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「精神科ER緊急救命室」備瀬哲弘

2011年09月12日 19時33分09秒 | 読書(ノンフィクション)


「精神科ER緊急救命室」備瀬哲弘

救急車で運ばれるということは、緊急事態である。
一般に交通事故とかを想像するけど、精神科の緊急救命もある。
この本は、「東京ER」精神科でのドキュメント。
印象に残った文章を紹介する。

P92
(前略)怒りが衝動的だったり逆恨みしやすかったりする人は少なくないだろう。病気なのか、性格なのか。狂気なのか、正気なのか。自分が納得できるような答えすら簡単に出てこない。

P135
「死のうと思ったの?」
私は聞いた。
「死にたかったわけじゃないよ」
と、彼女は吐き捨てるように首を振った。
「消えたいとは思うけど、死にたくはないよ」
とつけ足した。
「死ぬ」ことを考えると、どうしても「生きる」ことに向き合うことになる。生きてきたこと、生きていること、生きていくことに。自らの生を正面から見つめるには、これまでの人生が重すぎた。きっと「消えてしまうこと」は「生きてきたこと」自体をなかったことにしたい気持ちの表れなのであろう。


【ネット上の紹介】
都知事の発案でより早く急患に対応すべく急遽開設された「東京ER」。その精神科は、日々、緊迫した空気に包まれている。パトカーや救急車でひっきりなしに運ばれてくる患者たち。父親から捨てられ自殺を図った兄妹。心のバランスを崩し、深夜の霊園で叫ぶサラリーマン。「愛が欲しい」と恋人の前で包丁を取り出す女性。極度の緊張の中、厳しい現実と格闘した現役精神科医が語る壮絶人間ドキュメント。