「臨床真理」柚月裕子(宝島社)
2008年第7回、『このミス』大賞受賞作品。
私は、面白い作品なら、何でも読むようにしている。
でも、決まった設定が好き、特定のジャンルに弱い、ってのも事実。
例えば・・・
①平安朝宮廷を舞台にした作品=氷室冴子さんの「ジャパネスクシリーズ」、松田志乃ぶさんの一連の作品、「小袖日記」(柴田よしき)、「千年の黙」(森谷明子)、「泥ぞつもりて」(宮木あや子)等
②バレエもの=「バレエシューズ」(ノエル・ストレトフィールド)、「バレエ・ダンサー」(ルーマ・ゴッテン)、「ロイヤル・バレエダイアリー」(アレクサンドル・モス)、「ドリーナ・バレエシリーズ」(ジーン・エストリル)・・・(当然「アラベスク」「テレプシコーラ」は必須)
③番目として、「病院」を舞台にした「心理」もの、つまり「臨床心理」を描いた作品にも弱い。
(例えば、「症例A](多島斗志之)、「十三番目の人格」(貴志祐介)、「シーラという子」(トリイ・ヘイデン))
今回の作品「臨床真理」は、この③番目のジャンルに入る。
この著者・柚月裕子さんは、これがデビュー作。
だから、どうしてもイマイチ感は否めない。
(『このミス』大賞受賞作品なので、ある程度の面白さはあるけど、私の『基準』はさらに高い)
作品の展開が読めてしまうので、盛り上がりに欠けるかな。
(作品の出来不出来にかかわらず、ジャンルそのものによりある程度の満足を得られるけど)
でも、次作の「最後の証人」はレベルが上がって面白い、と聞いているので、少し期待している。

PS1
デビュー作でいきなり「すごく面白い」「レベルが高い」、ってのは難しいものですね。
少しずつ、経験をつんで「作家」になっていくんでしょう。
(「花宵道中」(宮木あや子)や「告白」(湊かなえ)は特別か?)
PS2
上記以外の『好みのジャンル』では、「学園」「寄宿舎」「超能力」「霊」「格闘技」「山岳」・・・
だから「RDG」は、私の好みのエッセンス、なのだ。
【ネット上の紹介】
臨床心理士の佐久間美帆は、勤務先の医療機関で藤木司という二十歳の青年を担当することになる。司は、同じ福祉施設で暮らしていた少女の自殺を受け入れることができず、美帆に心を開こうとしなかった。それでも根気強く向き合おうとする美帆に、司はある告白をする。少女の死は他殺だと言うのだ。その根拠は、彼が持っている特殊な能力によるらしい。美帆はその主張を信じることが出来なかったが、司の治療のためにも、調査をしてみようと決意する。美帆は、かつての同級生で現在は警察官である栗原久志の協力をえて、福祉施設で何が起こっていたのかを探り始める。しかし、調査が進むにつれ、おぞましい出来事が明らかになる。『このミステリーがすごい!』大賞2009年第7回大賞受賞作。