをキチンと文章で表現して、面白さを演出するのは難しいかも。(残念)
【ネット上の紹介】
ぼく(大介)の妻は、清掃作業員として働くキリコだ。ある日キリコは見知らぬ女性から「夫の浮気を調べてほしい」と頼まれる。ところが思いがけない事故が発生して―。地味な妻と目が覚めるほど美形の夫、どこか不釣り合いな夫婦に秘められた謎に、キリコ&大介の名コンビが迫る本格ミステリー。