「梅原猛の授業道徳」梅原猛
先日紹介した「梅原猛の授業仏教」に続く「授業シリーズ」第2弾。
平成14年4月から9月まで12回にわたって、京都の洛南高等学校附属中学3年生に行った道徳の授業をまとめた本、である。
P119
ところで旧約聖書の「殺すなかれ」というところをよく読んでいくと、殺してはいけないのは、同じ神を信じている人たちのことなのです。つまり、エホバの神を信じている同じ仲間を殺してはいけない。
(中略)
ユダヤの人たちは三千年以上前、エジプトから今のイスラエルのあるカナンの地へやってきて、そこに住んで別の神を信じていたカナン人を追い出した。抵抗する人は皆殺しにしてイスラエルという国をつくった。それがイスラエルの建国のはじめです。
今のイスラエルも、第二次大戦後に同じことをやってしまった。
[殺すなかれ」について、さらに言及
P125
ところが、釈迦をはじめ東洋の考え方には、人間が他の動物よりすぐれていて、人間が動物の生殺与奪の権を持っているという考え方はないんです。人間も動物も同じ命を持っている。命を持っているものは、その命を大切にしなくてはいけないというのが仏教の考え方ですね。
【蛇足】
日教組の功罪は、色々あるだろうが、道徳教育を軽視したことは「罪」にあたる。
自分たちの労働条件を良くしたのは良いことだが、子どもの教育に対しては、
どうなんだろうと思ってしまう。結局、内部分裂(共産党系と社会党系)し、
現在、組合に加盟する教師は減少し、非正規雇用教師も増えてしまった。
「人間の壁」(石川達三)の頃は遠くになりにけり。
そもそも、教育現場にイデオロギーの対立を持ち込んだのがいけなかったのか。
(今の教師は、「組合」に入らず、「保険」に入る・・・組合より保険の方が守ってくれる?)
「この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」」P148より
[目次]
いま、日本の道徳はどうなっているか
明治以後の道徳教育はどうなったか
道徳の根源をどこに求めるか
自利利他の行と仏教・キリスト教
自利利他の道徳と社会 家族・会社・国家
第一の戒律 人を殺してはいけない
第二の戒律 嘘をついてはいけない
討論 『よだかの星』と『坊っちゃん』
第三の戒律 盗みをしてはいけない
人生をよりよく生きるために(努力と創造
愛と信
感謝と哀れみ)
[目録情報]
やさしい言葉で日本人の生き方を説く,『仏教』に続く授業シリーズ第2弾!(哲学・思想図書総目録より)