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「空が、赤く、焼けて 原爆で死にゆく子たちとの8日間」奥田貞子

2015年09月25日 20時46分42秒 | 読書(昭和史/平成史)

空が、赤く、焼けて―原爆で死にゆく子たちとの8日間 
「空が、赤く、焼けて 原爆で死にゆく子たちとの8日間」奥田貞子

とても良かった。
著者は原爆投下の翌日、広島に行く。
兄の子どもたちを探すためだ。
町中を巡ってる時、そこで様々な子どもたちの死に立ち会う。
その時の様子、最後の言葉が丹念に綴られる。
涙なしに読めない作品。

家族をすべて失った4歳の女の子の話。
P97-99
私がその子の前を通りかかると、私の方に両手を出して歩いてきた。かわいいモンペ姿の女の子。私が立ち止まると、「連れてって、連れてって」と言う。
「どこに連れてってほしいの?」と訊いたら、「お姉ちゃんと一緒に行く、ネェ・・・・・・、連れてって」と私にしがみついて泣く。
「お母ちゃんは?お家の人は?」って訊くと、泣きじゃくりながら、「いない」
「お姉ちゃんと行くの?」と言うと、「ハイ・・・・・」とはっきり返事ができる。じゃあ行こう。
(中略)
「さあ行こう。おんぶしてあげようか」って言ったら、とってもうれしそうだった。
 私が「夕焼け小やけで日がくれて・・・・・・」と歌ったら、小さな声で歌い出した。歌に合わせてゆっくりゆっくり歩いていると、なぜとはなしに涙が流れて仕方がなかった。

【ネット上の紹介】
瀬戸内の島で原爆投下の8月6日を迎えた著者は、その翌日、広島にわたり、兄の子どもたちを探して町中を巡ります。これは、そこで出会った子どもたちの死に立ち会い、彼らの最期の言葉を克明に綴った日記です。
[目次]
待っていた兄と妹
優しい正子ちゃん
とんちゃんとお母さん
お母さんとネンネした坊や
お母さんのメガネ
二人の中学生
小さな命はあっけなく消えた
橋のたもとの寝顔―戦争さえなかったら
「ゆりちゃんも連れてって」
真っ赤な口の中
学校へ行こうとした少年―雄一はどこへ行った
島に帰ってからの話 一つだけ泊まったら帰ってくると言ったのに
戦争中の話 チカちゃんという三歳の子どもと私との、戦争中の生活の一部を聞いてください